【1】今まで数年かかっていたIT技術革新がほんの数か月で達成されてしまいました。
もうほとんどの方が実感されているように、ここ数か月で毎日のように耳にした'テレワーク'や'オンライン飲み会'、'リモート授業'等、新型コロナウイルス災害がもしなかったら数年以上かかっていたかもしれないIT分野の技術革新があっという間に、僅か数か月で我々日常のあたりまえに使えるIT技術として多くの人に使われるようになりました。
一番身近な例として挙げられるのは、大学生の授業風景です。今ではほぼ100%近くの大学では講習をWebビデオ会議に切り替えて行っています。
これと似たような現象が学習塾やセミナー、講習会、研修等のいままで有料で受講者を集めて何らかの知的サービスを行なってきた形態の業界に急速に普及し今では、'リモート研修会'、'オンラインセミナー'、'リモート学習塾'等の有料サービスの広告がWEB上をにぎわせるようになってきました。
また、同じくWeb上のIT関連サービス会社の広告でよく見るのが。テレワーク(リモートワーク)導入研修、導入指導関連の主に中小企業を対象にした広告記事です。
大企業ならば内部にIT専門の要員もおり、比較的容易にテレワーク(リモートワーク)に移行できたと思われますが、IT関連以外の中小企業のIT業務に関しては今まで経験したことのない未知の分野をいきなり行政から「やりなさい」と言われても出入りのIT関連や事務器関連業者に相談するのがせいぜいといったところだと思われます。
【2】 | なぜこれほど急速にリモート対応が実現したのだろう? |
なぜこのように短期間でリモート対応技術が急速に普及したのかを追求していくと、その要因の1番目にくるのが当然のことながら、
'リモートをやらないと食っていけない'
という要因です。
多くの大学は小中高とは比較にならない高額の授業料を学生から授業の対価として受け取っています。リモート形態の授業でもやらなければ高額の授業料を受け取る根拠を失ってしまいますから、必要にせまられて行っているのです。この点、小中高の学校では行政指導に従って自宅待機させるだけで遠隔授業を行わずに済むのとは明らかに遠隔授業を行う要因が異なっています。しかしここで明らかになったことは、小中高の学校では遠隔授業を行うノウハウや機材等が決定的に欠如していて、主な先進諸外国に比べて日本がとんでもなく遅れている実態が誰の目にも明らかになってきたことです。
オンライン教育「周回遅れ」の日本 “コロナ休校”で広がる、埋められない空白 (1/5)
(ITmediaビジネスonlineHPより)
同じような要因でリモート学習やリモートセミナーを実施せざるを得なかった業界が学習塾業界やイベントセミナー講習等を開催している業界です。
このような業界ではリモート学習やリモートセミナーが実施できないということは、ただちに収益が無くなるということを意味し、リモートをやる以外に選択肢はありませんでした。
もっと身近なところでは街の飲食店やレストランがあげられます。この業界もリモート対応(つまり出前や弁当やケータリング等での対応)しなければ、収益が無くなってしまう状況に一時陥っていました。
このように、リモート対応するかどうかの推進力は必ずしも行政の働きかけがあったからではなく、'それをやらないと食っていけない'という要因が最も強いからというのが解かっていただけたと思います。
【3】 | 「リモート対応のノウハウを習得・実現できるかどうか?」があらゆる分野に格差を生み出している。 |
・新型コロナ災害なんて「ワクチン」が普及してくれば、元に戻るさ。
・自分達の業界(又は自分のやっている職種)はリモート化できない業界だから関係ない。
・自分は旅館・ホテル業だからとにかくお客さんが自分の宿に来てくれないとはじまらない。
・自分の所属する演劇団体はまだ観客を入れた公演はできない状態で、これがつづけば倒産する。
上記のように、各業界でリモート対応できるかできないかが直ちに収益の確保状況に直結している現状です。
旅館・ホテル業界等ではとにかく旅館やホテルに泊まっていただかなくては収益につながりませんので、ほとんどリモート対応技術で代替できません。ただ、企業等のテレワークオフィス等の利用を新サービスに加えることはやられています。
演劇やコンサートとの公演も観客なしでは考えられませんが、ごく最近、東京でコンサートを再開して、感染がまた全国へ拡散された例もありますので、最新の注意が必要です。演劇やコンサートもライブが必須という概念を改め、プロ野球の無観客ライブ放送のように、インターネットのライブ中継で演劇やコンサートを有料放送するような工夫が必要かもしれません。
【4】 | 新型コロナ災害が去ったあと(ポストコロナ)の世界は今までとは違う世界となる。 |
先ほどリモート学習をいやおうなしにやらざるを得なくなった学習塾の話しをしましたが、新型コロナ災害が去ったあとに果たして現在行っているリモート学習はなくなって、すべて教室で行うようになるでしょうか?
今まで都心の一等地のオフィスビルの事務所まで毎日1時間以上かけて朝晩電車通勤していた頃に、今更戻れるでしょうか?、何よりもテレワークで通勤経費と事務所家賃経費が削減可能であることを実証できた企業の経営陣が後戻りを許さないでしょう。
多くの企業は今まで出張という手段で営業なり業務打ち合わせ行ってきましたが、今ではほとんどがWebビデオ会議システム等に切り替わっています。これがポストコロナの世界でまた以前のような出張主体に戻るとはとうてい考えられません。少なくとも3割以上はオンライン会議等で済まし、経費削減がはかられると思います。当然その結果として、新幹線や航空機の出張経費扱いによる需要の激減は容易に予測できますし、ビジネスホテル等の需要も減少するでしょう。
このように、リモート対応の可否とその影響がポストコロナ世界の各業種の需要予測をする上でのキーポイントとなります。
またそのことを考慮せずに、新型コロナ災害が去ったら需要がもとどおりに回復するだろうと希望的観測を持つことは比較的多くの人が陥りやすい安易で危険な考え方と言えるでしょう。
【5】 | ポストコロナの世界を絶好の働き方イノベーションの好機と捉える思考(ニューノーマル思考?)が必要 |
自分に特技があり、いままでその能力を使って講習会を主催したいと思いながら、講習会場を借りる経費や駐車場、会員集め等を考えると煩わしくなってそれを躊躇ってきた人や、今まで自営業のWeb関連開発をやってこられた人等で、今回の新型コロナ災害をきっかけにして、自営のオンライン講習講座を主催したり、オンラインでの業務受託を収益主体に切り替える方が数多く出てきました。
また、これらのような受託契約の講師スタッフと受講者を仲介する業者も活発に活動を広げています。
これは、今までのように会社や職場がなくても自分に実力さえあれば個人個人がオンライン上で働き場所に左右されす働いて行くことがでる世界が出現してきたことを意味しています。
これはひょっとすると、産業革命以来の都市への人口集中傾向や、企業主体の職場重視傾向をひっくり返すような流れ(ニューノーマル?)が、新型コロナ災害をきっかけにして始まったのかもしれません。
新型コロナがもたらした、ニューノーマルにおけるビジネスモデルと働き方を考える
(Morebiz+ HPより)