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岩手・宮城内陸地震の関連情報

概要過去の地震主なニュース関連サイト震度階級

【2008.07.10】 「主なニュース」更新。
【2008.06.25】
「被害のプロット」掲載。

 
岩手・宮城内陸地震の概要

平成20年6月14日08時43分ころ、岩手県内陸南部の深さ約10kmで、M7.0(速報値)の地震がありました。この地震により、岩手県奥州市と宮城県栗原市で震度6強、宮城県大崎市で震度6弱を観測したほか、東北地方を中心に、北海道から関東・中部地方にかけて震度5強〜1を観測しました。この地震により津波は発生していません。
気象庁はこの地震を、「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」と命名しました。また英語名称は「The Iwate-Miyagi Nairiku Earthquake in 2008」と命名しました。この地震の発震機構は、西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震と考えられます。

岩手・宮城内陸地震の震度分布(画像をクリックすると拡大した画像が表示されます)
気象庁ホームページから引用

■岩手・宮城内陸地震の特徴
まだ詳細は不明ですが、以下の特徴が顕著と思われます。

・揺れは短周期側が大きい。揺れの期間は短い。
・能登半島地震、新潟県中越沖地震と比べ、家屋の倒壊よりも斜面崩壊や土砂災害の被害が大きい。
・震源直上で強い揺れ。
・震源より宮城県側で被害が大きい。

■被害のプロット

6/25段階公表の斜面関連の被害をプロットしてみました。

よりマクロに見ると、被害の範囲が非常に狭いことに気づく。震源から南西側20〜30kmに限られているのです。

この点では能登半島地震や新潟県中越地震とは全く異なります。特に震源から北東側では、震源から10kmの位置においても道路などはほとんど傷んでおらず、田畑の亀裂などもなく、人家の倒壊も全くなく、震災の痕跡がほとんど感じられない印象を受けます。

震源から北東側10km。墓は倒れていない。
震源から北東側10kmの厳美渓のガラス館でもほとんど被害がない。

震源近くの住居用に貼られているトリアージもほとんど緑色で、ほとんどが赤色や黄色であった能登半島地震などと大きく異なります。

赤色のトリアージ。


また土木施設としては、能登半島地震、新潟県中越地震で多かった盛土の変状が今回はほとんどないのです。舗装の波打ちもありません。

一方震源地の南西側では大きな変状が見られます。「まつるべ大橋の落橋現場」や「荒砥沢ダム上流の地すべり」などは規模的に大きく、この部分が繰り返し繰り返しテレビなどで報道されたことから、「広域的に壊滅的な被害が出た」と思いこんでいる方も多いのではないでしょうか。 また勘違いしたまま報道を伝えているニュースキャスターも多いような気がします。

今回の被害はとにかく山間部に集中し、その程度は甚大です。ただ震源の北東側や南西側でも20km程度離れると、そこに生活されている多くの方は通常時の生活を営んでいると感じました。

新潟県中越地震、能登半島地震と比べると、震災のイメージが全く異なる・・・それが明確に感じられました。

■意外と地震が多い東北
意外ですが、東北は日本の中では地震の多発地方です。発生は大別すると3パターンで、宮城県沖のような太平洋で発生するタイプ、秋田県沖のように日本海で発生するタイプ、そして今回のように内陸で発生する直下型です。数的には直下型は少ないといえます。

↑UP

過去に東北地方で発生した主な地震(理科年表データをいさぼうで編集)
 
