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 土砂新法
 設計手法とその詳細
 

  

平成15年3月18日(火)13:00から砂防会館で、各県の砂防担当者が集められ、国土交通省砂防部保全課によって「衝撃力と崩壊土砂量を考慮した設計手法説明会」が開催されました。
その説明会の内容は以下の通りでした。

(1)平成12年5月に「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」が施行され、これに伴いこれまでに実施してきた急傾斜地崩壊対策事業の擁壁にも衝撃力を考慮した設計が必要となり、15年2月26日に「衝撃力と崩壊土砂量を考慮した擁壁の設計手法検討委員会」を開催し、設計方法を検討した。

(2)擁壁に作用する力は自重、裏込め土圧の通常の荷重の他、崩壊土砂による衝撃力、崩壊土砂が堆積した時の堆積土圧を考慮する。

(3)衝撃力はF=α×Fsmで計算する。

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(4)堆積土圧は、崩壊土砂が落石防止柵を含めた擁壁背後の空間に堆積するものとして計算する。崩壊土砂量については現地の地質調査などによる推定が困難な場合は表1に示す全国の斜面災害データ(4671件)での斜面高さ毎に区分した崩壊土砂量を参考とすることが出来る。

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(5)検討荷重としては、常時、地震時、衝撃力作用時、崩壊土砂堆積時の4ケース。

(6)安全率

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(7)許容応力度の割増係数

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(8)地盤の許容支持力度

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ところがこの場で各県の砂防担当者から質問が出ました。
「ある県で試算したところほぼ全ての擁壁に補強が必要な結果が出たが、この県では土砂衝撃力によって擁壁が倒壊した事例はない。膨大な費用をかけ全ての擁壁を補強する必然があるのか?」
この問題についてかなり熱い議論がなされました。


その後平成15年6月17日に、国土交通省砂防部保全課から各県の砂防主幹課長宛に「がけ崩れによる家屋と擁壁の被災実態調査の実施及び報告について」のFAXが入りました。
その背景と目的は以下のようなものでした。

待ち受け式擁壁工は、地盤の変形等を考慮して設計された場合、従来の設計における設計荷重よりも大きな力が作用した場合でも安定性が失われないと考えられる。しかし擁壁の被災事例から、擁壁に作用する衝撃力と待ち受け式擁壁の関係は経験的に把握されてはいるものの、実証されていない。そこで国土交通省では、「崩土の衝突に対する対策工の合理的設計手法に関する調査」として、崩土の衝撃力と地盤の変形を考慮した待ち受け式擁壁の合理的な設計方法の作成に向け、研究を進めている。その一環として、擁壁に作用する力、及び地盤変形の実態を把握すべく本調査を行うこととした。

そして工程的には、平成15、16、17年度と実態調査を行い、崩土の規模、状態と擁壁への作用力の関係を求め、模型実験の結果を踏まえ、平成18年に「崩土の衝突を考慮した合理的な擁壁設計手法の作成」を完成させる見通しが示されています。

以上のように平成15年3月18日に示された「衝撃力と崩壊土砂量を考慮した設計手法」は暫定的なものであり、現時点の設計をこれで行うかについては各県の砂防課の考えによるものであります。したがってコンサルタント側としてはこの辺を良く理解した上で様々な対応を行うことがよりよい計画につながるはずです。

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