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1.ARMプロセッサってなに?
ARMプロセッサと言われて「なにそれ?」と言う方は多いと思います。'プロセッサ'ですからCPUであることは間違いありません。私たちが日常使用しているパソコンのCPUはインテル社のCore i7、i5、celeron、Atom、AMD社のAthlon等が有名ですが、実はARMプロセッサはパソコンのCPUの数倍の数が既に我々の身近なところで数多く使用されています。
2.スマートフォンや携帯電話のCPUのほとんどがARMプロセッサを使用している。
パソコンのCPUの世界はインテル社とマイクロソフト社が連携した、いわゆる「ウインテル連合」が業界を席捲している状態ですが、スマートフォンや携帯電話、タブレットの世界では全く状況は異なり、ARM系のプロセッサが業界の70%以上を占めている状態で、インテル製のCPUもこの分野には苦戦を強いられている状態です。
3.なぜインテルがスマートフォンや携帯電話の市場に食い込めないのか?
(理由 その1) インテル製のCPUと正反対の進化形態を歩んだARMプロセッサ
インテル製のCPUはこれまで高性能を追求し続け、それを武器にしてパソコン市場を席捲してきました。確かに性能は時代とともに飛躍的に向上してきましたが、その結果として必要とするメモリ量も膨大になり、なによりCPUの消費電力も大きくなり、それを冷却する為の冷却装置も必要になってきました。私なりに例えて言うと、インテル系のCPUの進化は恐竜時代の巨大な恐竜そっくりの進化形態をつい先ごろまで行っていたということです。
それに比べARM系プロセッサは全く異なる進化形態をこれまで歩んできました。
その要点を要約すると、
・処理能力を追求するよりも、低消費電力で必要十分な処理能力を確保する。
・少ないメモリでも必要十分な動作を確保する。
・低消費電力なので、冷却ファン無しで動作する。
となります。
まるで恐竜時代に生きていた哺乳類のルーツであるネズミの先祖みたいですね。
(理由 その2) インテル製のCPUとARMプロセッサではCPUの構造そのものが異なる。
ARM系のプロセッサの構造はRISC(reduced instruction set computer)と呼ぶ構造でCPUの命令の種類を少なくしてCPUそのものの回路構造を単純化してあります。その結果CPU全体での半導体の数も少なくなり、消費電力も抑えることが可能となります。
一方のインテル系CPUの場合は高い処理能力を追求する目的から命令の種類も複雑になるCISC(complex instruction set computer)と呼ぶ方式で、処理能力の向上の代償として回路構造も複雑になり消費電力が大きくなってしまいます。携帯電話では1週間程度の待ち受けや使用が可能ですが、インテル製のCPUを搭載したノートパソコンではせいぜい2日でバッテリー切れになるのはこの理由からです。
(理由 その3) ARMプロセッサは基本設計元と製造元が異なり、開発コストを抑えられる。
ARMプロセッサのCPUコアの設計は英国のARMホールディングという会社(通称ARM社)が行っています。このARM社が設計したCPUコアは「ARMアーキテクチャ」と呼ばれ、世界中の多くの企業がこの「ARMアーキテクチャ」をライセンス購入し、それに各社独自のコアセットやチップセットを付加してARMプロセッサの製造販売を行っています。
一方のインテル社ではCPUコア設計から製造販売までインテル社1社で行っています。
この製造工程の違いは当然CPUそのものの価格にも反映します。以下に例をあげてみます。
(例1) インテル社の現在ポピュラーな代表的なCPU(Celeron Dual-Core G3900 BOX)
価格:約\4,300〜\5,000 (注:価格.com 調べ)
(例2)ARMアーキテクチャ採用(coretex-a7 クアッドコア 1.2GHz Allwinner h3)
価格 :約5.9$(約\700)
性能比もあり単純な価格比較はあまり適当ではありませんが、それにしてもこの価格差は圧倒的です。これもCPUコア設計開発費用がライセンス費用のみで抑えられるという理由からです。

4.ARMプロセッサを使ってみよう
現在ARMプロセッサを採用した安価なシングルボードコンピュータが数多く販売されています。5年前にRaspberry Pi(ラズベリーパイ)という25$の製品が販売され、日本でも数多くの人がARMプロセッサを利用したシステムの開発を始めるようになりました。ここでその製品や開発システムをいくつかを紹介します。
(1)Raspberry Pi(ラズベリーパイ)
5年前(2013年)の2月に25$でイギリスのラズベリーパイ財団から教育用のコンピュータとして販売され、世界的に爆発的にブームを呼んだ名機。当初はシングルコアでしたが、現在ではクアッドコア(4コア)製品や数多くの周辺機器も充実し、また、書籍類やインターネット上の開発事例も豊富にあるので入門用には最適です。
欠点はRTC(リアルタイムクロック)が標準で付いていないことと、RTC連携による消費電力コントロールが貧弱なことで、電力消費を抑えた本格的組み込み用途には向きません。