地震名 発生年月日 マグニチュード 被害
  869/7/13 M8.3 三陸沿岸で家屋の倒壊無数。津波が多賀城下を襲い溺死約1千人。三陸沖の巨大地震と見られる。
  1611/12/2 M8.1 三陸沿岸および北海道東岸、三陸地方で強震。震害は軽く、津波の被害が大きかった。伊達領内で死者1783人、南部津軽で人馬の死3000余という。
  1646/6/9 M6.5〜6.7 陸前、岩代、下野、仙台城、白石城に被害。会津で地割れ。日光東照宮で石垣が破損。
  1659/4/21 M63/4〜7.0 猪苗代城の石垣崩壊。南会津の田嶋町で人家297軒倒壊、塩原温泉一村ほとんど土砂に埋まり、死者多数。
  1667/8/22 M6.0〜6.4 八戸市中の建物の損傷が激しかった。津軽、盛岡で有感。
  1668/8/28 M5.9 仙台城の石垣倒壊。泊町で地割れ。
  1677/4/13 M7.25〜7.5 八戸に震害.1時間後に津波が来て,家屋流潰約70.余震が多かった.1968年十勝沖地震と似ている.
  1677/11/4 M8.0 上旬より地震が多かった.磐城から房総にかけて津波があり,小名浜・中之作・薄磯・四倉・江名・豊間などで死・不明130余,水戸領内で溺死36,房総で溺死246余,奥州岩沼領で死123.陸に近いM6級の地震とする説がある.
  1678/10/2 M7.5 花巻で城の石垣崩れ,家屋も損壊,死1.白石城の石垣崩れる.秋田・米沢で家屋に被害.
  1683/10/20 M7.0 下野の三依川五十里村で山崩れ川を塞ぎ,湖を生じた.会津・日光でも山崩れ,石垣崩れなどの被害.1日,2日で地震760回余,1日から晦日までで1400回余.江戸で有感.
  1694/6/19 M7.0 42ヶ村に被害,特に能代は壊滅的打撃を受けた.全体で死394,家屋崩れ1273,焼失859など.秋田・弘前でも被害.岩木山で岩石崩れ,硫黄平に火を発した.
  1704/5/27 M7.0 能代の被害が最大.被害家屋1193のうち倒壊435,焼失758,死58.山崩れが多く,十二湖を生じた.岩館付近の海岸で最大190cm隆起.弘前でも城・民家などに被害があった.
  1710/9/15 M6.5 平(いわき)で城などに被害.江戸で天水ひるがえるほど.
  1717/5/13 M7.5 仙台城の石垣崩れる.花巻で破損家屋多く,地割れや泥の噴出があった.津軽・角館・盛岡・江戸で有感.
  1763/1/29 M7.4 11月初めより地震があり,この日大地震.寺院・民家が破損した.平館で家潰1,死3.函館でも強く感じた.津波があり,余震が多かった.1968年十勝沖地震と似ているので,もっと沖の大きな地震かもしれない.
  1763/3/11 M7.25 前年12月の地震以来震動とまらず,この日強震.建物の被害が多かった.
  1763/3/15 M7.0 城の塀倒れ,御朱印蔵の屋根破損.
  1766/3/8 M7.25 弘前から津軽半島にかけて被害が大きかった.弘前城破損,各地に地割れ.津軽藩の被害(社寺含まず)は,潰家5千余,焼失200余,圧死約1千,焼死約300.余震が年末まで続いた.
  1768/9/8   29日にも2回地震,家屋・塀などの被害が少なくなかった.和賀郡沢内で震動が強かった.
  1769/7/12   御殿通り・外側通りで所々破損,南宗寺で御霊屋など破損.大橋落ちる.
1772/6/3M6.75 遠野・宮古・大槌・沢内で落石や山崩れ,死12.花巻城で所々破損,地割れあり.盛岡で家屋破壊.江戸など有感.1987年1月9日の地震に似ており,海岸近くのやや深い地震の可能性がある.
1780/7/20M6.5 土蔵倒れかかって小家1軒潰れ,死2.亀ヶ崎城内で被害.余目・金浦でも小被害.
1793/2/8M6.9〜7.1 鰺ヶ沢・深浦で激しく,全体で潰家154,死12など.大戸瀬を中心に約12kmの沿岸が最高3.5m隆起した.小津波があり,余震が続いた.
1793/2/17M8.0〜8.4 仙台封内で家屋損壊1千余,死12.沿岸に津波が来て,大槌・両石で流潰家71,死9,気仙沼で流出家300余.余震が多かった.震央はもっと陸寄りの可能性もある.
象潟地震1804/7/10M7 5月より付近で鳴動があった.被害は全体で潰家5千以上,死300以上.象潟湖が隆起して乾陸あるいは沼となった.余震が多かった.象潟・酒田などに津波の記事がある.
1810/9/25M6.5 男鹿半島の東半分5月頃より鳴動し,7月中旬から地震が頻発,27日に大地震.寒風山を中心に被害があり,全潰1003,死57.秋田で強く感じ,角館・大館・鯵ヶ沢・弘前・鶴岡で有感.
1821/9/12 青森で小店の屋根落ち,子供1人死亡.八戸で城などに被害.
1821/12/13M5.5〜6.0 大沼郡大石組の狭い範囲に強震.130軒壊れ,破損300余軒,死若干.上下動が強く,山崩れがあった.翌年1月4日,さらに強い地震があった.
1823/9/29M5.75〜6 山崩れあり,西根八ヶ村に被害,潰家105など.岩手山の北30kmにある七時雨山も崩れ,死69,不明4.
1832/3/15M6.5 土蔵の破損が多かった.南宗寺・本寿寺の石碑所々痛む.
1833/12/7M7.5 庄内地方で特に被害が大きく、潰家475、死42、津波が本庄から新潟に至る海岸と佐渡を襲い、能登で大破流出家約345、死約100.
1835/7/20M7.0 仙台城で石垣崩れ,藩内で被害.岩手県藤沢町で石垣崩れ,蔵の壁を損じた.
1848/1/13M6 弘前の城内・城下で被害.黒石・猿賀(弘前の北東)辺で特に強く,潰家があったらしい.
1854/8/28M6.5 三戸・八戸で被害.地割れがあった.
1855/9/13M7.25 仙台で屋敷の石垣,堂寺の石塔・灯籠崩れる.山形県・岩手県南部・新潟県分水町・常陸太田で有感.
1858/7/8M7.0〜7.5 八戸・三戸で土蔵・堤水門・橋など破損.青森・田名部・鰺ヶ沢で強く感じた.
1858/9/29M6.0 安方町で米蔵潰れる.狩場沢村(現平内町)で道路に亀裂があった.
1861/10/21M6.4 陸前の遠田・志田・登米・桃生の各郡で特に被害が多く,潰家・死傷があった.江戸・新潟県分水町・長野まで有感.
庄内地震1894/10/22M7 被害は主として庄内平野に集中した.山形県下で全潰3858,半潰2397,全焼2148,死726.
三陸地震津波1896/6/15M8.25 震害はない.津波が北海道より牡鹿半島にいたる海岸に襲来し,死者は青森343,宮城3452,北海道6,岩手18158.家屋流失全半潰1万以上,船の被害約7千.波高は,吉浜24.4m,綾里38.2m,田老14.6mなど.津波はハワイやカリフォルニアに達した.Mは津波を考慮したもの.
陸羽地震1896/8/31M7.2 秋田県の仙北郡・平鹿郡,岩手県の西和賀郡・稗貫郡で被害が大きく,両県で全潰5792,死209.川舟断層・千屋断層を生じた.
1897/2/20M7.4 岩手・山形・宮城・福島で小規模の被害.石巻で住家全倒1,一ノ関で家屋大破60など.
1897/8/5M7.7 津波により三陸沿岸に小被害.津波の高さは盛町で3m,釜石で1.2m.
1898/4/23M7.2 岩手・宮城・福島・青森の各県で小被害.花巻で土蔵全潰1.小津波があった.従来,岩手県沖とされていたもの.
1900/5/12M7 遠田郡で最も激しく,県全体で死傷17,家屋全潰44,半潰48,破損1474.
1901/8/9M7.2 10日にも同程度の地震(M7.4)があった.青森県で死傷18,木造潰家8,秋田・岩手でも被害があった.宮古に波高60cmの津波があった.
1902/1/30M7 三戸・七戸・八戸などで倒潰家屋3,死1.前の地震の余震か?
仙北地震1914/3/15M7.1 仙北郡で最もひどく,全体で死94,家屋全潰640.地割れや山崩れが多かった.
1914/3/28M6.1 前の地震の最大余震.沼館町で家屋全潰数戸.
三陸沖地震1933/3/3M8.1 震害は少なかった.津波が太平洋岸を襲い,三陸沿岸で被害は甚大.死・不明3064,家屋流失4034,倒潰1817,浸水4018,波高は綾里湾で28.7mにも達した.日本海溝付近で発生した巨大な正断層型地震と考えられている.
1936/11/3M7.4 宮城・福島両県で非住家全潰3,その他の小被害.小津波があった.
福島県東方沖地震1938/11/5M7.5 この後年末までにM7前後の地震が多発した.福島県下で死1,住家全潰4,非住家全潰16.小名浜・鮎川などで約1mの津波.
男鹿地震1939/5/1M6.8 2分後にもM6.7の地震があった.半島頸部で被害があり,死27,住家全潰479など.軽微な津波があった.半島西部が最大44cm隆起した.
二ツ井地震1955/10/19M5.9 被害は二ツ井町・響村に限られ,傷4,住家半壊3,非住家全壊1,半壊310など.
1956/9/30M6 白石付近で死1,非住家倒壊3,その他小被害があった.
宮城県北部地震1962/4/30M6.5 瀬峯付近を中心とする径40kmの範囲に被害が集中した.死3,住家全壊340,半壊1114.橋梁・道路・鉄道の被害が多かった.
1964/5/7M6.9 青森・秋田・山形3県に民家全壊3などの被害があった.
1968年十勝沖地震1968/5/16M7.9 青森を中心に北海道南部・東北地方に被害.死52,傷330,建物全壊673,半壊3004.青森県下で道路損壊が多かった.津波があり,三陸沿岸3〜5m,襟裳岬3m,浸水529,船舶流失沈没127.コンクリート造建築の被害が目立った.
1970/10/16M6.2 秋田県南東部:傷6,住家半壊20,一部破損446,全焼1,山崖崩れ19などの被害があった.
1978年宮城県沖地震1978/6/12M7.4 被害は宮城県に多く,全体で死28,傷1325,住家全壊1183,半壊5574,道路損壊888,山崖崩れ529.新興開発地に被害が集中した.ブロック塀などによる圧死18.
昭和58年日本海中部地震1983/5/26M7.7 被害は秋田県で最も多く,青森・北海道がこれに次ぐ.日本全体で死104(うち津波によるもの100),傷163(同104),建物全壊934,半壊2115,流失52,一部破損3258,船沈没255,流失451,破損1187.津波は早い所では津波警報発令以前に沿岸に到達した.石川・京都・島根など遠方の府県にも津波による被害が発生した.
平成6年三陸はるか沖地震1994/12/28M7.6 震度6の八戸を中心に被害,死3,傷788,住家全壊72,半壊429.道路や港湾の被害もあった.弱い津波があった.
2003/5/26M7.1 深さ約70kmのスラブ内地震.震央の位置から三陸南地震とも呼ばれる.傷174,住家全壊2,半壊21.深いため次の地震に比べ被害は小規模.
2003/7/26M6.4 陸域の逆断層型地殻内地震.同日に大きな前震(M5.6)と余震(M5.5)も起こって連続地震と呼ばれた.M6級だが浅く,震源域に局所的に大きな被害が出た.傷677,住家全壊1276,半壊3809.3ヶ所で計測震度6強を記録した.
2005/8/16M7.2 日本海溝沿いやや陸寄り(深さ42km)のプレート境界地震で,1978年の震源域の南半分で発生.傷100,全壊1,半壊0.最大計測震度6弱(宮城県川崎町),東北地方太平洋岸で最大13cm(石巻市)の津波.

