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 設計へのアプローチ−岩盤分類
 

地質屋のつとめは、単に調査するだけではなく、設計に使用できる評価を下すことも大きな仕事です。ここでは岩盤の評価について説明します。ダム、トンネルなど岩盤の評価が必需な現場の他、様々な岩盤分布域において使用されます。

まず最も広く使用されているのがいわゆる「田中の分類」です。これは最低限覚えておきましょう。逆にこれさえ覚えておけばなんとかなるかも。

   ○電研式岩盤等級区分(田中)

記号 特              徴
きわめて新鮮なもので、造岩鉱物および粒子は風化、変質を受けていない。亀裂・節理はほとんどなく、あってもよく密着し、それらの面に従って風化の跡は見られないもの。岩質はきわめて堅硬でハンマーによって打診すれば、澄んだ音を出す。
岩質堅硬で開口した(たとえ1oでも)亀裂あるいは節理はなく、よく密着している。ただし造岩鉱物および粒子は部分的に多少風化・変質が見られる。
ハンマーによって打診すれば、澄んだ音を出す。
CH 造岩鉱物および粒子は石英を除けば風化作用を受けてはいるが、岩質は比較的堅硬である。一般的に褐鉄鉱などに汚染され、節理あるいは亀裂間の粘着力はわずかに減少しており、ハンマーの強打によって割れ目に沿って岩塊がはく脱し、剥奪面には粘土質の薄層が残留することがある。
ハンマーによって打診すれば多少濁った音を出す。
CM 造岩鉱物および粒子は石英を除けば風化作用を受けて多少軟質化しており、岩質も多少軟らかくなっている。節理あるいは亀裂間の粘着力は多少減少しており、ハンマーの普通程度の打撃によって割れ目に沿って岩塊がはく脱し、はく脱面には粘土質物質の薄層が残留することがある。
ハンマーによって打診すれば、多少濁った音を出す。
CL 造岩鉱物および粒子は風化作用を受けて軟化しており、岩質も軟らかくなっている。
節理あるいは亀裂間の粘着力は減少しており、ハンマーの軽打によって割れ目に沿って岩塊がはく脱し、はく脱面には粘土質物質が残留する。
ハンマーによって打診すれば、濁った音を出す。
造岩鉱物および粒子は風化作用を受けて軟質化しており、岩質も著しく軟らかい。
節理あるいは亀裂間の粘着力はほとんどなく、ハンマーによってわずかな打撃を与えるだけで崩れ落ちる。
剥脱面には粘土質物質が残留する。
ハンマーによって打診すれば著しく濁った音を出す。

 

次にダムの基準として以下のものがある。

○ダムの種類と岩盤等級

岩盤等級

コンクリートアーチダムとしての適正 コンクリート重力式ダム基礎としての適正(堤高60m以上のものを対象とする) ロックフィルダムコア基礎としての適性(堤高60m以上のものを対象とする)
きわめて良好である きわめて良好である きわめて良好である
きわめて良好である きわめて良好である きわめて良好である
CH おおむね良好である おおむね良好である おおむね良好である
CM 不良ではあるが堅硬岩および中硬質岩のCH級に近いものについては検討の余地がある。ただし、軟質岩についてはダム基礎としては不適当である
 
不良ではあるが硬質岩および中硬質岩については、改良の余地がある。ただしこの場合、軟質岩についてはハイダムの基礎としてはあまり適当ではない
 
耐荷力に関してはおおむね良好である。
 
CL きわめて不良である 不良ではあるが、ダム天端付近などの作用力の小さな部分については基礎処理を行って、ダム基礎とする場合もある このクラス全体としてはダム基礎として適しているとはいえない。しかし岩盤改良の可能なもの、CM級に近く水密性のものについては築造が不可能ではない
きわめて不良である きわめて不良である 不良である

 

さらにトンネルとしては以下の基準が多い。

RMR法による岩盤分類のためのパラメータと点数

パラメータ

値 の 範 囲

岩盤基質部の強度

点載荷強度指数(MPa)

10

4-10

2-4

1-2

この範囲では一軸圧縮試験が薦められる

一軸圧縮強度(MPa)

250

100-250

50-100

25-50

5-25

1-5

1

点数

15

12

7

4

2

1

0

RQD (%)

90-100

75-90

50-75

25-50

25

点数

20

17

13

8

3

不連続面の間隔

2m

0.6-2m

200-600mm

60-200mm

60mm

点数

20

15

10

8

5

不連続面の状態

極めて粗い

連続していない。開口していない。面が風化していない

やや粗い

開口量<1mm

面はやや風化

やや粗い

開口量<1mm

面は極めて風化

鏡面またはグージ厚<5mm

または

開口量1-5mm

柔らかいグージ厚>5mm

または

開口量75mm

点数

30

25

20

10

0

地下水

トンネル長10m間の流入量(L/)

なし

10

10-25

25-125

125

節理水の水圧

最大主応力

0

0.1

0.1-0.2

0.2-0.5

0.5

 

一般的な状態

完全に乾燥

湿り気

ぬれた状態

流水状態

点数

15

10

7

4

0

注)第1項目の岩石の強度値における点載荷指標Isは、径がD、長さが約1.4Dの円柱形コアを用いて点載荷(直径両端の2点で直径方向に圧縮)し、破断時の荷重Pを用いて、次式で評価される:Is=P/D2。一軸圧縮強度σcとは次のような相関がある:σc=24Is

RMR値とトンネル施行法および支保

岩盤クラス

掘削

支保

ロックボルト

(20mm径、全面接着)

吹付コンクリート

鋼枠

T極めて良好

 RMR81-100

全断面

掘進長3m

局部的なボルト打設以外は一般に支保は不要

U良好

 RMR61-80

全断面

掘進長1.0-1.5m

切羽から20m後方まで支保完了

局部的に天盤に長さ3mのボルトを2.5m間隔で打設

金網は必要に応じて使用

必要に応じて

天盤は50mm厚さで吹付

不要

Vやや良好

 RMR41-60

上半を1.5-3m先行させるベンチ方式

各掘進発破後に支保打設

切羽から10m後方まで支保完了

長さ4mのボルトを1.5-2m間隔で天盤・側壁に全面打設。

天盤には金網使用

天盤は50-100mm厚さ、側壁は30mm厚さで吹付

不要

W不良

 RMR21-40

上半を1.0-1.5m先行させるベンチ方式

掘進と同時に切羽から10m後方で支保打設

長さ4-5mのボルトを1-1.5m間隔で天盤・側壁に全面打設。

金網も使用

天盤は100-150mm厚さ、側壁は100mm厚さで吹付

必要に応じ1.5m間隔で軽量鋼を使用

X極めて不良

 RMR:<20

上半は0.5-1.5m先行させる多段ベンチ方式

掘進と同時に支保打設

掘進発破後速やかにコンクリート吹付

長さ5-6mのボルトを1-1.5m間隔で天盤・側壁に全面打設

金網も使用

下盤にもボルト打設

天盤は150-200mm厚さ、側壁は150mm、切羽は50mm厚さで吹付

0.75m間隔で重量鋼を鉄切梁とともに使用

必要に応じて先受け使用

インバートで打設

*幅10mの馬蹄形断面、鉛直圧<25MPa、掘削は発破

  

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