平成20年3月6日 国土交通省河川局砂防部保全課から「大規模土砂災害危機管理計画策定のための指針」及び「大規模土砂災害危機管理計画」の策定について」
が発表されています。
近年多発している大規模土砂災害に対処するため、発災時の対応及び事前の体制整備等を内容とする「大規模土砂災害危機管理計画」を地方整備局等及び直轄砂防等事務所が策定する際の「大規模土砂災害危機管理計画策定のための指針」を定めています。
つまり各地方整備局が策定する「大規模土砂災害危機管理計画」のための策定指針を出したわけです。

本来国(本省)が管理計画自体を策定すればいいように思いますが、地方整備局には「経験・知見」「専門性」「資機材」の特性があるため各地方整備局版、直轄砂防事務所版を作ります。確かに災害対策用資機材はそれぞれの事務所特有のもので、実際の災害時にそのまま役に立つという視点ではそうなるのでしょう。
対象とする現象は以下の通りです。
大規模土砂災害とは、地震・豪雨・火山噴火等による土砂災害であって、
・ 大規模な土石流、地すべり等
・ 天然ダム(河道閉塞)のように現象が進行性のもの
・ 同時多発的に発生する土砂災害
・ 火山噴火による火砕流・溶岩流・火山泥流等の大規模土砂流出やそれに伴い発生する大規模
な天然ダム
など、対応に高度な技術を要し、通常の土砂災害等に対する体制では限界があり、国の役割
が重要なもの。また社会的な影響が甚大又は被害が広範囲に及ぶおそれがあるもの、現
象の進行により、大規模土砂災害となるおそれのあると認められるものも含まれます。
例えば、以下の災害です。
@ 活動が続いている大規模地すべりで、大きな被害が予想される災害
A 突発的な災害が発生し、現象が進行する災害
B 災害が発生した箇所で再度の災害が発生、もしくはその周辺で新たな災害が発生する
等、さらなる災害や2次災害を発生させるおそれがある災害
本指針の目次は以下の通りです。
第1章 総説
1. 危機管理計画の目的
2. 対象とする現象
3. 基本的な方針
3.1 大規模土砂災害危機管理の際の連絡調整等
3.2 大規模土砂災害危機管理の管理水準
3.3 危機管理の実施方針と計画の改善・修正
3.4 国土交通本省等が策定する他の計画との関係
第2章 事前対策(災害予防)
1. 訓練に関する事項
2. 危機管理体制の整備
3. 緊急時の情報管理体制の事前整備
4. 災害、防災に関する研究、観測等の推進に関する事項
5. その他の事前の対策
第3 章 緊急事態対応(災害応急対策)
1. 災害状況把握及び災害の情報管理
2. 初動対応及び緊急措置
3. 災害発生時における応急工事、二次災害の防止対策に関する事項
4. 都道府県等への支援に関する事項
第4 章 復帰・復興(災害復旧・復興) |
この中で、我々斜面技術者が参加するべき緊急事態対応(災害応急対策)として、 災害状況把握及び災害の情報管理があります。
災害状況の把握の際は、下記の点についての、連絡調整等を実施することとしています。
・
大規模な天然ダムの形成や、林地や建物等に隠れた地表面のクラック・変状などのように、上空からの調査と、地上の現地踏査との両面からの状況把握が重要な場合がある。
・
砂防等施設及び砂防指定地等法指定の有無に関わらず大規模土砂災害は発生するため、砂防等施設がある地域はもとより、これらの施設のない地域で、大規模土砂災害のおそれがある地域も含めて状況把握が重要である。
・ 豪雨による災害時など、下流域の河川氾濫や浸水等の被害が着目される一方で、上流域における大規模土砂災害が発生している場合もある。
・ 小雨もしくは無降雨時においても、地下水による影響等により、大規模土砂災害が発生するおそれがある。
下記に資料が公開されていますので是非確認することをお薦めします。
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