↑UP

主なニュース(斜面防災技術関連)
 
H20.07.14 有識者会議で山地復旧など検討
岩手・宮城内陸地震で被害が出た両県の山地について、林野庁東北森林管理局は復旧対策を検討する有識者会議を設置、12日、宮城県大崎市で初会合を開いた。8月末までに中間報告をまとめ、復旧の基本計画策定に反映させる。
会合後に記者会見した座長の宮城豊彦東北学院大教授(環境地形学)は「被害は、脆弱(ぜいじゃく)な地盤に栗駒火山の溶岩などが重なった複雑な地質構造で生じた」と説明。「多くの現地データを集めて対策を立てる必要がある」と指摘した。
また「(どこまで復旧すれば)避難者が自宅に戻れるのかといった“物差し”を提供したい」とした上で、中間報告を待たずに可能な提言をする意向を示した。
大規模崩落を起こした宮城県栗原市の荒砥沢ダムは、専門分科会で対策を検討することが決まった。
MSN産経ニュース
H20.07.13 土砂の固まり一気に動く 荒砥沢地滑りメカニズム
宮城県栗原市栗駒の荒砥沢ダム上流では、岩手・宮城内陸地震で国内最大級の地滑りが起きた。日本地すべり学会の調査によると、全長1300メートル、幅900メートルにわたる大崩落だった。土砂量は約7000万立方メートルと推定される。
地滑りが始まった北西の滑落崖(がい)の高さは約150メートル。土砂は南東方向に300メートル移動、対岸に押し付けられ、一部がダムに流れ込んだ。
東北学院大教養学部の宮城豊彦教授(環境地形学)は「大きなブロックが滑り台を滑るように一気に動いた」と話す。滑り面の傾斜は3―5度。過去の地滑り面より上の土砂が滑ったという。
当初は荒砥沢ダムによって地下水の流れが変わり、液状化した地質が地滑りを引き起こしたという見方もあった。
これについて宮城教授は「水の影響なら、先端から少しずつスプーンで丸く削るように崩れる」と否定。激しい揺れに伴い固まりとして動いたと説明する。
規模が大きくなった理由として、東北工大工学部の千葉則行准教授(土木地質学)は、栗駒山の南に広がる数百万年前に形成されたカルデラの影響を挙げる。
崩落現場はカルデラの南端にあり、カルデラ内に堆積(たいせき)した軽石凝灰岩や砂岩、シルト岩(泥岩)といったややもろい地層が崩れたとの見解だ。
茨城大理学部の藤縄明彦教授(火山地質学)は「東西方向の地表変動が目立つ」と指摘し、「弱線」と呼ばれる弱い地質構造に即した破断が引き起こしたと分析する。
滑落崖などには岩石の規則的な割れ目(柱状節理)が見られる。「崩落の多くは一帯に分布する溶結凝灰岩が強い地震動を受け、内部の節理や風化面に沿ってブロック化し、崩れたのだろう」と藤縄教授は言う。
現地では過去にも大規模な地滑りがあった。地滑り地形は数千年から数万年の規模で再び動く可能性がある。
千葉准教授は「地滑りは不安定な地形が安定に向けて働く活動。地滑り地形すべてに再移動の危険があるわけではない」と強調している。 (河北新聞
H20.07.12 地質断層に活動の形跡=一部は4キロの活断層−「岩手・宮城」で政府調査委
政府の地震調査委員会(委員長・阿部勝征東大名誉教授)は11日、岩手・宮城内陸地震の本震の震源断層とみられている地質断層「餅転(もちころばし)−細倉構造帯」の一部に、長さ約4キロの活断層があり、過去に活動の痕跡が見つかったと発表した。調査委は「地震はこの活断層に関係したと考えられる」と評価している。
同構造帯は、旧地質調査所(現産業技術総合研究所)が1958年に発行した地質図に示されているが、活断層とはみられておらず、地震発生確率などの長期評価対象になっていなかった。(時事通信
H20.07.06 土砂ダム拡幅工事終え通水 一関の市野々原
岩手・宮城内陸地震で土砂が川をせき止めている磐井川の土砂ダム(一関市厳美町市野々原(いちののばら))で、国土交通省岩手河川国道事務所は5日、拡幅した仮排水路への通水を始めた。排水能力は最大でこれまでの3倍の毎秒180トンとなり、10年に1度の洪水に対応可能となった。同事務所は抜本的な復旧対策について、地質調査の結果やコスト面を踏まえ、今後2カ月程度で設計案をまとめる予定だ。
拡幅した仮排水路は、すでに通水している仮排水路(深さ6メートル、延長120メートル)の隣に整備。深さ8メートルで、こちらを本流とする。増水時には2本がつながり排水する。午後1時、呑口(のみくち)と呼ばれる水の入り口付近の高さ3メートルの岩盤を1・5メートル崩し、通水が始まった。
下流部の増水を考慮し、岩盤は7日まで段階的に崩していく。6月17日に始まった応急復旧工事はこれで終了となる。
現在、土砂ダムにたまった水は約150万トン。決壊まであと29万トンだが、仮排水路拡幅で水位は2メートル下がり、少なくとも約20万トンを排水できるという。
抜本的な復旧対策について同事務所は今後、たまった土砂を取り除く原形復旧か、川を切り替える改良復旧かも含め、手法を検討。2カ月ほどで設計案を策定する。
川を切り替える場合、川に沿って走る国道342号の切り替えや、周辺民家の移転が必要となる可能性も出てくる。このため、同事務所は設計案を元に住民説明会や県などとの協議を行い、結果を踏まえて正式な工事計画をまとめる。
この土砂ダムは約170万トンの土砂が磐井川をふさいだ。同事務所がポンプや仮排水路による排水を行い、6月21日の仮排水路通水後は水位上昇が抑えられていた。
同事務所の奥山吉徳計画課長は「地質、コスト、技術面を考慮し計画をまとめ、住民のみなさんも含め合意形成につなげていきたい」としている。
(岩手日報)
H20.07.04 岩手・宮城内陸地震/局地激甚災指定を閣議決定へ
政府は3日、6月14日の岩手・宮城内陸地震で大きな被害が出た岩手県一関、奥州の両市と、宮城県栗原市に対する局地激甚災害の指定を、4日の閣議で決定することを決めた。指定を受けると、自治体が行う道路や河川、農地などの復旧事業に対する国庫補助がかさ上げされる。
公共土木施設関係の復旧に要する見込み額は、奥州市が4億6000万円、栗原市が122億8000万円。農地などの復旧に要する見込み額は、一関市が7億9000万円、奥州市が5億5000万円、栗原市が1億5000万円(旧鶯沢町6000万円、旧花山村9000万円)となっている。局地激甚災害指定は、被災地全体を一体で指定する通常の激甚災害指定と異なり、市町村単位で指定される。
(日刊建設工業新聞)
H20.06.29 荒砥沢ダム上流部からの土砂、ダム湖に流入して3mの津波に
岩手・宮城内陸地震で起きた荒砥沢(あらとざわ)ダム(宮城県栗原市栗駒)上流部の大規模な地滑りで、土砂の一部がダム湖(有効貯水量1351万トン)に流入し、高さ約3メートルの津波を発生させていたことがわかった。
専門家は、さらに大量の土砂が湖面を直撃していれば、津波がダムを越え、下流域に大きな被害が出る恐れもあったと指摘している。
日本地すべり学会の宮城豊彦・国際部長(東北学院大教授)によると、地滑りでは東京ドーム56杯分の約7000万立方メートルの土砂が流出した。大部分はダム湖とは異なる方向へ流れたが、全体の約2%に当たる150万立方メートル前後が、斜面に遮られたりしてダム湖に流入、一気に湖面を押し上げたとみられる。
