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 災害認定での適用除外
 

 

 災害が発生すると、それは我々斜面の技術者にとっては働きどころです。
日頃訓練し高めた現場力を災害復旧のために発揮することになります。この時所管の自治体の担当者とタッグで復旧計画を積み上げていくわけですが、一般的には以下のすみ分けで行われていることが多いようです。

 ●箇所付け、地元対応、災害申請、積算、災害査定など(自治体側担当者)

 ●現地調査、現地判断、復旧計画、測量、設計など(業者側担当者)

 災害はいつの時でも作業などがバタバタとなるものです。
 しかしここでよく手戻りが起こっている原因の1つとして、業者側の担当者が、現場の変状はみれるが法律や災害の仕組みをよく理解していないことによっていることが案外多いのです。「ここは自治体側の役割!」と決めつけ、それが自分の作業の手戻りや非効率に繋がっているケースを多く見ました。

 いさぼうでは、そんな業者側の技術者のために、最低限の災害の仕組みや知識についておさらいをしていこうと思います。

 第1回は「適用除外」です。

法令
 自治体において災害復旧となる対象は、土木施設災害が原則となります。民地の崖が崩れても災害認定されません。あくまでも自治体で管理している財産が被災したので公共で直しますというのが大原則なのです。ここを先ず理解します。

 次に法令関係ですが、災害復旧事業として採択される限度と範囲については以下の関係法規によって決まっています。

法律 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法施行令
規則 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法施行規則
要綱 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法事務取扱要綱
方針 公共土木施設災害復旧事業査定方針
申合 災害査定官申合事項

 

適用除外
 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第6条・1によって適用除外が決まっています。
 
@ 1箇所の工事の費用が都道府県、指定市に係るものにあっては120万円、市町村に係るものにあっては60万円に満たないもの
A 工事の費用に比してその効果の著しく小さいもの。
B 維持工事とみるべきもの。
C 明らかに設計の不備又は工事施行の粗漏に基因して生じたものと認められる災害に係るもの。
D 甚だしく維持管理の義務を怠ったことに基因して生じたものと認められる災害に係るもの。
E 河川、港湾及び漁港の埋そくに係るもの。(ただし、維持上又は公益上特に必要と認められるものを除く。)
F 天然の河岸及び海岸の欠壊に係るもの。(ただし、維持上又は公益上特に必要と認められるものを除く。)
G 災害復旧事業以外の事業の工事施行中に生じた災害に係るもの。
H 直高1m未満の小堤、幅員2m未満の道路その他主務大臣の定める小規模な施設に係るもの。

 金額で縛りがあるのを知っていましたか?この災害復旧事業は箇所ごとに決定されます。箇所は工種別(河川.海岸、砂防設備、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設、道路、橋梁、下水道、公園)に分類されます。

 ここで同一の施設について災害にかかった場所が、直線距離で100m以内の間隔で連続している場合は、各々の箇所の合計が限度額以上となれば1箇所工事とみなされます。

 二つ以上の施設(例えば道路と河川)の工事で、これらの工事を分離することが当該施設の効用上困難又は不適当な場合は、各々の箇所の合計が限度額以上となれば1箇所工事とみなされます。

※1箇所工事として注意すべきことは、その合算される各々の箇所の所管が同一でなければならないことはもちろんのこと、各々の箇所が同一被災年月日である場合に限るもので、年災の異なる場合、又は同一年災であっても被災月日の異なるものについては、増破の取扱いをするもの以外は原則として別個の工事として取扱われます。

 また「のみ災」という言葉を自治体の人が使っているのを聞いたことがあると思います。これは維持工事とみるべきものであり、以下に該当する工事に関わる災害のことなのです。

@ トンネルの巻立コンクリートの軽微な亀裂の修繕のみの工事。
A 石積み又は石張りの破損を防止するためのコンクリート突込みのみの工事。
B 間詰めのみの工事。
C 直ちに破損するおそれがなく、かつ、他に被害を及ぼすおそれがない石積み、石張り等の差狂いの修正のみの、又は欠脱の補充のみの工事 。
D 堤体に被害のない場合の漏水止めのみの工事。
E 木工汎床のわく木の軽微な破損の修繕のみの、又はその少量の脱石の補充のみの工事。
F 少量の捨石の補充のみの工事。
G 堤防、護岸等に直接影響のない程度の河床又は海岸地盤の低下に対する根固め、床止め又は突堤のみに係る工事 。
H 直接影響のない程度の河床又は海岸地盤の低下」とは、基礎工が露出しない程度又は基礎工が露出した場合にあっても堤防 。
I 護岸等の安全に支障がない、又は支障を及ぼすおそれがないと認められる程度の河床又は海岸地盤の低下をいう。
J 橋梁又はトンネルの照明設備のみに係る工事。
K 地すべり防止施設等の安定に影響しない程度の盛土の流出の補充のみの工事。
L 待受け式擁壁に堆積した崩壊土砂で堆砂容量に満たないものの排除のみの工事。
M 下水道の排水施設の埋そくで、埋そく土砂の断面積が管きょ等の断面積の3割に満たないものの排除のみの工事 。
N その他前各号に掲げるものに類する工事。


 また、「河道が著しく埋そくしたJとは、原則として河道断面の3割程度以上の埋そくの場合をいい、この場合において掘削する土量は、自然流下等による流失量を考慮して災害による堆積量の7割を基準として決定することとなっています。

 あとよくでてくるのが、道路上を崩土が埋めた場合です。
 適用では、車馬の交通に著しい妨げのない道路上の崩土の堆積に係る災害復旧事業で、「車馬の交通に著しい妨げのない」とは、幅員のうち車馬の交通の可能な部分が、原則として、幅員5m以上の一般国道又は主要地方道にあっては当該道路の幅員の6割以上、その他の道路にあっては3m以上あることをいい、「崩土の堆積に係る災害復旧事業」とは、崩土の除却のみの事業をいうのです。

 
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