地震災害の復旧計画。なかなか精通した人はいないと思います。新潟県中越地震の復旧計画を検討するに当たり、少しでも参考となればということでこのコーナーを作りました。
なおこの災害事例は過去の災害手帳で教科書となった事例を参考としています。 |
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■■■地震による河床クラックを張コンクリートで採択した災害■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
★ポイント・・・自然河床のクラックも対象として採択された事例。
災害 |
○災○号○○県○○郡○○町○○川
復旧延長L=278.5m
災害復旧費約2百万円 |
被災の概要 |
震度4の地震発生により、河床にクラックが生じ、流水が地下に流入し、流下水がなくなったほか、付近民家の地下水位が異常に低くなって、種々の一般被害が生じたので、河床を張コンクリートで申請した。 |
指摘・問題 |
対応 |
@流入水と地下水との関係が明らかでない |
食塩水による地下水追跡調査を行い関係を明らかにした。 |
A河床のクラックは負担法の対象となるか |
負担法にいう河川は流水とその敷地であると解されること、又、この被災により流水が伏流し維持用水の確保ができなくなったので流水の正常な機能を維持させる必要があること等により、一部被害の少ない区間を削除し採択された。 |
■■■地震により亀裂を生じた橋梁の災害■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
★ポイント・・・亀裂の程度で補修か架換か決まった事例。
災害 |
○災○号○○大橋
災害復旧費約318百万円 |
被災の概要 |
宮城沖地震により、コンクリートゲルバー橋に0.2mm以上の無数の亀裂が発生した。 |
指摘・問題 |
対応 |
亀裂と対策規模 |
「コンクリート標準示方書」や他の文献によると、許容ひびわれ幅は0.2mm以下であることから、綱桁による連続桁(橋長306.15m)として全径間架換で採択された。 |
■■■地震による干拓堤防の災害■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
★ポイント・・・委員会を設置して大規模災害の事例。
災害 |
○災○号〜○号44箇所
災害復旧費25、480百万円(内応急仮工事費620百万円) |
被災の概要 |
日本海中部地震はマグニチュード7.7の巨大地震で、秋田市、青森県深浦町及びむつ市で震度5を記録し、津波による死者104名を出すなどその影響は北海道から山陰地方にわたった。この地震により八郎潟中央堤防50kmと干拓前の在来湖岸地先に築堤した八郎潟周辺堤防48kmの約70%にあたる69kmが被害を受けた。
干拓堤防は浚渫した土砂により築造したもので、接水する堤体前面をアスファルトフェイシングしている。被害は、堤体の沈下、崩壊またはアスファルトフェイシングの亀裂等で
、過去の新潟地震や十勝沖地震による被災箇所と同一の箇所で被害を受けていた。 |
指摘・問題 |
対応 |
委員会 |
復旧工法については、建設省、農林水産省、土木研究所、秋田県などで構成する「八郎潟堤防震災復旧技術検討委員会」を設置して検討し、以下
のように決定された。 |
復旧工法 |
押え盛土、捨石工、張芝工、止水薄鋼板及び鋼矢板、アスファルトフェイシング |
応急仮工事 |
土のう積工、盛土工、寄石工、亀裂修繕工(アスファルト工)、袋詰コンクリート工 |
広義の原形復旧 |
この復旧工法は、背後地の集落等の存在を考慮した広義の原形復旧にあたり、査定時には、金額保留となる箇所があることも考慮し、全箇所「保留」扱いとなった。なお、本災害については、災害復旧助成事業として改良復旧されることとなった。 |
■■■地震の液状化対策として砕石によるドレーン層設置■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
★ポイント・・・調査で液状化が原因と判明した事例。
災害 |
○災○号
災害復旧費41百万円 |
被災の概要 |
北海道東方沖を震源とするM8.1の大地震により、路体が崩壊し、路面上に幅数10cm、深さ2m以上の亀裂が発生した。 |
指摘・問題 |
対応 |
調査 |
調査の結果、路体は粒子が均一化した火山灰の高盛土沢地形で地下水位も高く、大きな地震動で間隙水圧が上昇し液状化したと考えられた。 |
対策 |
砕石によるドレーン層により間隙水圧の上昇を減少させ、法尻にフトン篭を設置した、盛土安定工法が採択された。 |
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