連続体モデル
(波動方程式による方法) |
重複反射法 |
| 特性曲線法 |
| 差分法 |
離散化モデル
(振動方程式による方法) |
モード重ね合わせ法 |
| 複素応答法 |
| 直接積分法 |
ここでは波動方程式から出発する連続体モデルによる方法と、最初から地盤を有限要素法などにより分割し、振動方程式を適用する離散化モデルによる方法
のうち、主な手法を簡単に解説します。
■重複反射法の解説
| 手法 |
地盤を水平成層構造としてモデル化し、その中を層境界で重複的に反射を繰返しながら、鉛直方向に一次元的に伝播する地震動を波動方程式に基づいて解析するものです。
通常、時間軸に沿った直接的計算ではなく、フーリエ変換により入力地震波を周波数領域にいったん変換し、地盤の層構造から決まる周波数伝達関数とかけ合わせることにより応答を求め、それを逆変換して時刻歴の解を求める方法がとられます。 |
| 非線形計算 |
数学的に線形重ね合わせが成立することが必要であり、非線形解析は行えません。 |
| 減衰 |
減衰は複素減衰として表示され、粘性、非粘性減衰いずれにも適用できます。また、地盤中の任意の位置に震動を入力して、すべての位置の応答や地震入力基盤面より下方への波の逸散波が容易に評価できます。 |
| 備考 |
非線形計算は行えませんが、非線形の度合いがそれほど大きくない現象を扱う場合には、等価線形計算により近似的に非線形性の評価が行えます。このような点から、構造物への地震入力加速度、地中構造物に加わる地盤変位、液状化判定における地盤せん断応力などの評価に広く用いられている解析法です。 |
■モード重ね合わせ法の解説
| 手法 |
地盤を集中質点系でモデル化した場合に、その振動解析に最も多く使われてきた方法です。質点の変位ベクトルをその振動系に含まれる固有モードベクトルの線形結合で表し、地震入力に対し各固有モードごとに自由度系としての応答を計算し、それらを重ね合わせることにより解を求めます。 |
| 非線形計算 |
線形式の重ね合わせを基本としているため、非線形計算には適用できません。 |
| 減衰 |
減衰定数はレイリー減衰(減衰係数行列Cを質量行列Mと剛性行列Kの線形和、C=αM+βKで表すもの、ここにα、βは定数)と仮定すれば容易に考慮できますが、実測や経験などから固有振動モードごとに一自由度振動系としてのモード減衰定数を決めることが一般的です。 |
| 備考 |
直接積分法よりはるかに計算効率がよく、多自由度の振動解析に適しています。 |
■複素(周波数)応答法の解説
| 手法 |
離散系モデル解析法のうち、モード重ね合わせ法、直接積分法は時間軸に沿って計算を進める点で共通しています。この方法では重複反射解析と同様に、地震応答を周波数軸にそって求め、それを時間領域に変換することにより解を求めます。計算の過程において複素剛性マトリクスを用いて周波数空間での解析を行うため、複素応答解析または周波数応答解析と呼ばれます。 |
| 非線形計算 |
時間領域と周波数領域の変換にフーリエ線形変換が用いられるため、非線形解析には適用できません。 |
| 減衰 |
剛性マトリクスの各要素は複素数からなり、そのうちの虚数項が減衰特性を表しているため、モデルの各部分ごとに別々に減衰定数が設定できます。その場合、粘性減衰とすることも非粘性減衰とすることも自由です。さらに伝播境界と呼ばれる手法により、解析モデルの側方境界から外への波動エネルギー逸散を考慮した解析が容易に行えます。また、周波数空間での計算によっているため、時間空間での解析のように、対象とするモデル全体を一度に解く必要はなく適当に分割した部分モデルごとに複素剛性マトリクスを計算し、それらを組み合わせて全体系の解を求めることもでき、動的サブストラクチャー法と呼ばれています。 |
| 備考 |
破壊を伴う極端な非線形現象を除いては、地盤と構造物の動的相互作用の解析法として最も適した方法であり、等価線形解析により強震時の地盤物性の非線形性を近似的に評価した二次元、三次元解析がアースダム、原子炉建屋、埋設構造物などについて行われています。 |
■重複反射法、モード重ね合わせ法、複素(周波数)応答法に必要な定数の解説
| 必要な定数 |
上記3種類の線形解析を行う場合に必要な土質定数としては、土の単体重量(γt)、せん断波速度(Vs)、またはせん断剛性(G)、減衰定数(h)、二次元問題の場合はポアソン比(ν)があげられ、さらに等価線形解析を行う場合には、せん断剛性と減衰定数のひずみ依存性を表す関係(G/G0〜γ、h〜γ、G0は微小ひずみに対応したせん断剛性、γはせん断ひずみ)を与える必要があります。
これらの土質定数のうち、Vsは原位置での弾性波速度試験から決められるか、あるいは標準貫入試験などから推定されます。
その他の土質定数については、地盤から採取した試料による室内試験により定める方法が通常とられます。この際、試料が採取時に乱されることがGなどの測定値に与える影響が大きいことが指摘されており、それを考慮して定数を定めることが重要です。また、室内試験から得られるれの値は土の材料減衰であり、地盤の地震応答において重要な役割を演ずるもうひとつの減衰要因である逸散減衰との区別を明確に意識して解析を行う必要があります。 |
■直接積分法の解説
| 手法 |
離散系モデルの多自由度振動方程式を、時間軸に沿って直接的に数値積分する方法です。
数値積分法には種々の方法がありますが、自由度の大きなモデルを対象とした大次元マトリクスを扱う非線形解析では、マトリクス演算が、簡単な陽解法(例えば「β=0のNewmark β法」)が適しています。 |
| 非線形計算 |
「モード重ね合わせ法」に比べて計算効率は悪いものの、積分の時間きざみごとに物性値やモデルの定数などを変化させることにより非線形計算が行えます。 |
| 減衰 |
レイリー減衰などの粘性減衰や履歴減衰が考慮でき、地盤や土構造物の強い非線形震動解析に適した方法です。特に液状化現象について、間隙水圧の上昇を考慮した有効応用液状化解析が、この方法により最近多く行われています。 |
| 備考 |
線形加速度法のような陰解法に比べて解の安定性は劣っており、短い時間きざみを選び計算ステップ数を多くする必要があります。 |
| 必要な定数 |
強い非線形解析を行う場合に必要となる土質定数としては、前述の線形解析に用いる定数に加えて、地盤の動的応答のみを対象とした場合でも、動的応力・ひずみ関係(骨格曲線、履歴曲線)が必要となり、地盤の液状化や沈下なども対象とする場合はさらに、体積圧縮・膨張係数、透水係数、内部摩擦角などが必要となります。 |
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