■柏崎刈羽原発の周辺海域で地質調査開始 範囲を拡大
新潟県中越沖地震で被害が相次いだ東京電力柏崎刈羽原子力発電所の周辺海域で、地震の原因となる断層がないかどうかを調べる地質調査が27日、始まった。東電が耐震性の評価のために過去に実施した周辺海域の調査では、活断層を見逃した可能性が浮上しており、今回は範囲を拡大して行われる。
原発周辺海域に向かう調査船「挑洋丸」=27日午前6時ごろ、新潟市中央区の新潟西港で
調査船1隻(36メートル、268トン)で臨む初日は午前10時ごろから午後4時ごろまで続けられる。調査は10月まで続く予定で、余震発生の範囲を中心に、海岸線と平行に約140キロ、海岸から沖合に向けて約50キロの範囲が対象。
船から浮きのついたケーブルをのばし、ケーブルにつけられた発振器から音波を出し、海底面の下にある岩盤に反射させて海底下の地下構造を分析する。
中越沖地震では、震源は同原発の北方約23キロの海底で、余震の震源の分布状況から地震の原因となった断層は原発の直下までのびていると指摘されている。
東電は同原発の耐震評価のため、敷地周辺の30キロ範囲で、79、80、85年に海底の音波探査を実施。79年に原発から北西約19キロの沖合に、長さ約7キロの断層を見つけたが、活断層ではないと判断し、設計時の耐震評価からはずしていた。
(アサヒ・コム 2007年8月27日)
■「激甚見送り」で上越に不満
政府は七日、中越沖地震で被災した柏崎市、刈羽村など県内4市町村を激甚災害法に基づき局地激甚災害に指定することを決定したが、上越市は柿崎、吉川両区を中心に家屋や農地、公共施設の被害が拡大しているにもかかわらず、今回の指定は見送られた。被災地からは「置き去りなのか」と怒りの声が上がっている。
同市では6日現在、住宅約25600棟、土蔵や車庫など約1500棟が損壊。同市全体の被害総額(同日現在の概算)は約50億円。このうち、集落排水施設など農林水産業関連で約21億3000万円、市道など公共土木関係で約12億1000万円の被害が発生した。指定見送りについて、内閣府(防災担当)は「現時点の被害見込額が、指定基準をクリアしなかった」と説明する。
今回の見送りを受け、生活再建に追われる被災地からは不満の声が相次ぐ。柿崎区の被災者男性(53)は「柏崎ばかりが注目され、柿崎の被害が埋没してしまう」と危機感を口にする。被災した同区選出のある市議は「柏崎市や刈羽村と共同で(指定を)求めていく方法はなかったのか」と憤りをあらわにした。
さらに、激甚災害指定を求める木浦正幸・同市長の要望のタイミングが結果として、他の被災地に後れを取ったことにも批判は集中している。
木浦市長は6日に、県庁で復旧支援を要請。8日には、内閣府などを訪れ激甚災害の追加指定などを要望する予定だが、7日の指定決定には間に合わなかった。
県関係者は「上越市の(指定に向けた)初期の動きは他の被災地に比べ、迅速だったとはとても言い難い」と指摘する。
木浦市長は「これまでも、指定要望は水面下で行って来た」と反論。国に対し、早期の追加指定に加え、指定の対象ではない農業集落排水施設について、復旧工事の補助率拡大を求めていく考えだ。
(新潟日報 2007年8月8日)
■柏崎など激甚災害指定 中越沖地震の4市町村
政府は7日午前の閣議で、新潟県中越沖地震で被災した柏崎市など同県内の4市町村を激甚災害法に基づき局地激甚災害に指定した。
7月16日の発生から23日目での指定で、2004年の中越地震より12日、07年3月の能登半島地震より4日早い。
柏崎市以外で指定を受けたのは長岡市、出雲崎町と刈羽村。中越沖地震では柏崎市などで震度6強を記録した。新潟県内で、中小企業関連の被害が438億円、道路などの公共土木施設の復旧事業に243億円、農地などの復旧に17億円が見込まれている。
激甚災害の指定により、公共土木施設や農地などの復旧事業費について国の補助率がかさ上げされる。また中小企業の事業再建のための支援措置も実施される。
(共同通信ニュース 2007年08月07日)
■県、災害復旧で地元企業優先
県は3日、中越沖地震の災害復旧での地元優先策として、柏崎、長岡、上越の3地域整備部発注の復旧工事で県の認定した地元企業による指名競争入札の範囲を従来の2500万円未満から5000万円未満に拡大することを決めた。
災害による体力低下を防ぐため、地元建設業者の受注機会を拡大するのが狙い。また、指名競争入札とすることで、通常の公募型競争入札に比べて入札期間を約半分に短縮できる効果もある。対象は、2002年度以降に3地域整備部管内で除雪や災害の応急工事などを受注した企業で、管内に本店があるか、県内に本店があり管内もしくは隣接管内に支店・営業所のある企業。
各企業が3地域整備部に申請し、県が「地域貢献地元企業」として認定する。週明けにも申請を受け付ける。
県土木部では「できるだけ多くの地元企業に申請してほしい」としている。
(新潟日報 2007年8月4日)
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