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 シリーズコラム 歴史的大規模土砂災害地点を歩く
 コラム72 五畿七道地震(887)による北八ヶ岳の大規模崩壊と千曲川に形成された天然ダム、その後の稲子岳周辺の変位
1. はじめに
 いさぼうネットで、「コラム3 八ヶ岳大月川岩屑なだれによる天然ダムの形成(887)と303日後の決壊」と題して、2015年5月28日に公表してから6年が経過しました。このコラムに対しては多くの方から色々な指摘を受けました。コラム 3 のアクセス数は1万6599件(2021 年 6 月現在)と、いさぼうネットの全コラムの中でも、最も多くなっています。コラム3の公開以降新しい知見がかなり増えましたので、その後の経緯を含めて、コラム72と73で説明したいと思います。
 NHKの番組「日本人のおなまえっ!」の担当ディレクターから2020年11月に「八ヶ岳東麓を流れる千曲川流域には、小海・海尻・海ノ口・新津・新海など、海のない長野県にしては「海」に関連した地名や名前があるのはなぜでしょうか。長野県の小海町や南牧村では、海に匹敵するほどの恩恵を湖から授かっていたのでは。このような内容で番組を編集したいので教えてほしい。」と連絡がありました。ディレクターには砂防Fに来社して頂き、コラム3の内容について説明しました。その後、千曲川の現地で取材・撮影をしたいので、同行して説明して欲しいと言われました。2020年12月にNHKのスタッフと現地に行き、色々な地点で説明し、撮影して頂きました。
 2021年2月25日(木)19:57〜20:42にNHK総合テレビで「日本人のおなまえっ!」(前半の15分)が放映されました。ご覧になった方もおられると思いますが、放送終了後いさぼうネットでもコラム3のアクセス数が急増し、2月25日〜28日に1666件,3月686件に達しました(コラム 3 の2015〜2021年の平均アクセス数は221件/月)。

2.北八ヶ岳の大規模崩壊と大月川岩屑なだれによる天然ダムの形成
 元信州大学教育学部教授の河内晋平(1935-2001)は40年近い八ヶ岳の調査の中で、八ヶ岳の大規模崩壊と大月川岩屑なだれについて、長年調査・研究を行ってきました(河内,1983a,b,1985,1990,1994,1995)。河内先生は2001年に66歳で亡くなりましたが、膨大な調査・研究資料は茅野市八ヶ岳総合博物館に収蔵されています。博物館では平成16年度収蔵資料展「登った 調べた 40余年―河内晋平と八ヶ岳火山列―」が開催され、『登った 調べた 40余年』,平成16年度収蔵資料展(2007,28p.)という図録も発行されています。井上と山田は平成30年(2018)に八ヶ岳総合博物館を訪れ、膨大な研究・調査資料を閲覧するとともに、保存されていた年輪年代試料の一部を借用し、年輪年代測定を行いました(山田ほか,2019,山田ほか,2021a)。
 図1は、河内(1974)の『蓼科山地域の地質』,地域地質研究報告(5万分の1図幅)から地質図と稲子岳を通る断面図を示しました。
図1 北八ヶ岳周辺の地質図と稲子岳を通る断面図(河内,1974)
図1 北八ヶ岳周辺の地質図と稲子岳を通る断面図(河内,1974)
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 北八ヶ岳周辺は天狗岳を中心とする成層火山と麦草峠周辺の溶岩ドーム群からなります。図3に示したように、天狗岳から東側は大きく崩壊して、カルデラ状の地形を示します。その中でも稲子岳は特異な地形を示しており、中山付近にあった厚い溶岩層がすべり落ちて、45度程度回転して現在も存在します(図1の断面図参照)。
 図2は、北八ヶ岳周辺の赤色立体図で、北八ヶ岳の大規模崩壊と大月川岩屑なだれの範囲と千曲川を閉塞して形成された天然ダムの湛水範囲などを示しています。紫の点線は2010年7月30日〜31日に実施した「平安時代の八ヶ岳の山体崩壊による天然ダム研究会」の現地調査ルートです(井上ほか,2011b)。
