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 「のり枠工の設計・施工指針(改訂版第3版)」 変更点比較
 

2015/02/17

 今月12月5日に、「のり枠工の設計・施工指針」が改訂され、改訂版第3版が 発行されました。
 (一社)全国特定法面保護協会ホームページによりますと、従前の改訂版に比べ、追記、変更された主な点は次のとおりとなっています。

1.計画および調査の章を追記しました。
2.軸力を考慮する場合の設計せん断耐力式を改めた。  
  なお、通常用いる算定式については変更ありません。
3.のり枠工の点検と評価について着眼点や評価の例を追記しました。
4.安全管理の内容を充実しました。
5.モルタル吹付面にケイ酸塩系表面含浸材を塗布した場合の耐久性試験の結果例をのせました。
6.コンクリートとモルタルの構造では性能に違いがあることも想定されるため、モルタルを用いる枠工の構造性能
  について実物大実験を行って   適用性について再確認し、その実験資料を載せました。
7.のり枠の施工事例の写真をのせました。

 今回いさぼうネットでは、この改訂版について変更点をさらに詳しく調べ、 比較表を作成してみました。
  

 「のり枠工の設計・施工指針(改訂版第3版)」 変更点比較表
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
1.3 用語の解説 (p.4) 1.3 用語の解説 (p.5)
内容 表面水:
のり面を走り流れることにより侵食を発生させる水。侵食されて形成された凹地形をガリということがある。
のり面流下水:
降雨や湧水、後背地からの流水などがのり表面を走り流れる水。
流下水量や流速が大きく、軟らかな地質であると、のり表面を浸食する。表流水ともあらわす。
維持管理:
のり枠工は、経年劣化や設計時点で考慮されなかった外力の作用などで変形、変状を生じ、広範囲ののり面崩壊につながることも想定される。このため、ここでは点検、調査、評価、補修・補強の一連の作業を通じてのり枠工の性能を維持するため行う管理をいう。また、中詰工も同様に管理を行う。
点検:
のり枠工の劣化や変形、変状を把握するための点検で、ここでは目視による点検を主とするが、詳細な状態を把握する必要のある場合には、測定機器などを用いた調査を行うことがある。点検はその規模や頻度によって防災点検、日常点検、定期点検、臨時点検、あるいは異常時点検などに分かれる。
評価:
点検から把握した変状の程度や規模によって、のり枠工や中詰工およびのり面の安全性などを判断し、ここでは補修・補強の必要性や詳細調査の必要性、あるいは点検の継続といった維持管理方法を判断することとしている。
解説 「表面水」を「のり面流下水」に変更。  また、「維持管理」、「点検」、「評価」を新たに追加。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
3.2 安全性能の照査【解説】 (p.11) 3.2 安全性能の照査【解説】 (p.11)
内容 これまでの震災被害の経験から、のり枠工では耐震性能に対する照査は行っていない。 これまで、我が国は兵庫県南部地震、中越地震、岩手・宮城内陸地震、および東北地方太平洋沖地震などの大地震を経験している。
 「道路土工切土工・斜面安定工指針平成21年度版」によると、兵庫県南部地震、中越地震において、土圧を考慮した構造物、安定している地山に密着した構造物、フレキシブルな構造物(井桁組擁壁等) などの損傷は、軽微であったことが報告されている。
 また、岩手・宮城内陸地震発生直後、本協会が実施したのり枠工での調査では、設計で考慮しているすべり面よりも深い位置からのすべりが原因と思われる損傷が一部で確認されている。このような損傷の場合、のり尻からの押し出しによりのり枠工がずれたり、グラウンドアンカーとともに枠工の一部が破損した程度であった。
 東北地方太平洋沖地震後の調査でも、吹付枠工の破損による崩壊被害はほとんど確認されず、枠工の軽微な損傷程度にとどまっていた。
 これまでの調査結果からは、耐震性能の照査方法に反映できるだけのデータの蓄積もなく、のり枠工の耐震性能照査方法の確立は今後の課題となっている。
解説 耐震性能照査を行っていない理由について、具体的に述べられている。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
第4章 計画及び調査 (p.15、16)
内容 4.1 計画
のり枠工の計画では、各種のり枠工法の特徴や適用範囲を踏まえて検討を行い、対象とする斜面・のり面の安定性の確保とともに、周辺環境との調和に配慮した計画を行うものとする。