ダムを管理する宮城県によると、周囲の付着物の状況から、津波の高さは約3メートルと推定される。当時の水位はダムえん堤の最上部より10・9メートル低く、津波は越えなかった。津波が収まった後の計測で、水位は地震直前より2・3メートル上昇した。
栗駒山周辺は地滑り地帯が多いが、ダムえん堤付近は地滑り地帯を外れるように設計されていた。一方で、ダムを設計した東北農政局は「地滑りで津波が起きることは想定していなかった」とする。同県河川課は、ダムえん堤の安全性に問題は見つかっていないと説明している。
イタリア北部のバイヨントダムでは1963年、豪雨による大規模な地滑りで津波が発生。ダムを越えた津波は濁流となって下流域を襲い、約2600人が死亡した。宮城部長は「今回は間一髪、大惨事を免れた」と指摘。京大防災研究所の釜井俊孝教授も「土砂の流入量が数倍大きいか、流入した場所の水深が深ければ、津波がダムを越えた可能性が高い」と話す。
(Yomiuri.On-line)
H20.06.26 荒砥沢大崩落 過去の火山活動が誘発?
岩手・宮城内陸地震で栗原市栗駒の荒砥沢ダム北側で起きた国内最大級の地滑りは、各分野の専門家の調査でメカニズムが明らかになってきた。地震規模のすさまじさを象徴する大崩落だけに、詳細な研究が続いている。過去の地滑りや火山活動との関連を指摘する分析もある。
地震発生翌日の15日、大崩落現場に入った宮城豊彦東北学院大教授(環境地形学)は「山古志に似ている」と直感したという。
土砂が動いた方向の長さは1キロ、幅は0.7キロ。滑落では、高さ148メートルものがけができた。動いた土砂の量は東京ドーム56杯分の7000万立方メートルに上った。
宮城教授によると、2004年10月の新潟県中越地震で被災した旧山古志村(現長岡市)の土砂災害は、もろくなった地層が地滑りの原因で、大昔に地滑りを起こした場所が再び動いた。
「今回の現場周辺も古い地滑り地形があり、大きな山塊が原形を残したまま斜めに移動した」と宮城教授。山古志と同様のメカニズムが働いたと推測できるという。
<カルデラが作用>
地滑り地形自体は、宮城県内だけで4000カ所以上もある。なぜ荒砥沢だけが大崩落したのか。
吉田武義東北大教授(島弧マグマ学)は「地下のカルデラが作用したのだろう」と指摘する。現場は、800万年前―500万年前に活動した火口跡「栗駒南ろくカルデラ」の南端に当たる
吉田教授によると、栗駒山頂南側にあるカルデラは直径約10キロ。地下のマグマは冷え切らず、熱くて軟らかい岩の塊がある。地震は硬い岩盤だと速く伝わるが、軟らかい部分では速度が落ち、揺れが大きくなる。
加えて、カルデラの縁から外側の地盤は冷えて固く、逆に内側は軟らかい。境界線付近は揺れ方も違い、断層ができやすいという。
<もろい地層形成>
水を含みやすい土砂だったことも崩落を拡大させた。周辺の地質に詳しい藤縄明彦茨城大教授(火山地質学)は「周りには栗駒や鬼首、鳴子などさまざまな時代の火山が数多い。噴き出した火山灰や溶岩が積もって風化し、もろい地層を形成したのではないか」と言う。
もろい地層は地下水を通しやすく、粘土化してさらに弱くなる。そこへ激しい揺れがきて地層が液状化し、上に乗っている山が動いたのではないかとみている。
大崩落した土砂は完全に止まっておらず、現場に入っての調査は当面難しいという。
(河北新報)
H20.06.24 大規模地滑り30ヵ所 岩手・宮城地震 防災科研調査
岩手・宮城内陸地震で発生した土砂崩れや地滑りは、震源に近い栗駒山周辺で300カ所に上ることが23日、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の調査で分かった。大規模な地滑りが起きた約30カ所のうち、半数近くは過去に地滑りがあった場所だったことも判明した。
研究所は地震後、栗駒山を中心に南北約20キロ、東西約10キロの範囲の航空写真を分析した。高さか幅のいずれかが50メートルに達する斜面の変化が生じた場所を図の通り特定した。
発生現場数を算出した結果、250メートル以上の大きい崩落、地滑りは30カ所に上った。土砂崩れ現場の数は、今後さらに増える可能性がある。
大規模な30カ所を、地形から判明している過去の地滑り発生地点のデータと照合すると、半分近くが以前に地滑りが起きた場所だった。
栗原市栗駒の旅館「駒の湯温泉」を直撃した土石流を引き起こした斜面崩落地点や、山が300メートル近く動く大崩落があった荒砥沢ダム北側も、過去に地滑りが起きた地形だという。
井口隆総括主任研究員は「広範囲で斜面に変化が現れており、2004年の新潟県中越地震とほぼ同規模といえる。一方で、初めて地滑りを起こした場所でも大きく地形が変わっており、地質の影響も相当受けたのではないか」と話している。
◎四川大地震の土砂災害報告/地すべり学会で成都理工大副学長
日本地すべり学会は23日、「山地災害報告会」を仙台市青葉区の市民会館で開催し、岩手・宮城内陸地震と、5月にマグニチュード(M)8.0を観測した中国・四川大地震での土砂災害の調査結果を発表した。
四川大地震の被災地にある成都理工大の黄潤秋副学長が講演。「四川では大規模な土砂崩れで道路が不通になり、救助用の重機搬入が遅れた。死傷者が増える要因の一つだった」と報告した。
黄副学長は、岩手・宮城内陸地震の土砂災害調査のため来日。22日に荒砥沢ダム北側の大崩落現場を視察した。黄副学長は「崩落は軟らかい地盤がほぼ真横に滑っていた。急斜面の硬い岩石が落下した四川とメカニズムが異なり、よく調べる必要がある」と述べた。
地すべり学会の丸井英明会長は「日本と中国の研究者が協力し合い、山間部災害を防止したい」と強調した。(河北新報)
H20.06.21 土砂災害の懸念、20カ所に 岩手・宮城地震
国土交通省は20日、岩手・宮城内陸地震で土石流や地滑りなど土砂災害の危険が高まっている地域が両県で20地点見つかったと発表した。雨が降ればさらに危険度が増すという。土石流で川がせき止められてできる「土砂ダム」はこの集計に入れていない。
調査対象は、震度5強以上を観測した両県の11市町村の傾斜地やがけ。岩手県奥州市の6地点、同一関市の3地点、宮城県栗原市の6地点、同大崎市の5地点が危険とされた。引き続き警戒する必要があるとされた場所も岩手県で52地点、宮城県で60地点に上った。
自治体の災害復旧を後押しする国交省の「緊急災害対策派遣隊」(TEC―FORCE)や、周辺の県職員など約210人が地震発生翌日の15日から19日にかけて調査した。(NIKKEI NET)
H20.06.19 被災家屋「危険」6.5% 同規模震災下回る
岩手・宮城内陸地震の被災地で、建物の「応急危険度判定」が行われた結果、205戸が「危険」と判断されたことが朝日新聞の集計でわかった。各自治体が18日までに調査した家屋の6.5%を占める。この比率は、震度6弱以上の揺れを記録した地震と比べても小さく、揺れの割に建物被害は少ないことが裏付けられた。
この判定は、岩手県一関市、奥州市、宮城県栗原市、美里町の3169戸で実施され、一関と栗原の両市は18日までに終了した。「危険」に次ぐ「要注意」は、4市町合計で589戸(18.6%)だった。
栗原市内の約2900戸でみると、木造、鉄骨、鉄筋コンクリートとも「危険」が4〜7%台と低かった。
