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シリーズコラム 「社会を支える人工知能」 |
【第20回】:AIの研究者がノーベル賞を受賞
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先日、ノーベル賞の受賞者が発表され、AIの研究者がノーベル化学賞とノーベル物理学賞を受賞しました。従来、これらの賞は、各分野の専門家から、人類に最大の貢献をした人に贈られていましたが、AIの研究者が受賞したことで世界中の研究者が驚きました。
ノーベル化学賞を受賞した3名のうち2名は、AI開発を行っているGoogle DeepMindに所属するデミス・ハサビス氏とジョン・ジャンパー氏です。このGoogle DeepMindは2010年に設立され、世界屈指の囲碁棋士イ・セドルとの対戦で勝ち越し、世界に衝撃を与えたAlphaGoを開発した企業です。AlphaGoに関しては、いさぼうネットでも記事(コンピュータと人間の囲碁対決で示された、人間を凌駕するほど勤勉なコンピュータがもたらす世界)にしていますので、ご興味のある方はご覧ください。
この2名の大きな貢献は、たんぱく質の立体構造を解明するためのAI(AlphaFold)を、誰でも利用できるように公開したことだと個人的には考えています。このAIを公開しているサイトや論文を見てみましたが、タンパク質の専門家ではないので、内容は全く分かりませんでした。あしからず。
図1 AlphaFoldのサイト(出典:AlphaFold)
ノーベル物理学賞では、AIの基礎技術に関する開発・研究に関わったジョン・ホップフィールド教授とジェフリー・ヒントン教授が受賞しました。ちなみに、ヒントン教授は情報科学のノーベル賞と言われるチューリング賞も2018年に受賞しています。私自身、ディープラーニング(深層学習)をやり始めた頃から、ヒントン教授の論文を何編(例えば、[1]や[2])も読み、勉強させてもらってます。
図2 ジェフリー・ヒントン教授の論文(その1)[1]
図3 ジェフリー・ヒントン教授の論文(その2)[2]
AIブームは過去に2回あり、このブーム時はAIの研究は盛んでしたが、ヒントン教授はブームが終わった後(「冬の時代」と言われている)も地道に研究を進めていたことで、今回の受賞に繋がったといえます。
今回は、前回の記事の続きを執筆しようと思っていたのですが、AIの研究者がノーベル賞を受賞したので、簡単ではありますが、受賞者に関してお伝えしました。
[1]
G. E. Hinton and R. R. SalakhutdinovAuthors, "Reducing the Dimensionality of Data with Neural Networks", Science, Vol.313, Issue 5786, pp.504-507, 28 Jul 2006.
[2]
Alex Krizhevsky, Ilya Sutskever, Geoffrey E. HintonAuthors, "ImageNet classification with deep convolutional neural networks", Communications of the ACM, Vol.60, Issue 6, pp.84-90, 24 May 2017.