図2 千曲川上流の大月川岩屑なだれと天然ダムの湛水範囲(井上ほか,2011b)(赤色立体図は国土地理院10mDEMを用いてアジア航測鰍ェ作成した)
図2 千曲川上流の大月川岩屑なだれと天然ダムの湛水範囲(井上ほか,2011b)
(赤色立体図は国土地理院10mDEMを用いてアジア航測鰍ェ作成した)

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 平安時代の仁和三年(887)七月三十日(ユリウス暦887年8月22日)の五畿七道地震(南海−東海地震)で北八ヶ岳の火山体が強く揺すられ、大規模な山体崩壊が発生しました。千曲川沿いの佐久平から善光寺平付近までの平安時代前半の遺跡では、条里制水田などを覆うほぼ同じ年代(陶磁器などで認定)の洪水砂が多くの遺跡で発掘され、「仁和の洪水砂」(川崎,2010)と呼ばれています。井上ほか(2010a)は、この大規模な土砂移動と天然ダムの形成・決壊状況を調査し、「古千曲湖T」(南牧村史編纂委員会(1986)では南牧湖)と「古相木湖」(同小海湖)と命名しました。
 この災害を記した史料『扶桑略記』を要約すると、仁和三年(887)の記載は地震による被害の記録であるのに対し、仁和四年(888)の記載は洪水災害が中心です。つまり、887年8月22日には五畿七道諸国の激甚な地震(海溝型巨大地震)の被害に加え、「信乃国大山」(浅間山の可能性も考えられるが、北八ヶ岳と想定される)で巨大な崩壊が発生して大河を閉塞し、巨大な天然ダム(古千曲湖Ⅰ,湛水高130m(標高1130m),湛水量5.8億m3)が形成されました(図2参照)。その後、303日後の888年6月20日に、古千曲湖Ⅰは満水となって決壊して大洪水を引き起こし、「信濃国の六郡(佐久・小県(ちいさがた)埴科(はにしな)更科(さらしな)水内(みのち)・高井郡)の城や住居を押し流し、牛馬男女流死するもの多く、死骸は丘をなした」と記載されています。
図3 大月川流域の地形分類図(町田・田村,2010;井上ほか,2011)
図3 大月川流域の地形分類図(町田・田村,2010;井上ほか,2011b)

  図3は、大月川流域の地形分類図(町田・田村,2010;井上ほか,2011b)で、北八ヶ岳の大規模山体崩壊から大月川を流れ下って千曲川を河道閉塞した岩屑なだれ地区の地形状況を示しています。天然ダム決壊による洪水流は多くの土砂を含んでいたため、小海付近で相木川を堰き止め、古相木湖(湛水高30m、湛水量660万m3)が形成されました。古千曲湖Ⅰは決壊後も古千曲湖Ⅱ(湛水高50m、湛水量4100万m3)として100年以上も残りました。古千曲湖Ⅱが残ったことによって、海尻・海ノ口・広瀬・湊神社などの地名が残りました。以上のことが判明したため、平成22年度砂防学会(長野市)で発表しました(井上ほか,2010b)。信濃毎日新聞から取材を受け、平成22年5月12日の朝刊に「千曲川上流平安期の天然ダム 国内史上最大規模(砂防学会で発表へ,水量黒部ダムの2.9倍)」として掲載されました。長野朝日放送でも5月27日のニュースの中で、「小海町の段丘面上に今も残る移動岩塊と天然ダムの形成と決壊(5分42秒間)」が放映されました。2010年7月30日〜31日に「平安時代の八ヶ岳の山体崩壊による天然ダム研究会」(代表・井上公夫)では、10数名で現地見学会を行いました。30日(金)19時〜22時に佐久市で研究会を行い、以下の発表が行われ、夜遅くまで議論が続きました。
 19:00〜19:20 大石 雅之(首都大学東京 都市環境学部地理環境コース)
  八ヶ岳火山の形成史と大月川上流部のカルデラ
 19:20〜19:50 井上 公夫(財団法人砂防フロンティア整備推進機構)
  長野県中・北部の天然ダム,特に八ヶ岳大月川岩屑なだれ
 19:50〜19:55 長野朝日放送の5月28日(金)夕方のニュースのビデオ(5分42秒間)
