地震の概要 |
発生日時;1994(H.6)年10月4日22時23分
地震の規模:マグニチュード(M)8.1
各地の震度:震度6(烈震)釧路
震度5(強震)根室・広尾学前可
震度4(中震)帯広・苫小牧・網走 |
河川災害 |
被災の概要 |
被災形態は次のようになっている。
@堤体被害:堤防天端の縦・横断亀裂、沈下、堤防法面の縦・横断亀裂、はらみだし、法崩れ
A護岸被害:積ブロックの沈下、前倒、倒壊上記のような被害が、他の震災と同様に、地震に弱いと言われている地盤生成の新しい軟弱地盤上納印可道上の堤防を中心に発生している。 |
種別 |
対策方針 |
応急復旧 |
被災が、降雨出水期であるため緊急性を考慮し、被災前の堤防高を応急的に確保するよう復旧工法の選定を行う。
@堤体の沈下を伴わず、亀裂のみが発生している箇所では、暫定的に土砂を充填するとともに、HW.L以上の部分にシート張りを行い、降雨な割こよる堤体への浸透を防ぐ。
AHW.L以下の部分まで亀裂が及んでいる場合には、川表側にHWLまで土のう張りを行い堤体を補強する。
Bすべり、沈下を伴う箇所では、盛土を行い被災前の堤防高を確保し、あわせてシート張り、H.WLまでの土のう張りを行い堤体を補強する。 |
本復旧 |
被災箇所を、亀裂の方向(縦断方向・横断方向)、幅、深さ、すべりの破壊の有無、沈下破壊の有無により、6つの被災パターンに分類し、それぞれについて以下のような復旧工法を選定した。
@沈下が認められず、亀裂の幅が狭く、かつ条数の少ない堤防については、亀裂箇所を締固め機械が入る幅で掘削し、切り返し、充填する。切り返す深さは、事前に石灰水注入等により亀裂の深さを確認し決定する。
A亀裂幅が大きく、沈下、法すべり崩壊等の現象を伴う被災箇所では、被災状況を十分に把握した上で個別箇所の被災特性に応じた復旧工法を選定する。
切り返し:切り返し幅は、堤防全幅とし、深さは石灰水注入等により地震による影響範囲を確認する。
護岸工:切り返しを行った新堤は、従前の効用を果たすまでに数年かかることから、雨水や河川水の流水による堤体の洗掘、崩壊を防ぎ、堤体の弱体化を防止するため、HWLまで、コンクリートブロック、法枠等で被覆す
る。
止水矢板;堤内外地盤の亀裂が、堤防を横断して発生し、基盤漏水の恐れがある場合に、地盤内漏水を防ぎ、間隙水圧を低下させ、堤体の安定を図るために行う。
基礎処理:被災状況から、堤体の安定のため必要な場合に行う。又、基礎処理工法の選定にあたっては、地質調査等を行い決定する。
BHWL以下の切り返し、開削等を行う場合には、仮締切を計上する。 |
道路災害 |
被災の概要 |
今回の地震による道路災害は、広範囲に発生しており、被害の程度は、路面のヘアークラック等軽度のものから、路体の損壊を伴う重度のものまで多岐にわたっており、
主な被災形態は、
@路面上の縦横断亀裂、陥没。
A路肩からの段落ち及び法面のはらみだし。
B道路中心付近からの崩壊とはらみだし。
C路体の崩壊
被害程度の大きい箇所は、沢地形の高盛土箇所で、地山等からの浸透水により盛土の一部が飽和している状況が見られ、地山と盛土体の境界付近で液状化による著しい強度低下が発生したものと考えられる。 |
種別 |
対策方針 |
応急復旧 |
公共土木施設はもとより、ライフラインにも大きな被害が発生し、住民生活への影響が深刻なものとなり、早期復旧が緊急の課題となった。このため、二次災害の有無、救援、復旧活動への影響等を総合的に判断し緊急性の高いものから応急工事を実施する。 |
本復旧 |
復旧箇所を亀裂の幅、深さ、すべり面の位置(法面、盛土内、基礎地盤)から7つのパターンに分類し、それぞれについて以下のような復旧工法を選定した。
@路面上の陥没被害のみの場合は、路盤材の補充及び、舗装の打ち換えを行う。又、亀裂が法面や路床に達している場合は、亀裂の深さにより、その影響範囲を確認し、路盤及び舗装の全面打ち換えを行う。(2パターンに分類)
A盛土法面の亀裂や舗装の亀裂が大きい箇所では、影響範囲まで切り返し、舗装、路盤の全面打ち換えを行う。(2パターンに分類)
B法面の被害が大きい箇所や路体の崩壊箇所は、高盛土区間に多く発生していることから、盛土の復旧にあたり、釧路沖地震での復旧箇所において盛土法尻に設置したフトン篭が、間隙水圧による法尻強度の低下に伴う法面崩壊を防ぐのに有効な工法であったことを考慮し、フトン篭を設置し盛土の安定を図ることとした。(3パターンに分類)
・盛土安定:良質な盛土材料の選定。法勾配の緩和
・補強土工法(ジオテキスタイル)
・地下排水工(盛土と地山境界切込)
・砂利、フトン篭等の設置)等
・基礎地盤:基礎処理。押え盛土等 |