(Raspberry Pi P3)
本体価格:\5,600程度
(2)Armadillo(アルマジロ)
アットマークテクノ社が製造販売する日本の代表的ARMアーキテクチャ組み込み開発用プラットフォームです。様々な用途に合わせ十数種類のボードがラインナップされ、開発環境もメーカーから提供されます。既に数多くの企業や研究機関、大学等で使用され、日本では最も信頼されている組み込み用ARM開発プラットフォームのひとつと言えるでしょう。予算や製品原価コストに余裕があり確実に開発を行いたい場合に最適な開発システムです。

(Armadillo-440 ベーシックモデル開発セット)
本体+開発キット価格:\30,000
(3)Orange Pi PC2(オレンジパイ PC2)
ラズベリーパイの出現以降、バナナパイとか名称に「Pi」を冠したPCボードが数多く登場しましたが、本家の性能を超えるものは少なく自然淘汰されていきました。そんな中でこの'Orange Pi PC2'はギガベースのLANインターフェースに Cortex-A53(4コア)Allwinner h5という中華性高性能クアッドコアCPUを搭載し、価格も20$程度と、安さと性能比で現在世界中で注目を浴びている機種です。日本では品切れが多いので、Ariexpress等で入手されている方が多いです。

(Orange Pi PC2)
本体価格:約\2,500〜\3,500
(4)A10-OLinuXino-LIME
Olimex(オリメックス)というブルガリアの小ロット基板作成をオンラインで受注している企業が自社ブランドとして4年前に発売したシングルボードコンピュータです。
発売当初のラズベリーパイそっくりの構成ですが、CPUに(Allwinner A10 Cortex-A8 processor)を搭載しコストを抑え、何よりもオプションのリチウムイオン電池を装着すると、ほぼ完璧なRTC(リアルタイムクロック)が実現でき、組み込み用省電力システムも実現可能なボードで\7,000円程度で入手可能です。欠点は日本での紹介サイトが今ではほとんど無く、自力で海外の英語サイトから情報を入手しなければならないことです。ちなみに私の主力組み込み用システムはこの機種を使用しています。

(A10-OLinuXino-LIME)
本体価格:約\4,600
(5)armbian (アーンビアン:ARMボード向け組み込み用OS、カーネル開発用システム)
従来のARMプロセッサ搭載システムの組み込み用OSの開発は大変な作業でした。
[1]クロスコンパイル環境の準備
[2]linux等のカーネルコンパイルとデバイスドライバの選択と組み込み
[3]ルートシステム(OS)の選択
[4]ブートローダーのコンパイル
[5]SDやボードのフラッシュメモリへのブートローダ、カーネル、OSの書き込み 等
とても神経を使い失敗の許されない作業の連続でした。しかしこのarmbian (アーンビアン)は上記[1]から[5]までの作業を連続してほぼ全自動で行ってくれる理想的なARMボード向け組み込み用OS、カーネル開発用システムです。
開発環境のOSとしては(ubuntsu Ver16.04 LTS) と最低でも32Gbyts程度のストレージが必要ですが、この開発の簡単さは特筆ものです。また、サポートされるARMボードも数多くあり、組み込み開発者にとっては大変ありがたいシステムです。
〇armbian (アーンビアン)サイト

