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災害ミニ知識

災害時の避難命令について

 災害時などに「避難命令」という言葉を耳にします。一方「避難勧告」と「避難指示」という言葉もあり、これらはどう違うのでしょうか。災害に携わる身としては整理しておくべきです。

 法律的には「避難勧告」と「避難指示」という定義しかありません

避難勧告 地域の居住者に避難を強制するものではなく、居住者に立ち退きを勧め促すものです。
避難指示 被害の危険が切迫したときに発せられるもので、「勧告」より拘束力が強くなりますが、立ち退きをしないことにより被害を受けるのは本人自身であることから、指示に従わなかった者に対し直接強制までは行われません。

 「避難勧告」を規定している法律としては、『災害対策基本法』や『水防法』、『地すべり等防止法』、『警察官職務執行法』などがあります。

 例えば、河川の洪水や海からの高潮により危険が切迫しているとき、都道府県知事、水防管理者(市町村長)は『水防法』により「立ち退きの指示」を出すことができます。また、『地すべり等防止法』では、地すべりの危険が迫ったときに、都道府県知事が「立ち退きの指示」を出すことができ、警察官も天災特に「避難措置」を行うことができます。

 災害時の地域の防災責任者は市町村長ですが、上記の法律だけでは洪水、地すべり以外の地震や津波、がけ崩れ、火山噴火などすべての災害に対して市町村長が住民を避難させることはできません。そこで、『災害対策基本法』では、市町村長がすべての災害時に「避難のための立ち退きの勧告」(避難勧告)「避難のための立ち退きの指示」(避難指示)を出すことができるよう決められています。

 同時にこの法律では、市町村長が避難勧告・指示ができない場合、都道府県知事が代行することになっています。また、急を要する場合や市町村長の要求などにより、警察官または海上保安官が「立ち退き指示」を出すことができるようにもなっています。

 では、どんな時に「避難勧告」や「避難指示」が出されるのでしょうか。

 『災害対策基本法』では「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命又は身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するために特に必要があると認められるとき」と規定しています。

 市町村では、それぞれの地域防災計画の中で地域の状況に合わせて「○○川の水位が計画高水位(危険水位)になったとき」、「○○の雨量が○○を超えたとき」などと発令基準を設けていますが、最終的には市町村長の判断となります。

 こうした適切な避難の実施規定により、人命が救われた例が数多く報告されています。1997年5月11日午前8時頃、秋田県鹿角市で起きた大規模な地すべりおよび土石流災害では、澄川・赤川温泉で16棟の旅館が全壊するという被害を受けましたが、幸いにも前日からの地すべりの前兆現象に気付いた澄川温泉経営者や市役所職員が的確な判断を行い、避難勧告によって事前の避難が徹底されたため、人的な被害がありませんでした。

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