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 シリーズコラム 「よろずIT・ネットワーク情報」 
【第35回】 地方や開発途上国にこそ必要な「コワーキングスペース」
 
 「コワーキング」や「コワーキングスペース」という言葉を聞いたことがありますか?

 おそらくもう御存知の方とまだ聞いたこともない方がはっきり分かれるのではないかと思います。 今回はIT関連とは直接には関係はありませんが、フリーのIT関連技術者やWebデザインのデザイナー等が多くお世話になっているこの「コワーキングスペース」についての情報です。
 
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【1】「コワーキング」とは?

 Wikipedia'コワーキング'の概要によると、

 「コワーキング」が行われる環境(「コワーキングスペース」と呼ばれることもある)はシェアオフィスやレンタルオフィスとは異なり、実務を行う場所が個室ではなく図書館のようなオープンスペースとなっている。また、すべてのスペースを共有したり、イベントを行ったりといった試みを通して参加者同士のコミュニティ育成を重要視する傾向が強いことも大きな違いのひとつである。

とあります。

 一昔はやった自治体によるインキュベータや単なるレンタルオフィスと違い、図書館のようなオープンスペース空間を共有して実務を行い、参加者同士のコミュニケーションも図れるという数年前から現れた新しいコミュニティ型の働く場所(ワーキングスペース)だそうで、高額な事務所の賃料を払えないフリーランスや他業種との交流を仕事に活かしたい方にとっては好都合な仕事場となっているそうで、ここ数年で世界中や日本各地に広がっています。
 一度「コワーキング」をキーワードにご自分の住んでいる地域をgoogle mapで検索してみて下さい。

【2】 最近有名になった'WeWorK'も「コワーキングスペース」です。

 某有名企業の大幅な赤字原因を作ったことで一躍有名になった'WeWorK'(ウイ-ワーク:(英: WeWork Companies, Inc.))ですが、この会社はアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市 に本社を置く起業家向けのコワーキングスペースを提供するアメリカの企業で、現在では世界124都市に約800店舗を展開しているそうです。
 2010年代の初めに起業し、世界的な「コワーキング」の需要の拡大の波に乗って急成長しましたが、一時は470億ドル(約5兆円)あった株評価額が今年200億ドル(約2.2兆円)まで下落し、日本ではこのことが'WeWorK'に出資した某有名企業の大赤字の一因とされ、あっというまに有名になってしまいました。
 'WeWorK'は日本では東京、大阪、福岡、神戸で33店舗を展開しています(2019年12月1日現在)。特徴としては、大都市のオフィス街が中心の立地で洗練された共用スペースを提供していますが反面、一人当たりの月額の共有スペース使用コストが50,000〜60,000とかなり高いことがあげられます。
 
 'WeWorK'

【3】 'WeWorK'のような都市型「コワーキングスペース」のメリット、デメリット

 私は'WeWorK'のような都市型の「コワーキングスペース」と地方の田舎に立地する「コワーキングスペース」では、同じ呼び方でありながら、その設立目的や利用者にとっての存在価値は全く異なると思っています。そこでまず都市型の「コワーキングスペース」のメリット、デメリットをまとめてみたいと思います。

〇料金体系
 月額フリー:時間無制限で\9,000〜\60,000

〇経営者
 基本的に民間業者の営利目的がほとんど

〇利用者のメリット
 ・家賃が格安(しかし、地方にくらべればかなり割高)
 ・自宅ではついつい怠けるが、人目があるので緊張感をもって仕事ができる
 ・同業者や他業種とコミュニケーションが図れる
 ・レンタル料を払えばイベント開催もできる
 ・郵便物の受け取りや、事務所登記もできる場合がある
 ・都市部では同業者の競争が激しいので、サービス品質が安定している