https:///www.armbian.com/
5.ARMプロセッサ開発のまとめ
6、7年前まではARMプロセッサを使用した組み込みシステム開発はその道のプロフェッショナルか学生、研究者のみが携わり、一般のシステム開発者からも縁遠い世界でした。 しかし、5年前のラズベリーパイの出現や、armbian (アーンビアン)の様な開発システムの出現によって今ではかなりそのハードルは低くなってきています。
特にスマートフォンの普及によりARMプロセッサの低価格化がその動きに拍車をかけています。また、ちまたで叫ばれている'IOT'の開発にも基礎技術として必要不可欠な要素となりつつあります。
最初は書籍やWEB紹介ページの豊富なラズベリーパイから始めるのが一番やさしい方法です。皆さんも一度試してみてはどうでしょうか?
ARMプロセッサと言われて「なにそれ?」と言う方は多いと思います。'プロセッサ'ですからCPUであることは間違いありません。私たちが日常使用しているパソコンのCPUはインテル社のCore i7、i5、celeron、Atom、AMD社のAthlon等が有名ですが、実はARMプロセッサはパソコンのCPUの数倍の数が既に我々の身近なところで数多く使用されています。
2.スマートフォンや携帯電話のCPUのほとんどがARMプロセッサを使用している。
パソコンのCPUの世界はインテル社とマイクロソフト社が連携した、いわゆる「ウインテル連合」が業界を席捲している状態ですが、スマートフォンや携帯電話、タブレットの世界では全く状況は異なり、ARM系のプロセッサが業界の70%以上を占めている状態で、インテル製のCPUもこの分野には苦戦を強いられている状態です。
3.なぜインテルがスマートフォンや携帯電話の市場に食い込めないのか?
(理由 その1) インテル製のCPUと正反対の進化形態を歩んだARMプロセッサ
インテル製のCPUはこれまで高性能を追求し続け、それを武器にしてパソコン市場を席捲してきました。確かに性能は時代とともに飛躍的に向上してきましたが、その結果として必要とするメモリ量も膨大になり、なによりCPUの消費電力も大きくなり、それを冷却する為の冷却装置も必要になってきました。私なりに例えて言うと、インテル系のCPUの進化は恐竜時代の巨大な恐竜そっくりの進化形態をつい先ごろまで行っていたということです。
それに比べARM系プロセッサは全く異なる進化形態をこれまで歩んできました。
その要点を要約すると、
・処理能力を追求するよりも、低消費電力で必要十分な処理能力を確保する。
・少ないメモリでも必要十分な動作を確保する。
・低消費電力なので、冷却ファン無しで動作する。
となります。
まるで恐竜時代に生きていた哺乳類のルーツであるネズミの先祖みたいですね。
(理由 その2) インテル製のCPUとARMプロセッサではCPUの構造そのものが異なる。
ARM系のプロセッサの構造はRISC(reduced instruction set computer)と呼ぶ構造でCPUの命令の種類を少なくしてCPUそのものの回路構造を単純化してあります。その結果CPU全体での半導体の数も少なくなり、消費電力も抑えることが可能となります。
一方のインテル系CPUの場合は高い処理能力を追求する目的から命令の種類も複雑になるCISC(complex instruction set computer)と呼ぶ方式で、処理能力の向上の代償として回路構造も複雑になり消費電力が大きくなってしまいます。携帯電話では1週間程度の待ち受けや使用が可能ですが、インテル製のCPUを搭載したノートパソコンではせいぜい2日でバッテリー切れになるのはこの理由からです。
(理由 その3) ARMプロセッサは基本設計元と製造元が異なり、開発コストを抑えられる。
ARMプロセッサのCPUコアの設計は英国のARMホールディングという会社(通称ARM社)が行っています。このARM社が設計したCPUコアは「ARMアーキテクチャ」と呼ばれ、世界中の多くの企業がこの「ARMアーキテクチャ」をライセンス購入し、それに各社独自のコアセットやチップセットを付加してARMプロセッサの製造販売を行っています。
一方のインテル社ではCPUコア設計から製造販売までインテル社1社で行っています。
この製造工程の違いは当然CPUそのものの価格にも反映します。以下に例をあげてみます。
(例1) インテル社の現在ポピュラーな代表的なCPU(Celeron Dual-Core G3900 BOX)
価格:約\4,300〜\5,000 (注:価格.com 調べ)
(例2)ARMアーキテクチャ採用(coretex-a7 クアッドコア 1.2GHz Allwinner h3)
価格 :約5.9$(約\700)
性能比もあり単純な価格比較はあまり適当ではありませんが、それにしてもこの価格差は圧倒的です。これもCPUコア設計開発費用がライセンス費用のみで抑えられるという理由からです。

4.ARMプロセッサを使ってみよう
現在ARMプロセッサを採用した安価なシングルボードコンピュータが数多く販売されています。5年前にRaspberry Pi(ラズベリーパイ)という25$の製品が販売され、日本でも数多くの人がARMプロセッサを利用したシステムの開発を始めるようになりました。ここでその製品や開発システムをいくつかを紹介します。
(1)Raspberry Pi(ラズベリーパイ)
5年前(2013年)の2月に25$でイギリスのラズベリーパイ財団から教育用のコンピュータとして販売され、世界的に爆発的にブームを呼んだ名機。当初はシングルコアでしたが、現在ではクアッドコア(4コア)製品や数多くの周辺機器も充実し、また、書籍類やインターネット上の開発事例も豊富にあるので入門用には最適です。
欠点はRTC(リアルタイムクロック)が標準で付いていないことと、RTC連携による消費電力コントロールが貧弱なことで、電力消費を抑えた本格的組み込み用途には向きません。

