それでは第一回目のテーマ「段取り八部」を始めましょう。
今回の目的は、副題にも書きましたように
準備が正否を分ける重要なキーワードであることを理解していただくことです。
昔の職人は良く「
段取り八部」という言葉を使いました。その意味は、次のようなものです。
実際の作業に取りかかる前に段取り(ことの順序や方法を定めること)をしっかりやっておけば、作業の8割は終わったようなものだ。 |
つまり、「準備作業は、物事の成否の鍵を握るほど重要なものだ」と言っているのですが、、人間のほとんど全ての行動に当てはめることができる諺です。例えば、今年はオリンピックの年ですので、スポーツに当てはめて考えてみましょう。
スポーツにとっての段取りは包括的には練習ですが、勝つための練習をするためにはもう少し具体的な「段取り」が必要となります。
(1)勝つために必要な戦力の洗い出し
(2)敵と自分(自チーム)の戦力分析
(3)劣る戦力の強化方法立案
(4)強化方法に従った練習
如何ですか。闇雲に練習をやるよりも(1)〜(4)の手順を踏み計画的に練習する方が、勝利に近づくことは明白です。これらを見ただけでも段取り(準備)が如何に重要か分かっていただけると思います。しかもスポーツの場合は、敵も同様のことを必ずやっているため、段取りが予想以上に順調にいったとしても勝つ保証がありません。その意味では、報告書の作成はまだ楽なのかもしれません。
では、報告書を書くにあたっての段取りは何でしょうか。またそのためには、どの様な視点で業務を見つめることが必要なのでしょうか。いさぼうでは次のように考えています。
(a)受注した業務の全体像を把握する
(b)業務の目的を明確にする
(c)業務の流れを明確にする
(d)キーワードを明確にする
(e)目次を書く
以上のことが業務遂行前に遺漏なく実行できれば、報告書は一貫した流れに従って書かれることになり、分かり易い報告書の基本ができあがったことになります。しかも、手戻りや勘違いを未然に防ぐことができるため、業務計画書や実行予算も大きな狂い無く作成することが可能となります。
報告書は、与えられた業務について遂行の状況や結果を述べたものですから、その内容が相手に伝わらなくてはなりませんし、何を伝えたいのか明確になっていなっていなければなりません。その意味では(b)、(c)、(d)の段取りが極めて重要であることは分かっていただけると思います。
分かり易い報告書を書き、「できる技術者」への仲間入りをし、「あなたともう一度一緒に仕事がしたい」と顧客から言ってもらうためにも、段取りが大変重要なのです。しかもその段取りは、業務遂行前に実行されなければ役に立ちません。
(a)〜(e)の段取り実行が基本です。未だ実行した経験がない方は是非やってみて下さい。必ず効果が上がるはずです。