 19:55〜20:15 柳沢全三(佐久史学会会長)
  仁和の大洪水とその後の史料・絵図について
 20:20〜20:40 町田 尚久(立正大学大学院 地球環境科学研究科)
  大月川岩屑なだれによって形成された天然ダムと決壊洪水
 20:40〜21:00 井口 隆(独立行政法人防災科学研究所)
  セスナからみた中部山岳地帯の大規模土砂移動
 21:00〜21:20 飯島 慈裕(独立行政法人海洋研究開発機構)
  稲子岳の凹地内の暖候期の冷気形成(稲子岳の安定度)
 21:20〜21:30 吉田 英嗣(関東学院大学)
  土砂供給源としてみた日本の第四紀火山における巨大山体崩壊」
 21:20〜21:30 澤田結基(産総研地質標本館)
  北八ヶ岳の地形に関するいくつかの話題
 21:30〜22:00 自由討論(7月31日の現地見学行程の打合せを含む)
写真1 天狗岳北斜面からみた稲子岳の巨大な移動岩体(飯島滋裕,1999年6月撮影)
写真1 天狗岳北斜面からみた稲子岳の巨大な移動岩体(飯島滋裕,1999年6月撮影)

 現在も、北八ヶ岳周辺の風景のなかに、山体崩壊の痕跡を確認できます。図3は町田・田村(2010)が作成した大月川流域の地形分類図です。写真1は天狗岳からみた稲子岳の移動岩体(飯島滋裕,1999年撮影)、写真2は稲子岳周辺の立体視写真(地理院 1976 年 11 月 2 日撮影)、写真3は千曲川の河道閉塞地点周辺の立体視写真(同上)です。天狗岳(標高2646m)の東側が大きく山体崩壊して凹地となったカルデラ地形を示しています。カルデラ内の少し北側に稲子岳(標高2380m)があり、大きくスランピング(回転)したものの、まだカルデラ頭部に巨大な移動岩体(厚い溶岩体)が不安定な状態で残っています。
 河内(1983a)は、ニュウから硫黄岳までの間のすべてを山体崩壊の範囲とし、馬蹄形カルデラの大きさを南北2.25km、東西3.5km、最大比高350mで、887年の崩壊土砂量を3.5億m3と推定しました。カルデラ全体の侵食量は10億m3程度と考えられます。現地調査や写真判読の結果によれば、南側を流れる湯川には887年の岩屑なだれ堆積物は存在しません。このため、887年のような山体崩壊が過去に何回か発生して、巨大な馬蹄形カルデラが形成されたものと考えられます。写真2を立体視すると、稲子岳を形成する岩体は、現在もかなり不安定な移動岩体として残っていることがわかります。
写真2 稲子岳周辺の立体視写真 CCB-76-10, C6-10,11,12 地理院1976年11月2日撮影,元縮尺S=1/15,000
写真2 稲子岳周辺の立体視写真 CCB-76-10, C6-10,11,12
地理院1976年11月2日撮影,元縮尺S=1/15,000
写真2 稲子岳周辺の立体視写真 CCB-76-10, C6-10,11,12 地理院1976年11月2日撮影,元縮尺S=1/15,000
写真3 河道閉塞地点の立体視写真 CCB-76-10, C6-16,17,18
地理院1976年11月2日撮影,元縮尺S=1/15,000

3.干渉SARによる深層崩壊の予兆監視手法の検討(稲子岳を例として)
 新潟大学災害・復興科学研究所の水野正樹氏(現国土技術政策総合研究所)は、2011〜16年にかけて、「深層崩壊前微動土塊の干渉SAR広域探査調査・崩壊危険度評価手法の確立に向けた検討」(水野ほか,2016b)などを行ってきました。深層崩壊発生個所の予測に関しては、深層崩壊渓流レベル評価調査等により、深層崩壊の危険度の高いエリアの把握が実施されています(土木研究所土砂災害研究グループ火山・土石流チーム,2008)。しかし、深層崩壊発生前に、崩壊する「個別斜面」を探索して特定し、被災するエリアを予測することは、従来できませんでした。また、地震時等の大規模深層崩壊は、激甚な人的被害が予想されるにもかかわらず、これまで発生個所の予知・予測が困難で、調査・対策の研究は進んでいません。今後、深層崩壊の発生する個別斜面の位置を予知し、発災状況を予測できれば、事前の被災防止対策、減災対策の計画が可能となり、地震等の大規模深層崩壊による犠牲者を大幅に減少させる効果が期待できます。
