耐震設計の考え方 | ||||||||||||
地震動の加速度は建造物のスプリング定数を介して建造物内に伝達し、その建造物を変形または変位させようとする力に発展します。この力のことを我々は地震力と呼んでい ます。地震力は、建造物の応答加速度と質量に比例しますが、応答加速度は建造物の固有周期と剛性(またはエネルギーの吸収性)に支配される関係にあります。 耐震設計とは、建造物が過去に起きたことがある程度の大地震に遭遇したとしても大きな被害や破壊が起こることのない状態にその建造物を設計することをいいます。耐震設計の方法は、地震力の考え方と扱い方の違いにより基本的には下記の二つの方法に分類され ます。 1)震度法または静的設計法と呼ばれる設計方法
震度法(静的設計法)は、物体の重量と設計水平震度の積で与えられる水平力を地震力と仮定し、この力を構造物に静的に作用させて計算する方法で す。擁壁などの設計で既によく使われている方法です。この方法は水平力が付加されるので、あたかも土圧を受ける擁壁のように構造物の安定性は悪くなる構造物の本体と基礎はこの悪条件に対し安全なように設計されるわけであるからその分頑丈になる わけです。ちなみに、基礎は鉛直荷重でなくて水平力によって決まる場合が多い。設計水平震度はその定義からして地震動の水平加速度を意味しますが、震度法は経験の積み重ねで達成された設計方法で すので、設計震度と加速度は必ずしも密接な関係にあるわけではないのです。 設計水平震度Khの求め方は、ダムと建築物の場合は別の定め方を採用しています。Kh0はFL設計の場合を除き0.2を基準としています。比較的固有周期の長い(0.5秒以上)構造物の場合は、構造物の固有周期と地盤種別を考慮してKhをさらに補正し、震度法と同じ静的な方法で計算 します。この方法は応答を考慮した修正震度法と呼ばれています。 地表面から3m以内にあるqa≦0.2kgf/cm2の粘性士層は、地震時に荷重の支持性能を失うものとして地盤反力を無視する。液状化安全比FLが1以下の砂 質土層については、FLの値に応じ地盤反力を低減する方法も提案されています。このような取扱いも耐震設計の一部です。 動的解析法(動的設計法)に用いる解析モデルとしては有限要素モデルと質点モデルがあり、地盤と構造物を一つの複合システムとしてコンピュータを用いて解析
します。また地震入力源の種類を計算方法によって分類すると応答スペクトル法と時刻歴応答解析法の二法に大別されます。 |
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