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 シリーズコラム 「よろずIT・ネットワーク情報」 
【第40回】(新型コロナウイルス緊急対策(その3))ローコストでも強力なテレワークツール
 
 今回も3回目のテレワーク特集として、コストをできるだけ絞ってかつセキュリティ面もそれなりに考慮し、さらにコロナウイルス災害が去ったのちも引き続き業務効率化ツールとして積極的に使い続けられると思われるものをご紹介します。

 この原稿を執筆している時点では、既に緊急事態宣言は北海道を含む8都道府県のみに限定された状態になり、テレワークという言葉自体も一般化しかなり実務上のテレワーク実績と検証が蓄積されている状況になってきました。

 私の所属する会社でも生まれて初めて使ったWebビデオ会議やビジネスチャットツール、毎日のように自宅で使うことになったWEBブラウザ上で動作するリモートデスクトップツール等、4月10日頃から1か月以上の間約7〜8割近くの社員がこれらのツールを使用しながらテレワークを行ってきました。
 
 私自身はそのテレワークを技術面から支援する立場だったので、ほとんどテレワークの企画、指導、バックアップばかりを行ってきました。必要にせまられ、否応なく実施したこの全社的テレワークでしたが、この一か月ほどの間でさまざまな実績を積み、自分なりにもっとよいツールはないかとかいろいろ苦労してきました。しかし1か月以上経過した今になって振り返ってみると、これらのことがこれからの業務改革への大きなヒントになることに気づきだしたのもまた事実です。
 日本国内だけではなく世界中でこのコロナ災害をきっかけに皆否応なしに働き方の質が大きく変革するのではないかと予感しているのはおそらく私だけではないと思われます。
 
  そんな中で、実際使ってみたりして、ローコストでかつ強力だったツールをあらためておさらいがてら紹介していきたいと思います。
 
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【1】リモートクライアントツール(シンクライアント端末ツール)のおすすめ
 まずテレワークで真っ先に必要になるのが、毎日職場で使っているPC端末を自宅の端末で同じ様に操作可能にする「リモートデスクトップ」と呼ばれるシンクライアントツールです。
  弊社でも3種類ほどの有償および無償の「リモートデスクトップ」を状況によって使っていますが、これまでの実績と社員へのレビューを総括すると、意外にもテレワーク実施のわずか1か月程前に社内テストを終了した

 Chrome リモート デスクトップ

が一番つかいやすいという意見で、使用人数割合も7割近くあり、好評でした。
 気にしていた、個人のgmailアカウントが必須という条件も、実施してみてわかったことは、「個人のgmailアカウントを使用するので、かえってセキュリティが保持される。」ということでした。あと、gmailアカウントが無償で作成できるという点も好都合でした。
 ただ、このChrome リモート デスクトップをインストールする端末は、必ず所属部署の管理職の許可の下で行うというルールは全社員に徹底させることが必須となりますので、この点を忘れないで運用して下さい。
 また、ネットワークポートが [5222] ポートを使用しますので、不正使用端末があった場合は、ワイヤシャーク等のソフトで[5222] ポートを使用している端末でチェックを行えば、不正使用は検知可能です。

【2】ビジネスチャットツール(社内SNS) のお勧め

 「Slack」とか「Chatwork」とか「LINE WORKS」とか既に導入済の事業所の方はご存知と思いますが、まだ導入なされていない方の為に、この「ビジネスチャットツール」又は「社内SNS」について少し説明をさせていただきます。
 ひと昔前では、組織内の複数社員への情報伝達は、社内メールの全社メールやメーリングリストでの部門メール等で行う場合が多かったのですが最近では、例えて言えば「LINE」のようにグループ単位でのチャット形式で一斉に情報伝達を行うほうがよりスピーディかつ細かいグループで伝達でき、かつリアルタイムで業務の進捗状況を把握できるという利点から、コロナウイルス災害以前から企業向けのビジネスチャットシステムと呼ばれる社内SNSシステムを導入する事業所が少なからず増えつつありました。世界的に一番の普及率の「Slack」や日本の個人用「LINE」の普及から企業向けに普及しはじめた「LINE WORKS」といわれるサービスがその代表的な製品でした。
  ところが、コロナウイルス災害が始まりいざテレワークをしてみると、業務の連絡にいちいちメールを送っていたのでは一日数回のメール送信が必要になり、それをチェックするにも時間がかかります。かといってすべてのテレワーク端末にカメラとマイクが備え付けてあるわけでもないのでWEBビデオ会議システムを着けっぱなしにするのも非効率です。
 そんな時に簡単な質問のやり取りや業務の進捗報告、予定のやり取り等をリアルタイムに仕事仲間や部門単位でやり取りできるチャットツールは最も効率のよい全社コミュニケーションツールということで再認識され、利用が急拡大しました。
 弊社でも、「Slack」という有名な社内SNSを利用していますが、無償版では利用者全体のメッセージ投稿数が10000件を超すと、過去の投稿検索ができなくなるという業務上では致命的な欠陥があります。もちろん有償版を使えば解決する話なのですが、年払いでも1人当たり850円/月の利用料がかかり、社員全員ではかなりのコスト負担となります。また、社内も重要な機密情報を外部サーバに保管するということへの抵抗もあります。

 そんなとき、私は「Mattermost」という「Slack」そっくりのオープンソースの企業向けのビジネスチャットシステムがあることを知り、試しに1000円/月の使用料金で借りているVPS(クラウドサーバ)にインストールしてみました。

 Mattermost: Open Source, Self-hosted Slack Alternative

 ごく簡単な設定だけで「Slack」そっくりの、人数無制限、投稿メッセージ数無制限、チャンネル数無制限の社内SNSをつくることが可能でした。

 認証方式を工夫すれば、自社サーバですからデータの秘匿性も「Slack」以上に確保できます。

Mattermost管理者画面


【3】安全かつローコストなWebビデオ会議システム のお勧め

 世の中ではZoomと言うWebビデオ会議システムがさかんに使われているようです。
 しかし、前回の記事でもご紹介した通り、下記のリンクのような指摘もありますので、Zoomの採用に関しましては各ユーザーでメリット・デメリットを判断してご利用をお願いいたします。
 Zoom の脆弱性対策について:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

 弊社としては、安全かつローコストなWebビデオ会議システムとして、「Jitsi Meet」をお勧めします。

 Jitsi Meet

 「ジッツイ ミート」と発音するそうですが、なんとオープンソースソフトで自分でもインストール可能なWebビデオ会議システムです。
 くわしい説明,利用方法は下記のGigazineのHPに詳しく書かれています。

 「Jitsi Meet」レビュー - Gigazine(Gigazine HP より)

 また、弊社でも別の1000円/月の使用料金で借りているVPS(クラウドサーバ)にインストールしてみました。

自社のVPSに構築してみたビデオ会議システムの画像


 ひとつだけこの「Jitsi Meet」を使用する際の注意点があります。
 それは

   「ビデオ会議室の主催者は必ずパスワードを付けた方が安全です。

 ということです。パスワードを付けない運用も可能ですが、会議室名が重複すると、第三者が会議室に入ってくる可能性があるからです。

【4】ローコストでも強力なテレワークツールのまとめ

 どうですか、自宅でのネットワーク費用やPC購入費用、クラウドサーバ使用料はかかりますが、それ以外は全くの無料で

   ・リモートクライアントツール
   ・ビジネスチャットツール(社内SNS)
   ・Webビデオ会議システム

を構築することができました。
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