【・・・解説は省略・・・】
4.2 調査
のり枠工の調査は、対象とする斜面・のり面の安定化を図るため、必要となる情報を収集するための調査を基本に、環境や景観性に関する事項についても調査を行うものとする。主な調査には、以下の項目がある。
(1) 一般調査
(2) 地盤調査
(3) 施工に関する調査

【・・・解説は省略・・・】
解説 のり枠工の計画および調査について、新たに追加。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
5.3 セメント【解説】 (p.25) 6.3 セメント【解説】 (p.27)
内容 予め吹付枠工が塩分による影響を受けることが想定される場合には、高炉セメントB種などの混合セメントが使用されることもある。しかし、高炉セメントは、供給される地域に制限があり、また品質にばらつきがあることも考えられるため、事前に所要の性能が得られることを確認する必要がある。 また、高炉セメントB種などの混合セメントが使用されることもある。
 例えば、高炉セメントは、
  @収縮が大きいので、セメント量が多いとひび割れが入りやすい。
  A十分な湿潤養生をしないとスラグが反応しないため、適正な強度が得られない。
  B使用骨材により強度発現性状が大きく異なる。
等の特性を持っている。吹付モルタルに使用する場合は、その特性を十分理解して使用する必要がある。
 その他の混合セメントを使用する場合も高炉セメントB種と同様に、その特性を十分に理解して、使用する必要がある。
解説 高炉セメントB種の問題点について、具体的に述べられている。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
6.3.3 設計せん断耐力 (p.45、46) 7.3.3 設計せん断耐力 (p.47、48)
内容 (2) 腹部コンクリートのせん断に対する設計斜め圧縮破壊耐力Vwcdは、式(6.3.6)により求めてよい。
  Vwcd = fwcd・bw・d/γb (6.3.6)
 ここに、fwcd = 1.25√f'cd ≦ 7.8 (N/mm2)
  γb:部材安全係数、一般に1.3としてよい。
(2) 腹部コンクリートのせん断に対する設計斜め圧縮破壊耐力Vwcdは、式(7.3.6)により求めてよい。
  Vwcd = fwcd・bw・d/γb (7.3.6)
 ここに、fwcd = 1.25√f'cd ≦ 9.8 (N/mm2)
  γb:部材安全係数、一般に1.3としてよい。
すなわち、βnは次式で表されるが、Mo=0となるため、βn=1.0となる。 
 βn=1+Mo/Md(N'd≧0の場合)ただし、βn>2となる場合は2とする。
 βn=1+2Mo/Md(N'd<0の場合)ただし、βn<0となる場合は0とする。
N'd:設計軸方向圧縮力
Md:設計曲げモーメント
Mo :設計曲げモーメントMdに対する引張縁において、軸方向力によって発生する応力を打ち消すのに必要な曲げモーメント
すなわち、βnは次式で表されるが、Mo=0となるため、βn=1.0となる。 
 βn=1+2Mo/Mud(N'd≧0の場合)ただし、βn>2となる場合は2とする。
 βn=1+4Mo/Mud(N'd<0の場合)ただし、βn<0となる場合は0とする。
N'd:設計軸方向圧縮力
Mud:軸方向を考慮しない純曲げ耐力
Mo :設計曲げモーメントMdに対する引張縁において、軸方向力によって発生する応力を打ち消すのに必要な曲げモーメント
なお、MoとMudは、部材係数を1.0として算定する。
解説 fwcdの上限値が7.8から9.8に変更。(f'ck≦40であれば影響はない)
βnの算出式が変更。(のり枠工では軸方向力は作用せずβn=1としているので影響はない)
いずれもコンクリート標準示方書の改定(2012年制定)に伴い、見直されている。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
6.4 使用性能の照査【解説】 (p.46) 7.4 使用性能の照査【解説】 (p.48)
内容 のり枠工の許容ひび割れ幅wは、解説表6.4.1の「一般の環境」で用いられることが多いので、標準的には0.005cとする。ただし、解説表6.4.1に適用できるかぶりcは、100mm以下を標準とする。 のり枠工の許容ひび割れ幅wは、解説表7.4.1の「一般の環境」で用いられることが多いので、標準的には0.005cとする。ただし、解説表7.4.1に適用できるかぶりcは、100mm以下を標準とし、許容ひびわれ幅の上限を0.5mmとする。
解説 許容ひびわれ幅の上限値(0.5mm)が新たに追加。(かぶりcが100mm以下であれば影響は無い)
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
11.3 のり枠工の維持管理【解説】 (p.83) 12.3 のり枠工の維持管理【解説】 (p.86)
内容 風、雨、日射などの影響を特に受けやすいのり枠工の補修・補強の施工においては計画時に施工時期を十分考慮する必要がある。また、供用中の道路に面したのり枠工の補修・補強は安全に対して入念な対策を講ずることが必要である。 のり枠工の補修・補強の施工は、風雨、気温、日射などの影響を十分に考慮して行う必要がある。また、供用中の道路に面したのり枠工の補修・補強は第三者への安全に対しても入念な対策を講ずることが必要である。付録‐5に補修事例を示している。
吹付枠工の劣化や変状についての参考になる資料として、フリーフレーム協会が作成した
  平成24年6月「フリーフレーム枠の実態調査報告書」
  平成24年6月「東日本大震災によるフリーフレーム枠の調査報告書」
等がある。
解説 吹付枠工の劣化・変状についての参考資料を新たに追加。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
12.5 のり枠工の点検と評価 (p.87〜92)
内容 のり枠工の点検は、工種毎に必要な点検項目を個別に定めて、点検項目毎に変状の「程度」、「規模」を評価して補修・補強の必要性を判断するのを基本とする。
【・・・解説は省略・・・】
解説 のり枠工の点検と評価について着眼点や評価の例を新たに追加。
また、点検項目と程度、規模のランクや評価方法を記した、変状調査票(例)も追加。(下表参照)

