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ニューマーク法は、N.M.ニューマーク(Nathan Mortimore Newmark,アメリカ,1910 – 1981)が開発した手法です*)。
歴史は古く、1965年に開発されています。
しかし、前回紹介したニューマーク法は、1997年に堀井ら**)が円弧すべり面上のモーメントのつり合いから回転変位量を求める方法に発展させたものです。
それでは、それぞれ何が違うかを見てみます。
N.M.ニューマークが最初に開発した手法は、端的にいえば直線すべりの場合のものでした。高校の物理などでも習う斜面を運動する剛体です。
地震力がある一定以上(強度)を超えた時(摩擦則)に慣性力が発生し、これに伴って斜面上の物が動いていきます。
堀井らの手法は、いわゆる円弧すべり計算に適用したものになります。
すべらせる力と、すべりに抵抗しようとする力。
これらのバランスで安全率が決まっていたりします。
安全率が1以上であれば、静止しています(つり合いを保っています)が、ここに新たな力が加わると、(静的な)力のつり合いを違反します。
法律を違反したら罰金がかかるように、違反した分だけ土塊が動かされます。
安全率1以下というのは慣性力が発生したという事に等しいのです。
地震のように何度も何度も繰り返して荷重が作用するような場合には、すべり面の摩擦を超える荷重が作用するたびに、超えた分が円弧をすべらせるのです。
余談ですが……
ニューマーク法というと、ニューマークのβ法を思い浮かべる方もいるかと思います。
ニューマークのβ法は、やはり同じくN.M.ニューマークが1959年に提案した時間積分の手法です。上記のニューマーク法とは違うので、文献を読む際などは注意しましょう。
もっとも、ニューマーク法には、時間積分が必要ですので、そこにニューマークのβ法を使う事ができます。ですので、【ニューマークのβ法を使ったニューマーク法】というものもあります。
*) Newmark, N.M. : Effects of Earthquake on Dams and Embankments, Geotechnique, Vol.15, No.2, pp.137-160, 1965.
**)堀井克己,舘山勝,内田吉彦,古関潤一,龍岡文夫:ニューマーク法による鉄道盛土の地震時滑動変位予測,第 32 回地盤工学会発表会発表講演集,pp.1895-1896.1997.