(Raspberry Pi P3)
本体価格:\5,600程度
(2)Armadillo(アルマジロ)
アットマークテクノ社が製造販売する日本の代表的ARMアーキテクチャ組み込み開発用プラットフォームです。様々な用途に合わせ十数種類のボードがラインナップされ、開発環境もメーカーから提供されます。既に数多くの企業や研究機関、大学等で使用され、日本では最も信頼されている組み込み用ARM開発プラットフォームのひとつと言えるでしょう。予算や製品原価コストに余裕があり確実に開発を行いたい場合に最適な開発システムです。

(Armadillo-440 ベーシックモデル開発セット)
本体+開発キット価格:\30,000
(3)Orange Pi PC2(オレンジパイ PC2)
ラズベリーパイの出現以降、バナナパイとか名称に「Pi」を冠したPCボードが数多く登場しましたが、本家の性能を超えるものは少なく自然淘汰されていきました。そんな中でこの'Orange Pi PC2'はギガベースのLANインターフェースに Cortex-A53(4コア)Allwinner h5という中華性高性能クアッドコアCPUを搭載し、価格も20$程度と、安さと性能比で現在世界中で注目を浴びている機種です。日本では品切れが多いので、Ariexpress等で入手されている方が多いです。

(Orange Pi PC2)
本体価格:約\2,500〜\3,500
(4)A10-OLinuXino-LIME
Olimex(オリメックス)というブルガリアの小ロット基板作成をオンラインで受注している企業が自社ブランドとして4年前に発売したシングルボードコンピュータです。
発売当初のラズベリーパイそっくりの構成ですが、CPUに(Allwinner A10 Cortex-A8 processor)を搭載しコストを抑え、何よりもオプションのリチウムイオン電池を装着すると、ほぼ完璧なRTC(リアルタイムクロック)が実現でき、組み込み用省電力システムも実現可能なボードで\7,000円程度で入手可能です。欠点は日本での紹介サイトが今ではほとんど無く、自力で海外の英語サイトから情報を入手しなければならないことです。ちなみに私の主力組み込み用システムはこの機種を使用しています。

(A10-OLinuXino-LIME)
本体価格:約\4,600
(5)armbian (アーンビアン:ARMボード向け組み込み用OS、カーネル開発用システム)
従来のARMプロセッサ搭載システムの組み込み用OSの開発は大変な作業でした。
[1]クロスコンパイル環境の準備
[2]linux等のカーネルコンパイルとデバイスドライバの選択と組み込み
[3]ルートシステム(OS)の選択
[4]ブートローダーのコンパイル
[5]SDやボードのフラッシュメモリへのブートローダ、カーネル、OSの書き込み 等
とても神経を使い失敗の許されない作業の連続でした。しかしこのarmbian (アーンビアン)は上記[1]から[5]までの作業を連続してほぼ全自動で行ってくれる理想的なARMボード向け組み込み用OS、カーネル開発用システムです。
開発環境のOSとしては(ubuntsu Ver16.04 LTS) と最低でも32Gbyts程度のストレージが必要ですが、この開発の簡単さは特筆ものです。また、サポートされるARMボードも数多くあり、組み込み開発者にとっては大変ありがたいシステムです。
〇armbian (アーンビアン)サイト
https:///www.armbian.com/
5.ARMプロセッサ開発のまとめ
6、7年前まではARMプロセッサを使用した組み込みシステム開発はその道のプロフェッショナルか学生、研究者のみが携わり、一般のシステム開発者からも縁遠い世界でした。 しかし、5年前のラズベリーパイの出現や、armbian (アーンビアン)の様な開発システムの出現によって今ではかなりそのハードルは低くなってきています。
特にスマートフォンの普及によりARMプロセッサの低価格化がその動きに拍車をかけています。また、ちまたで叫ばれている'IOT'の開発にも基礎技術として必要不可欠な要素となりつつあります。
最初は書籍やWEB紹介ページの豊富なラズベリーパイから始めるのが一番やさしい方法です。皆さんも一度試してみてはどうでしょうか?