〇利用者のデメリット
 ・駐車場は別途(基本的になし)
 ・地域のコミュニケーションまでは図れない

【4】 最近徐々に増えてきた地方型の「コワーキングスペース」のメリット、デメリット

〇料金体系
 月額フリー:時間無制限で\4,000〜\10,000(\4,000から\6,000程度が多い)
 一日のみ :\500 〜 \1,000

〇経営者(運営母体)
 かつては民間業者がほとんどだったが、最近地方自治体が民間に委託する例が増えてきた。

〇利用者のメリット
 ・家賃が超格安(都市型にくらべれば)
 ・自宅での仕事はついつい怠けるが、人目があるので緊張感をもって仕事ができる
 ・同業者や他業種とコミュニケーションが図れる
 ・レンタル料を払えばイベント開催もできる
 ・郵便物の受け取りや、事務所登記もできる場合がある
 ・都会からUターンやIターンや移住を計画する人にとっての仕事場や、コミュニケーションを図る場となる。
 ・都市部の企業がテレワークを行いたい場合の地方インフラ候補となる。
 ・駐車代が込みの場合がある。
 ・地域の人々とのコミュニケーションを図る場となりえる。
 
〇利用者のデメリット
 ・地方では運営母体が民間にしろ、公共事業体にせよ運営ノウハウが未熟な場合があり、サービスおよび運営品質がいいかげんな場合がある。
 ・特に公共事業体自体が運営している場合はサービス品質がよくない場合が多い。
 ・安易に利益目的で参入した民間業者等は収益見込みが立たなくなった場合、突然廃業する場合が考えられる。
 
【5】 ジョージアの首都トビリシでは巨大な「コワーキングスペース」に世界中の若者が集まっていた。

 大相撲の栃ノ心関や臥牙丸関の母国であるジョージア(旧国名:グルジア)に今年の5月に行ってきましたが、その首都のトビリシには「ファブリカトビリシ」という巨大な「コワーキングスペース」や宿泊施設やバーやレストラン(ラーメン屋まである)やその他の施設がいっしょになった場所があり、私は中庭と一階の無料で高速WIFIが使い放題の「コワーキングスペース」を一日中ただで使わせてもらいました。
 もともと旧ソ連時代の巨大な縫製工場を世界中から来る若者達が自由に地元の人たちと交流でき、かつ格安で宿泊でき同時に仕事もできるというコンセプトでリノベーションされたそうで、「こんな便利な場所が日本の地方にもできたらなあ・・・」とつくづく思わされました。また、
「ジョージアは,物価は日本の1/4〜1/5程度の開発途上国なのにやっとることが超最先端いっとる!」とすごく関心したことを記憶しています。
 余談ですが、私も今年旅行してはじめて知ったのですが、ジョージアは日本人にとっては世界でただ1国のみノービザでほぼ1年間滞在でき、2日もあれば会社設立が可能で世界で最も現地法人が作りやすいジョージアとビジネスを行いたい起業家にとっては夢のような国なのです。

 トビリシのオススメ安宿「Fabrika Tbilisi」は巨大ホステル(ライフトラベラーHPより)
 
【6】 地域活性化のインフラとして注目されはじめた「コワーキングスペース」

 前述のジョージアでも「コワーキングスペース」を設置して、海外からの旅行者の仕事をやりやすくすべく支援しているように、日本でも公共事業体等が地域活性化に必要なインフラとして「コワーキングスペース」を設立する動きが少なからず見受けられます。

 以下のリンクの例では茨城県、東京都品川区、大阪府、宮崎県、沖縄県での5つの地方公共団体が開設又は運営者を募集した事例が掲載されています。

 地方公共団体が開設又は運営者を募集したコワーキングスペース(コワーキング ジャパンHPより)
 
【7】 近い将来地方発の企業家育成の中心となるかも?(塩尻市、八幡平市の事例)

 以下の例では、長野県塩尻市や岩手県八幡平市の企業育成支援プロジェクトが紹介されています。運営委託できる民間事業者が地方では確保しづらい点等も紹介されています。

 長野 「地方の新たな起業支援のかたち」 コワーキングスペースの意義
(アイデアスプーンTM HPより)

【8】 日本でもジョージア、トビリシの「Fabrika Tbilisi」に負けないくらいぶっとんでいる高知県の山奥のNPO法人がありました。

 こちらの記事の紹介でも、トビリシ同様にシェアハウスとコワーキングスペースとカフェ等を核とし、何もないことを逆手にとった起業や町起しが紹介されています。

 高知の山奥の限界集落で地域を盛り上げまくっている「NPO法人ひとまき」のいる嶺北地区に行ってきた!!
(家族4人山形暮らしはじめました HPより)
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