区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
12.2 施工時の安全管理
【解説】 (p.84)
13.2 施工時の安全管理【解説】 (p.93〜98)
内容 4)項目別災害防止対策の検討を行う。
i )墜落・転落災害防止対策
ii )飛来・落下災害防止対策
iii )機械関連災害防止対策
iv )感電災害防止対策
v )重量物の運搬、取り扱い対策
vi )危険、有害、粉じん作業対策
vii )公衆災害防止対策
viii)火災防止対策
ix )交通事故防止対策
4)項目別災害防止対策の検討を行う。
 @墜落・転落災害防止対策
  o作業用具、保護具などの使用前点検は確実に実施し結果および処置を記録する。
  o安全帯などの保護具は厚生労働省などの構造規格が定められているものを使用し、私製のものや改造したものは絶対に使用してはならない。
  o保護具などはスペアを準備し、点検により不良品を発見したら直ちに取り替える。
  oのり面の昇降は原則として安全通路を確保して行い、やむを得ず親綱で昇降する場合は、必ずグリップ付の安全帯を使用する。
  o安全帯の親綱への装着は安全な場所(平坦部など) で行う。
  oのり面作業はグリップ付安全帯を使用する。また、手すりのないのり肩、小段(犬ばしり) での作業や移動も安全帯を使用する。
  o親綱1本の長さは転落防止用の手すりを設けた小段、またはのり尻まで届く長さのものを使用する。(中間で継ぎ足さない)
  o親綱は2箇所以上の立木(の20cm 以上) またはアンカーに結束する。また、アンカーは2箇所が有効に作用する位置で設定する。
  o親綱は作業前に健全であることを確認し、スレの恐れがある箇所はウマを設け、保護カバーなどで養生する。
  o開口部、作業床の端部など墜落・転落の恐れのある場合には手すり、囲い、覆いなどを設置する。
  o高所作業は、高血圧症、心臓疾患症や年少者を配置しない。
 A飛来落下災害防止対策
  【・・・以下省略・・・】
 B崩壊・倒壊災害防止対策
  【・・・以下省略・・・】
 C機械関連災害防止(重機災害の防止)対策
  【・・・以下省略・・・】
 D一般建設機械災害防止対策
  【・・・以下省略・・・】
 E感電災害防止対策
  【・・・以下省略・・・】
 F重量物の運搬、取り扱い対策
  【・・・以下省略・・・】
 G危険有害、粉じん作業対策
  【・・・以下省略・・・】
 H熱中症対策
  【・・・以下省略・・・】
 I火災防止対策
  【・・・以下省略・・・】
 J交通・公衆災害防止対策
  【・・・以下省略・・・】
解説 災害防止対策の検討項目が追加され、対策内容も詳細に追加。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
付録‐1 吹付枠工の設計例 (付9) 付録‐1 吹付枠工の設計例 (付9)
内容 (3) 支圧強度に対する照査
 