今回のマグニチュード(M)は7.2で、最大震度は奥州市や栗原市で6強。国内で最高の4022ガルの加速度が観測されている。日本建築防災協会のまとめでは、同じ6強を観測した鳥取県西部地震(M7.3)は10.9%、最大で6弱の福岡沖地震(M7.0)は16.4%。今回は「危険」の比率が小さいことがわかる。
◆伝統工法と軽いトタン屋根がカギ
建物には再び住めるのか、二次災害を引き起こさないか。建築士や自治体職員が連日調査を続けてきた。
栗原市の花山草木沢。築40年の2階建ての民家は家具や冷蔵庫などが倒れたが、柱が折れるといった構造自体の被害は確認されなかった。
1級建築士の千葉栄さん(63)は、土壁に露出した横板の様子から、「貫(ぬき)工法」と呼ばれる伝統工法が使われている点に注目した。穴を開けた柱と柱に横板を組む。地震でも揺れに合わせて建物全体がしなる。千葉さんは「農家が多く、伝統工法の木造家屋が多かったことが、倒壊につながらなかった原因のひとつでは」と分析した。
約20棟あるこの地域で、「危険」判定はなかった。宮城県建築士会栗原支部の高橋誠一副支部長(42)は「中越沖地震との違いは、付近に多いトタン屋根ではないか」と話す。屋根が軽いと倒壊しにくいからだ。
草木沢から北西に6キロ。あちこちで土砂崩れが起き、立ち入りが規制された花山本沢中村地区は、様相が違った。
県建築士会の白鳥淳・栗原支部長(56)が調査した11棟のうち4棟は土台から基礎が10センチ以上ずれていた。1階が納屋や車庫になっている2階建ての4棟は傾いていた。倒壊こそなかったが、「危険」が8棟。「もう住めないね」。危険を示す赤い紙が張られた家を前に、住人の夫婦はこうつぶやいたという。
◆断層周辺に家まばら 揺れの周期も影響
建物被害が少なかった理由を、専門家はどう見るか。
最初のポイントは地盤の動き方だ。地震を起こしたと見られる断層は、駒の湯温泉や、大規模崩落があった荒砥沢ダムの東側で見つかった。断層は北東から南西に延びており、西側が東側に乗り上げる形で動いたらしい。
東京大地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授は「被害が山側に集中したのは断層の直上だったため。(今回のような)逆断層の場合、一般的には乗り上げた地盤側の被害が大きくなる」と指摘。今回はそこに人家が少なかった。
次は地震波の特徴だ。建物には、種類や高さによって揺れやすい周期がある。特に周期1秒前後は木造住宅などに壊滅的被害を与え、「キラーパルス」とも呼ばれる。
家屋の現地調査をした東北大災害制御研究センターの源栄(もとさか)正人教授(地震工学)は「今回は周期0.5秒以下と短い地震波が多い一方、加速度が大きかった。こうした揺れは木造や低層の鉄筋コンクリートの建物を倒壊させるパワーはないことが多い」と指摘する。
東京大総合防災情報研究センターの古村孝志教授(地震学)も同様の見方だ。今回目立った0.1〜0.3秒の地震波で破壊されやすいのは、硬くてしなりにくい橋や道路だという。道路が寸断され橋も崩落したという被災地の状況とも一致する。     ◇
応急危険度判定 二次災害を防ぐために判定士が早期に建物の安全性を判断し、「危険」は赤、「要注意」は黄、問題がなければ「調査済み」の緑の紙を張る。付近のがけの状態や隣家の瓦などの落下の恐れも判定するため「危険」がただちに「全壊」ではない。「全壊」「大規模半壊」などと自治体が判断する「罹災(りさい)証明」とは違う。 (asahi.com)
H20.06.18 過去最大の地滑り=東京ドーム40杯超−岩手・宮城内陸地震で土木学会など
岩手・宮城内陸地震で、荒砥沢ダム(宮城県栗原市)上流の大規模な地滑りで動いた土砂の量は少なくとも4000万立方メートル以上に及び、過去最大規模であることが17日、土木学会や日本地震工学会などの合同現地調査で分かった。火山の噴出物が堆積(たいせき)したもろい地層が地震の直撃を受けたためとみられる。20日に東京都内で緊急報告会を開く。合同調査団は15日に現地入り。土砂災害現場の上空からの調査や、周辺の地質調査を行った。
参加した小長井一男東大教授(地震工学)は、この地滑りで「数千万立方メートルの土砂が動いた」と指摘。4000万〜6000万立方メートル程度と推測し、1984年長野県西部地震の約3600万立方メートルに「匹敵するかそれ以上」としている。
岩石のかけらを手に持ったところ、非常に軽くすき間が多かったという。付近は火山からの噴出物が堆積して固まった地質で、「雪解け時期で大量の水を含み、弱くなった所に破壊が集中したのではないか」としている。
日本地すべり学会会長の丸井英明新潟大教授(自然災害科学)によると、崩落個所は長さ1.2キロ、幅800メートル、厚さ50メートル程度で、土砂の量は東京ドーム40杯分以上に相当する。同教授は「非常に大規模。ここ数十年で発生した中では最大であることは間違いない」と話す。  (時事通信)
H20.06.17 岩手・宮城内陸地震/ライフライン復旧に全力/国交省のTEC−FORCE出動
岩手県奥州市や宮城県栗原市で震度6強を記録した14日の岩手・宮城内陸地震で、被災地では16日も行方不明者の捜索が続き、復旧活動も徐々に本格化してきた。政府は同日午前、首相官邸の危機管理センターで、福田康夫首相や町村信孝官房長官、冬柴鉄三国土交通相、泉信也防災担当相らが出席して関係閣僚会議を開催、首相は、行方不明者の捜索と、水道や道路などのライフラインの復旧に全力を挙げるよう指示した。
地震発生を受け、国土交通省は14日に非常災害対策本部を設置したほか、4月に発足したばかりの「緊急災害対策派遣隊」(TEC−FORCE)を初めて現地に派遣した。東北に加え、北陸、関東、中部の各地方整備局などからもTEC−FORCEが派遣され、被災状況の調査に当たっている。16日朝には、東北地方整備局のTEC―FORCEの出動式が行われ、久保田勝局長が隊員にげきを飛ばした。隊員は、被害が特に大きい宮城県栗原市の国道398号と市道、岩手県一関市の市道を17日まで調査する。調査結果がまとまり次第、速やかに市町村に報告する方針だ。
インフラ被害のうち、山間部の国道の破損については、各整備局が応急対策班を設置して支援活動に当たっている。崩落土砂が川をせき止めた河道閉そくが岩手、宮城両県で11カ所確認されており、TEC−FORCEが伸縮計、水位計、監視カメラを使って現地調査に着手。水のかき出しや新たな水路による排水を急ぐ方針だ。峰久幸義事務次官は16日の会見で「今後、雨や余震で決壊の恐れがあるため、決壊しないよう最大限の努力をしていく」述べた。
平井たくや国土交通副大臣は16日、被災現場入りを前に東北地方整備局に立ち寄り、職員を激励した。局内の災害対策室を訪れた平井副大臣は「疲れているとは思うが、今後2次災害発生の可能性もある。さらに気を引き締めて任務に当たってほしい」と訓示。その後、ヘリコプターに乗り込み、石淵ダム、胆沢ダム、落橋した国道342号祭時大橋、荒砥沢ダム上流の土砂崩れ現場、花山ダム上流の河道閉そく現場などを視察した。
(日刊建設工業新聞)
H20.06.16 土砂崩れダム11か所決壊の恐れ、国交省が調査開始

