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 シリーズコラム 「よろずIT・ネットワーク情報」 
【第32回】 オープンソースGISのQGIS3.Xで3Dビュー機能が標準になったので、試してみた。
 
 オープンソースGISのQGISがバージョン3.Xになってからしばらく使っていなかったのだが、仕事の都合で使い慣れたバージョン2.Xではなく3.Xを使ってみたら3Dビュー機能が標準機能として組み込まれていたので、その機能の使用レポートを報告します。 
 
QGIS(Ver3.8)
QGIS(Ver3.8)


【1】QGISバージョン2での3Dビュー機能とウェブ地図利用機能について

 通常、GISソフトで3Dビュー機能(地図を3次元表示で表示閲覧する機能)を利用するには、ベースとなる2次元の地図ソースとその地図の特定エリアの標高データ(DEM:Digital Elevation Model)が必要となります。
 QGISバージョン2までは、googleMAPや国土地理院の地理院MAP等のWeb上の地図をGIS上で利用する為には、openLayersプラグインというプラグインが必要でした。
 また、それらのWeb地図とDEM(標高データ)を組み合わせて3Dビュー機能を実現する際も、Qgis2threejsというプラグインをインストールして実現していました。


【2】 QGISバージョン3系では、ウェブ地図利用機能も3Dビュー機能も標準機能になっていました

(1)ウェブ地図利用機能
 まず2次元の地図ソースとしてインターネット経由で取得可能なタイル地図がプラグインを使用せずに、手軽に追加できるようになっています。

 インストール後のQGIS3.xを起動して
 [ビュー] → [パネル] → [ブラウザ] と選択すると 右側に以下の様な[ブラウザ]が表示されます。
new_xyz_tiles

 この中の XYZ Tiles を右ボタンでクリックし、[新しい接続]を選択すると、名前とURLの入力フォームが表示されますので、タイル地図のU名称とURLを入力し、OKを押せば登録完了です。

(2)よく使用されているインターネット経由で取得可能なタイル地図です。
・Google Maps(ハイブリッド衛星画像)
 URL:http://mt0.google.com/vt/lyrs=y&hl=en&x={x}&y={y}&z={z}&s=Ga

・OpenStreetMap
 URL:http://a.tile.openstreetmap.org/{z}/{x}/{y}.png

・国土地理院標準地図
 URL:https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/std/{z}/{x}/{y}.png

・国土地理院淡色地図
 URL:https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/pale/{z}/{x}/{y}.png

・国土地理院航空写真
 URL:https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/seamlessphoto/{z}/{x}/{y}.jpg

 一旦[ブラウザ]の[XYZ Tiles]に登録してしまえば、あとはダブルクリックすればレイヤに追加されます。


【3】 3Dビュー機能を使ってみる

(1)3Dビュー機能
 QGIS上でgoogleMAPの3D表示の様な表示を実現する機能です。[別にGoogleMAPでできればいいじゃないか・・」とおっしゃる方もおられるかと思いますが、GIS上では自分で作成した他の地図上の地点や地物と同時のい表示したり、重ね合わせたりできる利点があります。

(2)3Dビューを作成する前の準備
 1. まず、3D表示させたい2次元地図を決めます。
  (ここでは、Google Maps(ハイブリッド衛星画像)とします)

 2.  次に3D表示させたい特定エリアの標高データ(DEM:Digital Elevation Model)を入手します。
  (ここでは、手っ取り早く入手できる ASTER GDEM というサイトから入手します)
   [ASTER GDEM]

   [ASTER GDEM] → 地図の拡大/縮小/移動 → 選択範囲の描画/再描画
   → エリア選択 → 左フレームDEMの[Download]ボタンをクリックすることでZIP形式
   のGeoTIFF形式のDEMファイルが入手できます。

 ・今回のサンプルは昨年震度7の地震で大規模な地滑りが発生した北海道厚真町です。

(3)QGIS3の3Dビュー操作
 1. 2次元の地図を選択してレイヤを作成します。
  (ここでは、Google Maps(ハイブリッド衛星画像)とします。また、この時点で北海道
   厚真町付近の地図表示にしておきます。)

 2. 入手したDEMファイルをラスターレイヤに取り込みます。
  [レイヤ] → [レイヤの追加] → [ラスタレイヤの追加] を選択し、
  (データソースマネージャ|ラスタ)で
  ソースタイプ:ファイル
  ソース:ラスターデータセット [・・・] の[・・・]をクリックして、
  先ほどダウンロードして解凍したDEMデータ(TIFファイル)を選択し、
  [追加] ボタンを押します。

  ASTGTMV003_N42E141_dem というレイヤが追加されました。

 3. 3Dマップビューを開きます。
  [ビュー] → [新しい3Dマップビュー] 3D地図ウィンドウが開きます。

  3D地図ウィンドウのスパナの形をしたアイコンをクリックします。
 (3Dコンフィグレーション)

  地形 > 型:平らな地形 → DEMラスタ を選択
     > 高さ:ASTGTMV003_N42E141_dem を選択

  [OK} で 3Dコンフィグレーション) を終了します。

 4. 3Dマップビュー を閲覧します。
  ・3D地図ウィンドウを見やすい大きさに調整します。

  ・Ctrlキーを押しながら、マウスカーソルを上下、左右に動かすと、視点角度調整ができ、
   Ctrlキーを離すと、視点の平行移動ができます。

  ・マウスホイールで、拡大/縮小ができます。
北海道厚真町付近の3Dビュー(震災後)
北海道厚真町付近の3Dビュー(震災後)


【4】 タイル地図(航空写真)を古いものにして、災害前と比較してみる。

(1)2次元の地図に国土地理院航空写真レイヤを追加する

(2)Google Maps(ハイブリッド衛星画像)レイヤは非表示とする。

(3)【3】の(QGIS3の3Dビュー操作)を再度行い、3Dビューを作成する。
北海道厚真町付近の3Dビュー(震災前)
北海道厚真町付近の3Dビュー(震災前)
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