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 シリーズコラム 「よろずIT・ネットワーク情報」 
【第49回】チャイナ製50万円EVがもたらした衝撃
 
 先月の末、4月30日にNHKが報じた「50万円でクルマが買える?中国EV市場」というビジネス特集記事の内容は、NHKが報じたということもあってかなり衝撃的で、「日本の自動車産業は5年,10年,15年後は大丈夫だろうか?」と大真面目で心配になってしまいました。
  その現地取材記事とその他の記事の内容を、今回ページにまとめました。

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【1】2021年4月30日にNHKビジネス特集「50万円でクルマが買える?中国EV市場」
去年7月に中国で発売した格安の小型EV「宏光MINI EV」。最も安いグレードだと約48万円。
生産拠点は中国南部、広西チワン族自治区柳州。人口は400万人の田舎町の「通用五菱」という中国の民間企業。
街のあちこちに話題の格安EVがとまっている。
販売台数は1年足らずで27万台を超えた。
去年世界最大のEVメーカ、テスラを追い抜き中国でEV販売の首位となった。
50万で買える48万円のグレードは冷房なし、冷房付エアバック付きは60万円。
大きさは日本の軽自動車程度(全幅はほぼ同じ、全長は40cm短く約3m、4人乗り)。
最高速度は約100Km。
1回の充電で走れる航続距離も実質100km程度
安価で安定しているリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使用している。
急速充電はできないが、中国で普及が進むバッテリー交換所を利用する。
中国EVは充電ステーションより、バッテリー交換所方式が主流。
中国政府から国策としてEVメーカー、消費者に莫大な補助金が流れている。


 (関連記事リンク)

(宏光MINI EV:上汽通用五菱汽車HPより)

 「50万円でクルマが買える? 中国EV市場で今、起きていること」(NHK HPより)

 「中国で一番売れている小型電気自動車…約48万円の「宏光MINI EV」を見てみよう」(BUSINESS INSIDER HPより)

【2】佐川急便が共同開発中の軽EV宅配車の製造を中国の柳州市にある五菱汽車の工場で2021年9月中には量産を始める予定。

 前述の中国EVトップメーカーに躍り出た「通用五菱」という中国の民間企業ですが、同じ柳州の「柳州五菱汽車」という名前は似ていますが別の会社に佐川急便がASFというベンチャー企業と共同開発をしている次期軽EV宅配車の生産を今年9月から委託するそうです。その次期軽EV宅配車のスペック(仕様)は、

 全長/3395mm
 全幅/1475mm
 全高/1950mm
 定員/2人
 航続距離/200km以上
 バッテリー (メーカー、素材、搭載容量は未定)

だそうで、現在使用している7200台の軽自動車をEVに置き換えていく計画だそうです。 
 航続距離が200Km程度で足りるのか?と思ったのですが、現在の配送の1日平均の距離が85Km程度だそうで、十分足りるそうです。


 ・佐川急便新EVは日本発の「ファブレス方式」

 佐川急便のこの次期軽EV宅配車が中国の工場へ生産委託されることが発表されると、

「佐川が次期軽EV宅配車に中国車を採用した。」的な報道が多くなされましたが、あくまで設計および開発は佐川急便と前述のASFというEV開発専門の会社が行い、生産のみを中国の柳州五菱汽車」という会社が行うので、「中国製」であっても「中国車」ではなく「日本車」だそうです。このような工場を持たずに設計や開発のみを行うASFのようなメーカーを「ファブレスメーカー」と言うそうです。
 私個人としては、せっかく苦労して設計、開発したノウハウが中国に新幹線のときのようにパクられてしまうのではないか?かなり心配です。

(佐川急便が開発中の軽EV宅配車プロトタイプ:EVsmartブログHPより)

 「ASF株式会社のHP」(ASH株式会社のHPより)

 佐川急便が開発中の軽EV宅配車をお披露目〜計画通り実現すれば日本は変わる!(EVsmartブログより)

【3】日本車は大丈夫なの?

  いままで世界に圧倒的品質と価格で君臨してきた日本の自動車産業が前述の様な僅か数十年足らずの歴史しか持たないポット出のEVメーカーの後塵を拝するとは、私自身も今まで全く考えられませんでした。
 
 格安の小型EV「宏光MINI EV」が昨年に中国市場EVでテスラを抑えて首位の販売を獲得したことも、「どうせそのうち低品質のボロが出て売れなくなるよ!」と楽観的に考えてきた私やおそらく他の日本の多くの方も、さすがに佐川急便が日本のメーカーをスルーして中国のメーカーに生産委託するという現実を突きつけられ、
   
「このままではヤバイ・・」

と感じてしまうのではないでしょうか?

 既存の自動車業界は現在、ルネサスエレクトロニクスの那珂工場、オランダNXPセミコンダクターズの米国工場、独インフィニオンなど車載半導体工場など自動車用パワー半導体工場がなぜかあいついで操業停止となり、自動車生産が日本メーカーだけでも日系自動車メーカーの減産規模は165万台に上るとの試算が示されています。

 中国メーカーはそのスキを確実についてきて、格安EV車を国家主導で世界に売り込みにくるでしょう。

 日本の自動車産業に従事する約550万人の皆様、ポット出の中国メーカーなんかに負けないよう頑張ってください。

 「中国でテスラ超えの大ヒット! 激安EV「宏光ミニ」をなぜ日本メーカーは作れないのか!?」(ベストカーWeb HPより) 

 
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