いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら

┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛

 『いさぼう技術ニュース』 http://isabou.net/ 平成22年1月14日号

┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛


昨年12月10日号のいさぼう技術ニュースで、CO2削減というテーマに対して
土木の世界での対応がなかなか進まないのは、土木とCO2の関係そのものが
わかりにくいことがあることをお伝えしました。

今回はそれを一歩前進させて、「土木でどのくらいのCO2がでるのか?」に
ついてまとめてみました。

CO2削減というテーマについて、全産業の中で土木の占める割合はどの程度
なのでしょうか。先ずは、その辺のイメージを持つ必要があります。
資源エネルギー庁が、我が国における温室効果ガスの排出状況を調べた
データがあります。
これによれば、エネルギー起源二酸化炭素排出量について部門別でみると、
排出量全体の約40%が産業部門、次いで運輸部門(約23%)、業務その他部門
(約17%)、そして家庭部門(約14%)の順となっています。
40%を占める産業部門で大きな排出は発電と鉄鋼業 、セメント業といわれて
います。このうち、鉄鋼とセメントについては需要の多くを「公共(土木)
事業」が占めている、といわれています。

○セメント製造業
経済産業省の「窯業・建材統計」によると、セメントの生産量は、ピークと
なった平成8年(9927万トン)以降は減少傾向で、特に公共工事が全国的に
抑制傾向にあるため、その影響を大きく受け、製造量自体は減っています。
では、そのうち土木の占める割合はどの程度なのでしょうか。これには、
「生コンクリート製造業の概要 - 全国生コンクリート工業連合会」の資料が
あります。これを見ると、年々建築の比率が上がり、土木は下がってきてい
ます。平成20年のデータでは生コンクリート出荷量の約37.6%が土木事業向
ということになっています。
現在土木業界よりも建築業界の方がCO2削減問題に対して積極的である理由を
裏付けています。
土木の中の内訳は、鉄道・電力7%、港湾・空港11%、道路29.1%、その他
52.8%です。

○鉄鋼業
まず鉄鋼の生産高ですが、「受注統計/時系列 - 社団法人日本鉄鋼連盟」の
データがあります。セメントが年々減っているのに対して、鉄鋼生産高は
80,000千t内外と、ほぼ横這いを維持しています。
ではそのうち土木の占める割合はどの程度なのでしょうか。
同じく「受注統計/時系列 - 社団法人日本鉄鋼連盟」のデータを見ると、
自動車業界と、建築・土木を合わせた建設業界がトップで並んでいます。
また建設の中では土木は建築の約半分程度となっています。鉄鋼についても
現在、土木業界よりも建築業界の方がCO2削減問題に対して積極的である理由
を裏付けています。

○土木工事一般
セメント、鉄鋼といった材料ではなく、土木工事そのものにおいてもCO2は
排出されます。
現在、土木にしぼってのCO2排出量をテーマにした資料は殆ど見あたりません。
その中で日本建築学会の研究発表会資料で「建築工事及び土木工事における
CO2排出量の地域特性に関する研究)」があります。
これを見ると、土木では、事業間でCO2を排出しやすい事業と、しにくい事業
の特性は少なく、事業量の大小によってCO2排出が決まっていることがわかる
のです。

○土木でのCO2削減に対する評価
次に土木の世界でCO2削減をうたった場合の評価はどうなっているのだろうか
という問題もあります。建築の場合その発注者は民間が多く、イメージなどを
大切にする思想から、CO2削減をうたった場合の受注効果が出やすいといえます。
これに対して、土木は殆どが公共事業であるため、発注者である国や地方自
治体側で、その評価方法を確立させることが普及の第一歩となります。
現在最も直接的な評価は、総合評価落札方式の入札であるといえます。
CO2削減の取り組みを加点対象にするケースは徐々に増えてきたのです。
例えば、国土交通省近畿地方整備局が2007年度に加点対象にした入札は62件。
評価点に占める重みはまだ大きくありませんが、ほかの発注者にも導入が広が
る可能性はあります。事例では89.4点の加算点のうち最大で15点をCO2削減の
技術提案に与えるという案件も出てきています。

具体的な提案例としては現在のところ、建設機械に重点が置かれているよう
です。土砂運搬のダンプトラックの排気に着目したり、また例えばあるゼネコ
ンにおいては、1回の盛土厚さを厚くすることで、盛土の回数を少なくし、
建設機械の稼働時間を減らしてCO2の発生量を抑える提案をしています。

また公共工事に使用する資材側の提案もでてきています。
日本道路建設業協会は、舗装工事からのCO2排出量の削減を推進するため、
加熱アスファルト混合物を通常より低い温度で製造・施工する「中温化舗装」
の普及に力を入れる方針を発表しています。混合物製造時のCO2排出量を通常
より約15%削減できる特長を生かし、「低炭素アスファルト舗装」として、
公共発注機関などに採用を働きかけています。

詳しくは下記ページで

▽いさぼう便利ツール「CO2排出量削減」
http://isabou.net/Convenience/Tool/index.asp

---------------------------------------------------------------------
 ☆ いさぼう今週の更新ページ ☆
---------------------------------------------------------------------

■【知取気亭主人の四方山話】-第341話 「豊かさの尺度」
http://isabou.net/refresh/yomoyama.asp
長い間世界第2位を保ってきた日本の国内総生産(GDP)が、今年中国に抜かれ
るのが確実だという。今年どころかもう既に抜かれている、という見方もある。
何時抜かれるにせよ、国の豊かさを表す一つの指標に変わりないが、GDPは
本当に国の豊かさを表しているのだろうか...

Copyright(C) ISABOU. All Rights Reserved.