今回は今年(2019年12月)から固定価格買取制度の終了が始まる'太陽光発電'について掘り下げていきたいと思います。
【1】太陽光発電の固定化価格買取制度(FIT)とは?
正式には「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」といい、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定の価格で一定の期間(10年間)買い取ることを国が約束する制度で、対象となる再生可能エネルギーは「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」の5つのいずれかとなります。また、発電した電気は全量が買取対象になりますが、住宅の屋根に載せるような10kW未満の太陽光の場合は、自分で消費した後の余剰分が買取対象となります。
詳しくは
資源エネルギー庁の固定価格買取制度を参照
2009年の制度開始時の電力の固定買取価格は(48円/1Kwh,10年間)でしたが年々下がり続けており、今年の固定買取価格は(24円/1Kwh,10年間)となっており10年前の半額となっております。もっともソーラー発電等の設備費用も技術革新でかなり安くなってきています。
この制度が開始されてから今日まで、固定買取が維持されてきましたが、来月(2019年12月からは、固定買取期間の10年を経過した方や事業者が発生してきます。いったいこの方たちはその後どうやっていくのでしょうか?
資源エネルギー庁のホームページには次のような選択肢が紹介されています。
資源エネルギー庁のホームページ「どうする?ソーラー」
(選択肢1)自家消費
・電気自動車や蓄電池・エコキュートなどと組み合わせて自家消費
昼間に発電して、電気製品などの電力に使用しつつ、余った電力を蓄電池に貯めることで、夜間に使用することができます。また電気自動車は充電することで、自動車の動力としてだけではなく、家庭の電気製品などの電力として使用することができます。
(選択肢2)相対・自由契約
・小売電気事業者などに対し、相対・自由契約で余剰電力を売電
従来通り小売り電気事業者などと個別に契約し、余剰電力を買い取ってもらうことができます。今後様々な事業者から発表される買取メニューをご確認いただき、買取期間の満了までに、ご自身の希望にあうプランを選択してください。
(
売電できる事業者はこちら)
【4】 |
固定買取期間と買取期間終了後の相対・自由契約の売電買取価格の差はどれくらい? |
前項の資源エネルギー庁のホームページの(売電できる事業者はこちら)のページを参考に、実際に固定買取期間が終了した後の売電価格を調べてたところ、一番条件のよい場合で(11.5円/1Kwh) ,一番悪い条件で(6.5円/1Kwh)でした。私の住んでいる北陸電力管内では平均で(8円/1Kwh)程度でした。
来月で固定買取契約の切れる方や来年度いっぱいで契約が切れる方はいきなりある月から、(48円/1Kwh)から(8円程度/1Kwh)に、売電収入が突然1/6に減少しますので、なにも予備知識のない方や、事前準備をなさっておられない方は少なからずびっくりしたり落胆なさるかも知れません。月々の電気代の明細も、前月までは収入のほうが多かったのに、いきなり支払に転じるというパターンも発生するかもしれません。
前項で固定買取期間終了後の売電価格予想があまりに安いので、驚かれた方も少なからず、おられると思います。
しかし思い直してみれば、固定買取期間中の高い売電価格も(FIT制度)という電力利用者すべてが固定買取価格を維持する仕組みがあったからこそできた価格であって、単にその優遇期間が終了したということに過ぎないということです。つまりすべての利用者に課されている電気料金に加算された、
再エネ賦課金 = 使用電気量(kW/h) × 2.95円/kWh
の恩恵にあづかる期間(10年間)が終了したということです。
これからは、せっかく導入した発電設備をより有効に役立たせる方向に頭を切り替える発想の転換が必要となってくるでしょう。
【6】 |
「売電で儲ける」から「自分で消費する、電力地産地消」への発想の転換 |
先々月の2019年9月に千葉県を襲った台風15号では9月10日から24日まで全面復旧まで2週間を要する大規模かつ長期間な電力供給網の被害が発生しました。
このような場合、自宅にソーラー発電設備とオプションの蓄電池を有していれば、外部からの電力供給が停止してもそれまでと変わらぬ電力消費生活ができるはずです。
今までのソーラー発電設備にあともう少しの投資(蓄電池分)が必要ですが、災害に対する備えも兼ねた電力の地産地消という方向に発想を切り替えてみるのもいかがでしょうか。(但し、蓄電池はできるだけ水没をまぬがれる場所に設置して下さい。)