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顧客満足に根ざした報告書の書き方

<流れに一貫性を持たせる(何度も読み返す)>

 いよいよ最終話です。今回は、“区切りの良い章、或いは報告書が一応完成した”と仮定し、最後の自己チェックを行うときの注意点を、お話しします。


 報告書は、余程のことがない限り、長期に渡って遂行された業務を或る一定期間でまとめて執筆されます。一冊の報告書を一気に書き上げ完成させてしまえば、一貫性はある程度保たれますが、一気に書けない場合や複数の担当者が手分けして執筆するときなど、一貫性を保つためにはそれなりのチェックが必要となってきます。報告書作成前の基本方針や取り決めなど予め定めておくことは勿論ですが、何度も読み返すことが重要です。そして、意図したとおりの報告書になっているか自己チェックを行い、自己修正してから照査技術者や技術管理者による最終チェックを受けるようにする事をお勧めします。


 さて、自己チェックですが、ただ読み流すだけでは修正個所を見逃してしまい、チェック機能が有効に働かない可能性があります。そこで、機能を有効に働かせるために、簡単な道具を使うことをお勧めします。道具と言っても特別な物でもありませんが、メモ用紙などの筆記用具が有れば十分です。

 準備が出来ましたら、報告書を読みながら、いわんとしていることやキーワードをメモしていきます。この時、まず執筆者であることを忘れ先入観や思いこみを捨てること、顧客の立場に立って素直な気持ちで読むこと、が肝心です。そして、メモした内容が本来書きたかったことと一致しているか、或いはメモ同士を比較して他の章との繋がりや流れに間違いや違和感がないか、用語や表現に統一性があるか、などをチェックしていきます。これを実行しますと、修正個所の見逃しは極端に減っていくと同時に、一貫性のある流れになっていくはずです。

 報告書は工期に迫られて書くことが多いため、とかく読み直しなどのチェックがなおざりにされがちですが、必ず読み返しの時間を作り、癖になるまで徹底することが重要です。読み返しの回数も、最低2回は必要でしょう。何度も繰り返し読んでいくうちに、自分なりの表現方法が身に付き、伝えたいことが素直に伝えられる文章や報告書になっていくはずです。工程計画の中に、予め自己チェックの時間を設けておくのも良い方法かもしれません。兎に角何度でも読み返し自己チェックをしてください。そして、誰もが納得する報告書を書いてください。

これで、いさぼうが考える「顧客満足に根ざした報告書の書き方」を終わりますが、報告者や文章の書き方に関する本は、数多く出版されています。今回のこのシリーズは本当に基本的なところだけを扱っています。もしもっと詳細なことを知りたいと思われる方は、出版されている本を読まれることをお勧めします。幾つか参考図書を挙げておきますので参考にしてください。
 


三木光範著 「理系発想の文章術」(講談社現代新書)

国広哲弥著 「日本語誤用・肝要小辞典」(講談社現代新書)

古郡廷冶著 「論文・レポートのまとめ方」(ちくま新書)

野口悠紀雄著 「「超」文章法 伝えたいことをどう書くか」(中公新書)

藤沢晃治著 「「分かりやすい表現」の技術」(講談社 ブルーバックス)
 

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