河道の直線化やコンクリート化などに代表される効率性を重視した治水対策は、一刻も早く安全に洪水を海に流すことを目的としたものです。
一方これらの流れは必ずしも自然環境に配慮した対応を取っているとはいえず、近年、河川における生物の生息・生育環境を悪化させています。
このような中、平成9年に河川法が改正され、従来からの「治水」と「利水」に加え、「河川環境の整備と保全」が法の目的に追加されています。
その一つが平成2年度にパイロット事業として開始された「多自然型川づくり」であり、現在では災害復旧事業まで含めた全ての河川整備において行われています。
平成2年度から「河川水辺の国勢調査」が、また平成7年度から「河川生態学術研究」が、さらに平成10
年度からは「自然共生研究センター」での研究が開始されています。
これらと並行して、魚類の遡上・降下環境の改善を目的に、魚道整備に試行的に取り組み、堰、床固、ダム及び砂防ダム等の河川横断施設について、施設とその周辺の改良、魚道の新設・改善、魚
道流量の確保等を計画的、積極的に実施すべく、「魚がのぼりやすい川づくり推進モデル事業」が平成3年度から開始されました。
同モデル事業の開始後10
余年が経過した現在、かなりのノウハウが集められてきており、国土交通省はそれを「魚がのぼりやすい川づくりの手引き書」としてとりまとめています。皆様はご覧になったことがあるでしょうか。
河川横断施設などにより魚の遡上・降下に影響を与えている河川が今も多くあります。魚道は失った河川の機能を取り戻すための一つの手段であり、魚道も含めて魚がすみやすい、また、魚以外の生物もすみやすい川の姿を再生する必要があります。
是非一度目を通し、皆様の技術の「ひきだし」に加えたらいかがでしょうか。
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