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 「道路土工擁壁工指針(平成24年度版)」の改訂概要
 

 

  H24.8に、待望の「道路土工 擁壁工指針」が改訂されました。ここでおさらいですが、一連の道路土工の改訂には、以下の基本があります。

(1) 「性能設計」の枠組みを導入
 どれくらいりっぱな道路を造るかを設定したもので、従来の仕様設計についての「みなし」を記載してある一方で重要度の高い等の道路では性能を照査することが基本となります。

(2)近年の豪雨・地震による土工構造物の被災
 事例を踏まえた最新の知見の反映を目指したもので、近年多発する豪雨と地震という2大災害について経験等から得た教訓を反映することが基本となります。

(3)土工構造物では従来以上に排水処理と締固めを強化
 性能設計とともに、設計以上に丁寧な施工と施工管理を要求することが基本となります。

 この一連の改訂の中で、擁壁工指針が改訂されたわけですが、読むと、性能照査の考え方が前面に出ているため、一読では非常に難しい印象を受けます。例えば下記の@、Aは非常に固く、難しい印象を受けます。

@擁壁の性能照査の原則
 擁壁の照査の原則を示したものです。擁壁の設計に当たっては、原則として、想定する作用と擁壁の重要度に応じて定めた要求性能に対して適切に限界状態を設定し、想定する作用に対する擁壁の状態が限界状態を超えないことを照査する必要があります。
 擁壁の限界状態の一般的な考え方は「4−1−5 限界状態」に示されていますが、限界状態は、構造物条件、施工条件、維持管理の容易性等の諸条件によって様々な考え方があり、限界状態の設定に当たっては、構造条件、施工条件、日常点検、異常時の緊急点検と応急復旧体制を含めた維持管理の容易さ等を考慮して定めることが重要です。

A設計の前提条件
 擁壁の安定性、耐久性は、設計のみならず施工の善し悪し、維持管理の程度により大きく依存します。このため、設計に当たっては、設計で前提とする施工、施工管理、維持管理の条件を定めなければならないとしています。

 一方で以下のBの特徴があります。

B第5章コンクリート擁壁、第6章補強土壁、第7章軽量材を用いた擁壁、に示す構造形式の擁壁の照査
 第5章、第6章、第7章に示す構造形式の擁壁の設計に当たっては、これまでの経験・実績等を踏まえて、それぞれ各章に基づいて設計・施工し、第8章に基づいて維持管理を行えば、上記@、Aの性能照査を行ったとみなしてよいこととしています。ここがポイントです。

つまりきちんと設計、施工、維持管理を行えば、特別なことをしなくても良いとも捉えられるのです。

また新旧の指針で章別に改訂点をまとめれば、下表となります。

備考
1-3-2 擁壁の変状・損傷の発生形態 a),b),c),d),e) a)滑動、b)転倒・支持不足、c)軟弱地盤における沈下、d)すべり(円弧・斜面上・軟弱な土層を含むすべり)、e)側方移動、
f)擁壁躯体の損傷、g)基礎の洗掘
f)とg)が追加
3-1 計画
擁壁計画フロー図
1) 設置目的 1) 設置の必要性
2) 要求性能の設定(追加)
4-1-2 想定する作用 (1),(3),(4) (1)常時、(2)降雨、(3)地震動、
(4)その他
(2)が追加
4-1-3 擁壁の要求性能

要求性能1〜3
重要度1〜2
新規
4-2-6 地震の影響 (1),(2) (1)慣性力、(2)地震時土圧、
(3)地盤の液状化の影響
(3)が追加
4-3 土の設計諸定数 φ=15+√(15・N) N値から推定する方法
砂質土のせん断抵抗角φの計算式が変更
地盤調査法、農林系の推定式
4-4-2 コンクリート 無筋・・18N/mm
鉄筋・・21N/mm
無筋・・18N/mm
鉄筋・・21N/mm
プレキャスト・・30N/mm
プレキャストを定義した
4-4-5 設計計算に用いるヤング係数

 

40を追加
40・・・3.1×104 N/mm
4-5-2 コンクリートの許容応力度 例)

設計基準強度が21のとき

τa1=0.36
例)

設計基準強度が21のとき

τa1=0.22

τa1=τa1初期×Ce×Cpt×CN

40を追加

せん断応力度の変更

補正係数を導入
4-5-4 鋼材の許容応力度

4-5-5 鋼管杭の許容応力度

現場溶接

引張:126、167(SKK400、490)

圧縮:126、167

せん断:72、95

現場溶接は原則として工場溶接と同じ値とする 工場溶接

引張:140、185(SKK400、490)

圧縮:140、185

せん断:80、105

5-2-4 土圧の算定
(1)土圧の作用面と壁面摩擦角
β:仮想背面から角度抽出 β’:擁壁天端から角度抽出
(2)主働土圧の算定方法

3)切土部擁壁に作用する主働土圧

従来式 変更 δ1=βを考慮した計算式に変更

δ1=β=0の時は、従来通り

5-3-2 直接基礎の擁壁における擁壁自体の安定性の照査

1) 滑動に対する安定の照査

[参考5-2] 突起を設ける場合
滑動に対する抵抗力(分子)

V0・μ+cB・B
B:(擁壁底版幅)

従来式
滑動に対する抵抗力(分子)

V0・μ+cBB’
B’:(擁壁底面の有効載荷幅)

計算式の変更
 
3) 支持に対する安定の照

[参考5-3] 斜面上の基礎地盤の極限支持力の算出方法

参考として追加
4) 変位に対する照査

追加
地震時の動的照査法
簡易解析法(ニューマークなど)
(2) 根入れ深さ

コンクリート水路を設ける場合

水路底より30cm以上 水路底面より30cm以上
(3) 置換コンクリート基礎等

[参考5-6] 改良地盤上の直接基礎の適用範囲と安定性に対する検討

(B) 安定性に対する検討
底版幅 有効載荷幅

改良土の重量を計上

 
5-4-3 せん断力が作用するコンクリート部材

(1) 平均せん断応力度

従来式 部材の有効高の変化の影響を考慮したせん断力で計算
(2) 斜引張鉄筋の算出方法 従来式 部材の有効高の変化の影響を考慮したせん断力で計算
5-5 耐久性の検討

コンクリート標準示方書等を参考
5-7-3 もたれ式擁壁

(3) 擁壁自体の安定性の照査

3) 支持に対する安定の照査
背面が倒れても底版内に収まり、且つ引張応力度に対して安全が確保されればOK(一部の区間) 背面に倒れる場合における

支持力算出方法(簡便法)の追加

 
(4) 部材の安全性の照査 簡便法からの算出方法を追加
5-7-4 ブロック積(石積)擁壁

(2) 通常のブロック積(石積)擁壁の設計

経験則 地盤反力式の追加

盛土部の5mを超えるブロック積が除外

地盤が緩い場合の処置?
5-7-5 片持ばり式擁壁

4) 底版のせん断力に対する照査

従来式 せん断スパン比によるせん断耐力の割増し係数の考慮
5-7-7 井げた組擁壁

(3) 擁壁自体の安定性の照査

合力作用点位置が底版中央の底版幅1/3の範囲よりも後方にあれば安定
q1=2V/B
もたれ式擁壁に準じて安定性の照査を行ってよいこととした
5-7-8 プレキャストコンクリート擁壁

(2) 鉄筋のかぶり

被りの最小値を計算式で追加

コンクリート標準示方書による計算式

 

 

 

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