 水野ほか(2016b,2018)は、Lバンド差分干渉SAR、UAV調査、GNSS測量、航空レーザー測量の手法を組み合わせて、「広い範囲から微小変位している個別斜面の位置と規模を探索抽出し、保全対象が重要な箇所について、変位有無と地形状況を確認すると共に、その斜面の地震時の動的安定性と変位土塊の挙動を解析評価し、深層崩壊による被災の規模と危険性を発災前に予知予測する手法」を確立することを目指して、一連の事例研究を行い、その効果と課題を検証しました。
 長野県周辺地域を対象に、微小な地すべり変位を抽出するALOS PALSARのL差分干渉SARを実施した際に、過去の南海トラフ地震時に大規模崩壊(約3.5億ⅿ3)した災害履歴の指摘がある長野県南佐久郡小海町稲子岳付近を「地すべり変位候補箇所」として、事例研究が実施されました。
 人工衛星の「差分干渉SAR(Differential SAR Interferometry、以下DInSARという)」は、2時期において衛星から電波を照射して得られた反射波の位相の違いから地表面のわずかな変位の領域を抽出することができます(国土地理院,2008)。なお、DInSARは、東西方向に比べ、南北方向の地表変位に対する計測感度が低く、見逃しやすいことに留意が必要です(水野ほか,2014)。
 水野ほか(2014)は長野県周辺地域を対象として、LバンドDInSARを実施しました。使用したデータは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のALOS PALSAR 画像の長野県周辺域エリアでした(撮影時期2007/01/15〜2011/01/26)。DInSAR画像は、植生、水蒸気、電離層等の影響により多くのノイズの縞が出現します。この縞は変位方向と斜面向きとの整合性の確認や、地形情報から地表面変位が起きうる地形かどうかを判断して排除しました。また、複数のALOS DInSAR 画像で同様の場所に変動縞が見られるかを確認することで、ノイズによる誤判断箇所を極力排除して、「地すべり変位候補箇所」を抽出しました。その結果、図4と表1に示すように、長野県周辺地域で40箇所の「地すべり変位候補箇所」を抽出しました(水野ほか,2016b)。
図4 LバンドDInSARの解析範囲と<br>抽出した「地すべり変位候補箇所」
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 40箇所の「地すべり変位候補箇所」について、次の基準で地すべり変位有無を確認して抽出箇所の正否判定を行いました。
「◎定性的正解」:現地調査により変位を確認した箇所、又は、各種調査資料に変位が確認できる記載がある箇所
「△正解の可能性あり」:防災科学技術研究所地すべり地形分布図データベース(2007):地すべり地形分布図で地すべり地形と判定されている箇所、又は、微地形判読結果資料で深層崩壊に起因する微地形と判読されている箇所
「×不正解」:現地調査等から判断
「対象外」:採石場等の土砂災害の対象除外現象の箇所
  ALOS DInSAR 画像で抽出した40箇所の「地すべり変位候補箇所」における地すべり変位有無の確認状況と確認結果を表1に示します。まとめると次のようになります。
「◎定性的正解」が5箇所
「△正解の可能性あり」が11箇所
「×不正解」が4箇所
「対象外」が5箇所
正解かどうか未調査箇所15箇所
 今回の調査対象地区のうち変位が確実となったNo.24稲子岳付近は、次項で説明するGNSS測量を行いました。
 
4.地すべり変位候補箇所 稲子岳のGNSS測量