 支圧強度の照査は、支圧板の大きさを決めることと関連する。
 支圧板は、グラウンドアンカーの部材であり、(一社)日本アンカー協会の「グラウンドアンカー設計施工マニュアル」で紹介されているので、ここでは支圧板の照査方法については、省略することとした。
 したがって、支圧板の検討は、(一社)日本アンカー協会の「グラウンドアンカー施工のための手引書」を参考にされたい。
解説 支圧板の検討は、(一社)日本アンカー協会の「グラウンドアンカー施工のための手引書」を参考されたいに変更。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
付録-6 既設吹付けモルタルの耐久性向上試験(例) (付30〜33)
内容 1. はじめに

 のり面の風化や侵食を防止するための補修工事の一つとして、モルタル吹付工や吹付枠工が挙げられる。これらの対策後にも適切な維持管理が必要であるが、実態としては行われていないことが多い。また、これらの対策に加えてけい酸塩系表面含浸材が塗布された場合の、耐久性向上効果を評価した事例はない。
 以上の背景を踏まえ本研究では、けい酸塩系表面含浸材の塗布による、モルタル吹付工および吹付枠工の耐久性を実験的に評価した。すなわち、施工後約30年が経過したのり面からコアを採取し、けい酸塩系表面含浸材を塗布した後の、透水係数、中性化深さ、塩化物イオン浸透深さおよびビッカーズ硬さを測定し、無塗布のケースと比較した。

  【・・・以下省略・・・】
解説 モルタル吹付面にケイ酸塩系表面含浸材を塗布した場合の耐久性試験の結果例を新たに追加。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
付録-7 のり枠工の曲げおよびせん断に関する性能評価 (付34〜43)
内容 1. 実験の目的

本設計・施工指針で取り扱うのり枠工はモルタルの使用を前提としている。コンクリート構造とモルタル構造では、構造性能に違いがあることも想定されるために、実寸大ののり枠工による曲げおよびせん断試験を実施した。実験を行う際の検討項目は以下の通りである。

(1) 曲げひび割れに関する検討
標準的なのり枠工の形状・寸法ならびに配筋方法に対して, 現行の曲げひび割れ幅の算定式が適用できるか検証を行う。

(2) 安全性に関する検討
コンクリートに適用している耐力算定式がモルタルに対しても適用できるかどうかを検討する。特に、せん断耐力式に関して、モルタルとコンクリートでは骨材のかみ合い作用が異なると考えられるため、コンクリートをモルタルに置き換えた場合のせん断力Vdについて確認を行う。

  【・・・以下省略・・・】
解説 コンクリートとモルタルでは性能に違いがあることも想定されるため、モルタルを用いた枠工の実物大実験資料を新たに追加。
区分 [旧] 改訂初版(H18.11) [新] 改訂第3版(H25.10)

(頁)
付録-9 施工事例 (付45〜47)
内容 【・・・事例写真は省略・・・】

代表的な吹付枠工(のり枠形状・枠内処理工・併用工)
 ●簡易なのり枠工(欠円状)
 ●一般的なのり枠工(矩形状)
 ●凹凸斜面におけるのり枠工(枠内緑化)
 ●凹凸斜面におけるのり枠工(枠内モルタル)
 ●鉄筋挿入工を併用したのり枠工
 ●グラウンドアンカー工を併用したのり枠工

美観・景観に優れる吹付枠工
 ●美観・景観に優れた道路沿いのり枠工
 ●緑量に優れ、自然と調和したのり枠工
 ●既存木を残したのり枠工
 ●景観緑化(花井) によるのり枠工

プレキャストのり枠工 現場打ちコンクリート枠工
 ●プレキャストのり枠工
 ●現場打ちコンクリートのり枠工

環境性能(美観・景観、緑量等)を高めた新しい吹付枠工
 ●断面形状を変えたのり枠工(台形状)
 ●客土ポケットがある植栽可能なのり枠工
 ●横枠に勾配緩和網を使用した急勾配面の緑化(植栽)が可能なのり枠工
 ●枠内に勾配緩和網を使用した急勾配面の緑化が可能なのり枠工
 ●横枠部に間伐材を利用したのり枠工
 ●のり枠面にも緑化が可能なのり枠工
解説 のり枠の施工事例写真を新たに追加。
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