前回は中国製の50万円で買えるEV(電気自動車)と佐川急便が次の配送用EVを日本で開発し中国メーカーに製造委託する話をして、「このままで日本の自動車産業は大丈夫なの?」という危機意識を高めたお話でしたが、今回は場所を中国からインド方面に移して今回もEV関連のお話をさせて頂きます。
【1】 | 「トゥクトゥク」とか「オートリキシャ」とか呼ばれている、インド圏やタイでタクシーとして多く利用されている乗り物をご存じですか? |
一昨年の8月にスリランカに地すべり地域の調査に入ったとき、標高800m程の山の500m程まで4WDの車で行き、残りは徒歩で上りました。
その時にビックリしたのが4WDの車を降りてからあまり路面状態のよくない道をてくてく徒歩で登ったその先にある民家の隣に、ちゃんとその3輪自動車「オートリキシャ」が止められていたことでした。
「よくこの4WDでもかなりキツくて登れそうもないワダチだらけの道をこんなタイヤが3個しかない3輪車で登って来れたな・・・。」とその思いがけない実力に妙に感動して、「日本でも輸入販売してくれるところはないのかな?」としばらくの間、真剣に購入の事を考えていた記憶があります。
(スリランカの山中で出会ったオートリキシャ)
【2】 | この超便利な3輪車、インド圏では「オートリキシャ」、タイでは「トゥクトゥク」と呼び名は違いますが、そのルーツはなんと日本のダイハツ「ミゼット」だそうです。 |
ダイハツ「ミゼット」と聞いて、すぐにあの愛らしい3輪軽トラックを思い浮かべる方は恐らく私と似たような歳かそれ以上の年齢の方で、殆どの方は「なにそれ?」もしくは「聞いたことがあるけどイメージが浮かばない。」とおっしゃるのではないでしょうか。
販売期間は日本国内では1957年8月-1972年1月と超ロングランの大ヒット車種で、東南アジアやインド圏にもタクシー用途で多く輸出されたそうです。
社内で一緒に働いているインドの方に教えていただいたのですが、もともとインドでは人力自転車タイプの「サイクルリキシャ]というのがあったそうで、そこにダイハツ「ミゼット」が輸入され、「オートリキシャ」に変わったそうです。
その話を聞いた時、
「あのスリランカの山中で出会ったオートリキシャのルーツはダイハツ『ミゼット』だったのか・・・。」と妙に感慨深く感じました。
【世界の乗り物】タイだけじゃなかった!世界で活躍するトゥクトゥク(withnews HPより)
【3】 | そんな大活躍するインドの「オートリキシャ」にもEV化の波が押し寄せてきています。 |
インドのモディ政権はガソリン車が増えると必然的に現在輸入高一位の年間14兆円の原油・石油の輸入量が増えることに危機感を感じており、また都市部での大気汚染を抑止する為にも昨年(2020年)からEV推進に本腰を入れ始めました。
なかでも2輪車(バイク),3新車(タクシー用途)のEV化を強力に推進しており、なんと驚いたことに2024年までに3輪車をすべてEV化するとまで宣言をしております。
急速にEV(電気自動車)化が進むインド〜モディ政権のEV推進で3輪、2輪が先行(前)(NET IB News HP より)
【4】 | 3輪ガソリン車「オートリキシャ」を借りるより、3輪EV車の「EVリキシャ」を政府が保証する無担保ローンで購入した方が収入が向上することが、「EVリキシャ」普及のキーポイントらしい。 |
現在インドで3輪EV車のシェアNo.1のテラモーターズ(株)のHPによると、
「インドでは、3輪ガソリン車の価格は30万円弱と高価であるため個人で買うのは難しいケースが多く、所有者であるオーナーに賃貸料を払って借りると手元に利益が残らない。上田氏は『オートリキシャ(3輪ガソリン車)』を借りるよりもマイクロファイナンスでローン組んでEリキシャ(3輪EV)を購入した方が、収入が向上することが3輪EVの購入の主な理由。加えて、政府も政府が保証する無担保ローン対象品に3輪EVを挙げていることも普及の後押しになっている」
そうです。(テラモーターズ株式会社 HPより)
つまり、3輪ガソリン車(オートリキシャ)の時代はオートリキシャを賃貸で借りながら運転手をして日銭を稼ぎ、その利益からリキシャの借り賃を払っている方が多かったのですが、3輪EV(Eリキシャ)の登場で政府や地方政府の援助もあり、自前でローンを組んで(Eリキシャ)を所有して運転手で稼ぐ日本の個人タクシーの様な方が多くなりつつあるそうです。(社内で一緒に働いているインドの方にも確認しました。)
また、インドでは、4輪車のシェアNo.1(約50%)の「マルチスズキ」も既にインド政府からの要請でモーターを内製化しており、日本への輸出も予定しているそうです。
ということで、3輪及び2輪分野でのEV化も「テラモーターズ株式会社」様がシェアNo.1と頑張っておられる事を知り、なんとも頼もしいベンチャー企業があるものだなとうれしくなって今回ご紹介させて頂きました。
3輪EV(T4):テラモーターズ(テラモーターズ HP より)
(仕様)
・乗車定員:1ドライバー+乗客3人
・バッテリー:リチウムイオン電池
・モーター出力:5000W
・航続距離:100KM/1回充電
・最高速度:45KM/h
・満充電所要時間:2〜3時間
3輪EV(R6):テラモーターズ(テラモーターズ HP より)
(仕様)
・乗車定員:1ドライバー+乗客6人
・バッテリー:鉛蓄電池
・モーター出力:3000W
・航続距離:120KM/1回充電
・最高速度:30KM/h
・満充電所要時間:8〜10時間
3輪EV(Y4A):テラモーターズ(テラモーターズ HP より)
(仕様)
・乗車定員:1ドライバー+乗客4人
・バッテリー:鉛蓄電池
・モーター出力:2000W
・航続距離:120KM/1回充電
・最高速度:25KM/h
・満充電所要時間:8〜10時間
3輪EV(cargo):テラモーターズ(テラモーターズ HP より)
(仕様)
・最大積載重量:500KG
・バッテリー:鉛蓄電池
・モーター出力:2000W
・航続距離:80KM/1回充電
・最高速度:25KM/h
・満充電所要時間:8〜10時間
TERRA MOTERS EV3輪(テラモーターズ株式会社 HPより)
日本でも3人乗りの「多目的電気トライク」というEV3輪が発売されていたので、参考までにリンクを張っておきます。
製造元は中国で、税込み566,500円からで1回の充電で45Km走れ一回の充電電気代が84円だそうです。
補助金含めて200万以上もする高価なEVよりも、こんな身近な3輪EVやEV2輪バイクのほうが、中国やインドから先に普及して行くような気がしてきました。
日本政府や大手自動車メーカの方もこのような地道なEVメーカーの動きをもっと注目されたほうがいいと私は感じました。
電気自動車_伊達な奴_3人乗りで商用にも最適!(Youtube:モービルジャパン株式会社yより)
3人乗り 多目的電気トライク 伊達な奴/ 566,500円(税込)から(モービルジャパン(株)のHPより)