岩手・宮城内陸地震では、北上川の支流に発生した11か所の土砂崩れダム(せき止め湖)が決壊する恐れがあり、下流で行われている安否不明者の捜索が中断するなど深刻な影響が出ている。
国土交通省は15日、砂防の専門家を現地に派遣してせき止め湖の危険性について本格的な調査を始めた。
国交省などによると、せき止め湖が確認されたのは、宮城県栗原市の三迫川(さんはさまがわ)、二迫川の各1か所と迫川の5か所、岩手県一関市の磐井川の4か所。このうち大半は、せき止めた土砂が長さ100〜200メートル程度にわたっている。二迫川の1か所では付近で土砂が約1キロ四方にわたって崩れ、東京ドーム1個分にあたる約140万立方メートル分が流入したとみられる。
せき止め湖は水位が上がってせきから水があふれ始めると、せきの土砂が削られて一気に決壊し、下流部の低地に土石流が流入する恐れがある。国交省の担当者は「降雨や余震により、決壊の危険性は刻々と変わってくる。十分な注意が必要だ」と指摘する。今後、二次災害を防ぐため、必要があれば重機で水抜き作業を行うという。
磐井川のせき止め湖下流には集落が点在する。一関市の担当者は「水位が少しずつ上がっているという情報もあり、状況によっては避難もありうる」と話す。
一方、安否不明者の捜索も、せき止め湖による二次災害の恐れなどから、思うように進んでいない。
栗原市の迫川沿いで、国道のり面の工事中に土砂崩れに巻き込まれた作業員1人の捜索は、15日早朝に開始。しかし、上流にできたせき止め湖が決壊する恐れがあるとして、約1時間中断した。一度は再開したものの、午前11時半過ぎ、余震で再度の崩落の恐れがあることも考慮し、「捜索活動に好ましい状態ではない」として打ち切られた。
また、車が下敷きになったとみられる同市花山地区の国道崩落現場では、現場に向かう途中の国道が土砂崩れで通行できず、大型の重機が運べないため、捜索が難航。陸上自衛隊の広報担当の隊員は「人力では限界がある」と頭を抱えた。同市花山温湯地区のつり橋で行方不明になった老夫婦の捜索も、土石流が発生する恐れがあるとして午後3時に切り上げられた。
(Yomiuri.On-line)

