建設業界での生き残りをかけて経営統合などの話が進んでいます。 ●建設業
H.14.1の三井建設と住友建設の経営統合(三井住友建設)、H.16.4のあすなろ建設と青木建設の経営統合(青木あすなろ建設)、H.19.1の岩田建設と地崎工業の経営統合など、に続き下記のニュースが流れています。
オリエンタル建設は26日、橋梁下部工事の白石を10月1日付で吸収合併すると発表した。建設業界の「脱談合」に伴い、価格競争が激化しているため、規模を拡大し経費を削減する。今後同様の事例が相次ぎそうだ。
白石株一株にオリ建株を0.3株を割り当てる。新株発行数は未定だが、オリ建が保有する自己株(155万株)も利用する。存続会社はオリ建で、白石は上場廃止し解散する。新社名は「オリエンタル白石」。6月下旬の株主総会で決議する。
のれん代は約10億円で数年かけて償却。配当は「できるだけ早期に実施したい」(オリ建の柿塚輝昭社長)意向。オリ建の筆頭株主である太平洋セメントの出資比率は下がる見込みだが、「関係は変わらない」(同)としている。
オリ建と白石は橋梁工事で上下部一式の発注が増えているのに対応するため、昨年7月に技術提携を締結。その後財務の悪化していた白石が合併を申し込んだ。
[1月29日/日経金融新聞] |
主に建設会社は経営統合によって、受注の拡大、利益率の改善と経費を削減でき、企業価値を高めるなど効果を見込んでいると思われます。具体的にはどんなメリットがあるかというと、
・技術を融合した設計、施工により、原価の削減、工期の短縮が可能
・重複する人的資源の一部を新たな事業に振り向けることで、将来の収益の柱を育成
・重複を解消することで間接コストを削減
・遊休資産、周辺事業の資産を処分することで、借入金の返済と金利負担の軽減
・規模の拡大により、資機材の調達コスト低減、協力会社の統合活用による外注費削減
等ではないでしょうか。
●建設コンサルタント
一方建設コンサルタントでも合併の話はあります。しかしその内容や目指す目的は建設会社とはやや異なるようです。
設計コンサルタント売上高上位の会社では、M&A(企業の合併・買収)が活発となっています。H.18年6月には、国土環境と日本建設コンサルタントが合併して「いであ」を設立しました。また同月にはオリエンタルコンサルタンツが水建設コンサルタントを子会社化しています。さらに7月には、日本シビックコンサルタントがコンテクと合併したほか、エイトコンサルタントが日本技術開発を子会社化しました。
これらを見ると技術的な弱部の補強にM&Aを利用しているように見えます。今後急速に進むのではないかという業界再編、生き残りをかけて自分の会社ではどのような基本思想をもっているのか、確認してみるのもよいのではないでしょうか。
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