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『いさぼう技術ニュース』 http://isabou.net/ 平成17年07月21日号
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梅雨もそろそろ終わろうとしています。本格的な夏に向かい、昨年度の災害や
今回の梅雨時期の災害の本格的な対策が始まります。我々斜面の技術者の腕の
見せ所ですので是非頑張っていただきたいと思います。
さて今回の情報は斜面技術者、特にアンカーを計画する技術者には必見の
情報です。
現行の解析法では、過去に破壊した地すべりのような現場は、
破壊面を調査し、極限平衡法によって解析・設計していると思います。
しかしこれまで破壊経験がなく、例えば今後大きく地形変革し、
その影響で破壊に至るか否かという検討をしようとする場合、
皆さんはどのような方法で行っているでしょうか。
多くの方は繰り返し円弧計算をかけ、最も低い安全率を示すすべり面に対して
対策工などを計画していると思います。
しかしこの計画では、最小安全率ではないが、不安定なすべり面Bに対して
安全ではありません。基本的には安定解析の段階でくり返し円弧計算を
行った場合は、計画安全率に達していないすべてのすべり面に対して安全な
アンカーを計画しなければならないというのが理屈でしょう。
しかし現実的にはそのようなことはできず、要は破壊ラインが安定解析で
1つに絞れないことがおかしな解析となる原因なのです。
ではFEMを使ったらどうなるでしょう。
FEM解析は微小変形理論ですので破壊の直前の状態が把握できる理論です。
これを有効利用し、対策工の計画をすることを考えます。
しかし現状では性能設計法に完全移行しておらず、現行の設計法と
バランスを考えつつ進める必要があります。
今回紹介するのはひとつの考え方です。
モデルとしてはある斜面の上部に付加荷重がかかる場合のアンカー工の
対策について考えます。
未対策で荷重を付加した場合の長期的な斜面の安定度はFEM解析で
思いがけず明瞭に解析できます。局所安全率を確認することで
斜面の破壊手順まで推定できます。
またFEM解析では具体的な変位量が計算できます。さらに弾塑性状態も
解析できます。すべり面に移行する場合は塑性状態となることがわかります。
これらにより繰り返し円弧すべり計算では複数あった破壊ラインが
特定されます。ここで現行の設計法を用い、予想される破壊ラインで、
安定計算を行い、アンカー工を計算します。
最後に計画したアンカーを打設した場合の斜面の動向を再びFEM解析を
使って照査します。この時にアンカーの施工時期や定着荷重を
いろいろ変えることによって、斜面の安定度が大きく変わることが確認できます。
つまりFEM解析を併用することによって、現行の設計法で
説明できない部分を補填できたり、アンカー工の打設時期や定着荷重までもが
議論できるようになるのです。
みなさんも一度解析してみたらいかがですか。
もっとおもしろいことができるかもしれません。
▽アンカー設計にFEMソフトをどう使うのか?
http://isabou.net/Convenience/Tool/anchor/index.asp
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