H20.06.15 M6以上の余震の確率30% 気象庁、注意よびかけ
気象庁は15日、岩手・宮城内陸地震の余震が3日以内に起きる確率を発表した。マグニチュード(M)6以上の余震は30%、M5以上だと90%。横田崇・地震津波監視課長は「全体的に余震の回数は減ってはいるがまだ活発な活動が続いており、大きな余震に注意が必要」と話した。
今回の地震の余震は15日午前10時までに264回に達している。このうち最大なのは、14日9時20分に発生したM5.7(暫定値)で、最大震度で5弱の揺れを観測した。
本震から丸1日たった時点での余震の発生頻度は2004年の新潟県中越地震や1943年の鳥取地震よりは少ないが、1995年の阪神大震災(兵庫県南部地震)や昨年の能登半島地震より多い。
また気象庁は、15日朝から、被災地で大雨警報・注意報を出す基準を引き下げる運用を始めた。地震でゆるんだ地盤が雨で壊れやすくなっている危険性が高いためだ。
対象となる地域がある市町村は次の通り。
 【岩手県】奥州市、北上市、一関市、金ケ崎町、平泉町
 【宮城県】大崎市、栗原市、仙台市、名取市、登米市、利府町、涌谷町、美里町、加美町
 【秋田県】湯沢市、東成瀬村
(asahi.com)
H20.06.14 石淵ダムにひび 上流では土砂崩れ 岩手・奥州
国土交通省の14日正午現在の発表によると、直轄ダムのうち震源地から約10キロにある石淵ダム(岩手県奥州市)でダム上部に2、3センチのひび割れが見つかった。上流の両岸で土砂崩れも起きている。花山ダム(宮城県栗原市)では貯水池上流で地滑りが起きた。
宮城県大崎市岩出山の国道47号岩出山跨(こ)線橋で7、8センチの段差が見つかり、片側交互通行を行っている。山形県中山町の国道112号では舗装が約15センチ隆起し、片側交互通行を実施。岩手県一関市厳美町市野々原の国道342号では土砂崩れが見つかった。
有料道路では仙台松島道路、仙台南部道路がいずれも全面通行止め。
(asahi.com)
H20.06.14 車数台、土砂崩れに巻き込まれたか 宮城・栗原市
宮城県によると、栗原市の国道398号で約1キロにわたって土砂崩れがあり、車数台が埋まっているという。宮城県によると、同県栗原市花山の国道398号沿いで作業をしていた作業員15人が土砂に巻き込まれている。12人は自力で脱出したが、3人が不明になっているという。生き埋めになったとの情報もある。(asahi.com)
H20.06.14 岩手・宮城で震度6強 3人死亡 けが人多数
14日午前8時43分ごろ、岩手県南部を震源とする地震があり、宮城県栗原市、岩手県奥州市で震度6強、宮城県大崎市で震度6弱など、東北や関東、北陸の広い範囲で大きな揺れを観測した。この地震で福島県と岩手県で計3人が死亡した。このほか岩手、宮城を中心に東北各県で多数のけが人が出ている模様だ。
気象庁は、震源の深さ約8キロ、規模はマグニチュード(M)7.2と推定。この地震に「平成20(2008)年岩手・宮城内陸地震」と命名した。国内内陸部の直下地震でM7を超えたのは過去半世紀で、95年1月の阪神大震災、00年10月の鳥取県西部地震に続き3度目。岩手県と宮城県の知事はそれぞれ陸上自衛隊に災害派遣を要請した。
福島県いわき市小浜町の「小浜漁港」付近では、釣りをしていた石井道隆さん(55)が海に転落し、間もなく死亡した。県警によると、近くの岩場から落石があり、足が切断されたという。
岩手県一関市東山町では、千葉友三さん(60)が地震の揺れに驚いて外に飛び出したところ、車にはねられて死亡した。
また奥州市の胆沢ダム工事現場で落石があり、男性作業員1人(48)が死亡した。
宮城県栗原市によると、駒の湯温泉では、宿泊客2人と経営者の家族や従業員ら5人の計7人の行方がわからなくなっており、警察や消防が確認を急いでいる。
岩手県によると、一関市厳美町で建物が倒壊。同市青葉でも、リサイクルショップが倒壊。一関署管内の国道342号では、がけ崩れが起き、車両が閉じこめられた。奥州市の胆沢ダム付近の林道では、マイクロバスが土砂崩れに巻き込まれ、車内に20人が一時閉じこめられた。一関市祭畤(まつるべ)では80人、同市須川温泉で宿泊客と従業員100人程度が孤立している。
宮城県には、県北部の大崎市や栗原市で土砂崩れや停電が起きているとの情報が入っている。栗原市の花山ダム上流では、土砂崩れで一迫川がせき止められている可能性がある。住民約100人の同市耕英地区は交通が遮断され、孤立しているという。
栗原市役所によると、市内では、倒れたロッカーやタンスに挟まれるなどして5人がけがをした。 秋田県では、秋田市外旭川で70歳代の女性が、自宅で転んで、左腕を骨折する重傷。湯沢市内で店舗兼住宅で外壁が崩れたという。また、同市の皆瀬発電所は現在、運転を停止している。同市内の住宅で火災が発生したが、午前9時半ごろまでに鎮火された。
山形県では、新庄市十日町の塗装業手伝い壹谷英子さん(60)が余震に驚き、作業小屋から飛び出した際に転び、左肩を脱臼した。
気象庁は午前8時43分51秒に地震の初期微動(P波)を検知、約4秒後に「M5で震度5強以上」と自動的に判断し、緊急地震速報を発した。その後、余震でも2回速報を出した。
(asahi.com)
H20.06.14 岩手県内陸部で震度6強 
14日午前8時43分ごろ、岩手県の南部を震源とする強い地震があった。気象庁によると、地震の深さは約10キロ、規模はマグニチュード7.0と推定される。主な震度は次の通り。
震度6強=岩手県奥州市、震度5強=岩手県北上市、一関市、平泉町(asahi.com

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関連サイト
 

関連情報サイト

首相官邸 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震について
内閣府 防災情報のページ
国土交通省 災害情報
総務省消防庁  災害情報一覧
気象庁 「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」の特集
国土地理院 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震関連
(独)防災科学技術研究所 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震
地質調査総合センター 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震
地震調査推進研究本部  平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震に関する情報
   
現地調査等 資料関連 
東北大学
 
【2008年6月14日 岩手・宮城内陸地震災害のページ】
http://www.dcrc.tohoku.ac.jp/miyagi2008/ 
京都大学 防災研究所 地震予知研究センター  【2008年岩手・宮城内陸地震災害のページ】
http://www.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/IWATE/ 
東京大学地震研究所 2008年 岩手・宮城内陸地震の速報
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/topics/Iwate2008/ 
国土地理院 平成20年(2008年) 岩手・宮城内陸地震による被災地の空中写真を公開
http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/h20-iwatemiyagi/index_h20-iwatemiyagi.html
気象関連
宮城県 仙台管区気象台
岩手県 盛岡地方気象台
秋田県 秋田地方気象台
写真関連
朝日新聞写真ギャラリー http://www.asahi.com/special/08006/gallery/
航空写真関連
国際航業 http://www.kkc.co.jp/social/disaster/
パスコ http://www.pasco.co.jp/disaster/
アジア航測 http://www.ajiko.co.jp/bousai/index.html
中日本航空 http://www.nnk.co.jp/disaster/index.html

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震度階級
気象庁震度階級
震度
階級
人間 屋内の状況 屋外の状況
0 人は揺れを感じない。    
1 屋内にいる人の一部がわずかな揺れを感じる。    
2 屋内にいる人の多くが揺れを感じる。眠っている人の一部が目を覚ます。 電灯などのつり下げ物がわずかに揺れる。  
3 屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる。恐怖感を覚える人もいる。 棚にある食器類が音を立てることがある。 電線が少し揺れる。
4 かなりの恐怖感があり、一部の人は身の安全を図ろうとする。眠っている人のほとんどが目を覚ます。 つり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が倒れることがある。 電線が大きく揺れる。歩いている人も揺れを感じる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。
5 弱 多くの人が身の安全を図ろうとする。一部の人は行動に支障を感じる。 つり下げ物は激しく揺れ、棚の食器類、書棚の本が落ちることがある。家具が移動することがある。 窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。補強されていないブロック塀が崩れることがある。道路に被害が生じることがある。
5 強 非常な恐怖を感じる。多くの人が行動に支障を感じる。 棚にある食器類、書棚の本の多くが落ちる。テレビが台から落ちることがある。タンスなど重い家具が倒れることがある。変形によりドアが開かなくなることがある。一部の戸が外れる。 補強されていないブロック塀の多くが崩れ、据付が不十分な自動販売機が倒れることがある。多くの墓石が倒れる。自動車の運転は困難となり、停車する車が多い。
6 弱 立っていることが困難になる。 固定していない重い家具の多くが移動、転倒する。開かなくなるドアが多い。 かなりの建物で壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する。
6 強 立っていることができず、はわないと動くことができない。 固定していない重い家具の多くが移動、転倒する。戸がはずれて飛ぶことがある。 多くの建物で壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する。補強されていないブロック塀がほとんど崩れる。
7 揺れにほんろうされ、自分の意思で行動できない。 ほとんどの家具が大きく移動し、飛ぶものもある。 ほとんどの建物の壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する。補強されているブロック塀も破損するものがある。
 

マグニチュード
 地震の強さの単位としてよく使われるのが、「震度」 と 「マグニチュード」 です。震度は、任意の場所における揺れの強さのことで、マグニチュードは、地震そのものが持つエネルギーの大きさです。
 マグニチュードは、1935年に、アメリカのリヒターによって考案されたもので、震央から100km 離れた地点のある特定の震度計で計り、その最大の振れ幅 (単位:マイクロメートル) の常用対数をとったものとされます。対数ですから、振れ幅が 10倍になるごとに、マグニチュードは、1.0 増えます。地震が持つエネルギーは、マグニチュードが 1 増えると、約 32倍になると考えられています。

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