 図5は、ALOS DInSAR 画像で抽出した40箇所の内の一つ、長野県小海町の稲子岳の「地すべり変位候補箇所」です。ここでは、観測日が異なるDInSARの4画像において山体斜面の同じような場所で変動縞が現れました。この箇所はすでに小荒井ほか(2014)によって、全国を対象にDInSARで抽出された地すべり変位候補箇所に含まれています。
 この稲子岳(国有林内)は、
衛星光学画像や写真2に示した立体視写真(地理院1976年11月2日撮影)で大規模な崩壊地形が確認できる。
河内(1994,95)、井上ほか(2009)で、仁和三年七月三十日(887.8.22)の五畿七道地震(南海−東海地震)で発生した大月川岩屑なだれの発生源付近に存在する。
大月川岩屑なだれの堆積域には約2000人が居住している。
 これらの理由から、稲子岳の巨大な移動岩体は地すべり変位している可能性があり、もし巨大な地すべり(山体崩壊)が発生した場合には、甚大な被害が出る可能性があると判断されました。このため、稲子岳周辺において、「地すべり変位」の有無の確認が重要と考えて、GNSS移動杭計測(以下、GNSS測量)を実施しました。なお、現地調査では、地すべり変位の有無を確認できなかったようです。
 図6は、ALOS DInSAR 変動縞画像と各GNSS計測点(水野ほか,2016)で、GNSS計測点は、登山道からのアクセスも考慮してP1〜P6の地点としました。
図5 稲子岳のALOS DInSAR 画像(水野ほか,2016)
図5 稲子岳のALOS DInSAR 画像(水野ほか,2016)
図6 ALOS DInSAR 変動縞画像と各GNSS計測点(水野ほか,2016)(P-4:不動点として、確認対象エリアの外に設置)
図6 ALOS DInSAR 変動縞画像と各GNSS計測点(水野ほか,2016)
(P-4:不動点として、確認対象エリアの外に設置)

P-1 :DInSAR画像から抽出した変位量が大きいエリア。変位がある場合には変位量を検知できる可能性が大きい。
P-2 :変位ブロックの範囲を確認する目的で設置。変位しないエリア内で境界に近い箇所と予想。
P-3 :規模の大きな稲子岳山体の変位の有無を確認する目的で設置。
P-4 :不動点として、確認対象エリアの外に設置。
P-5 :変位している土塊の範囲を明らかにするため、変位速度が速いP-1土塊に隣接し、端部に崩壊地がある土塊に3回目から追加設置。
P-6 :稲子岳山体の変位の有無を確認する目的で3回目から追加設置。

GNSS測量は、電子基準点を既知点とした1級基準点測量相当の結合多角網を形成し、
 1回目:2013/10/23
 2回目:2014/10/29
 3回目:2015/8/4
 4回目:2016/8/23
 5回目:2016/10/27
の各時期において、水平位置並びに標高を算出しました。観測時間は、各測点で30秒間隔の連続3時間としました。
 図7は、衛星干渉SARとGNSSと航空レーザー測量による地すべり変位分布の抽出結果を示しています。ALOS-2 DInSARの観測期間は:2014/10/28〜2016/11/08で、GNSS測量の計測点の変位方向と変位量(水野ほか,2018)を示します。観測期間:2014/10/28〜2016/8/23のGNSS測量の計測点の変位方向と変位量(水野ほか,2016)を示します。P-1〜P-3,P-5,P-6の5測点の位置と、P-1〜P-3は水平方向1回目と4回目の間、P-5・P-6は3回目と5回目の間の変位量と変位方向を示しています。
 GNSS測量では一般的に水平方向よりも鉛直方向の精度が悪いことから、有意な地表面変位かどうかの判定は、水平変位のみを用いました。1回目と2回目の371日間の比較では、P-1地点で117mm(推定最大誤差33mm)の有意な変位が認められました。2回目と3回目の279日間の比較では、P-1地点で36mm(推定最大誤差29mm)の有意な変位が認められました。3回目と4回目の385日間の比較では、P-1地点で65mm(推定最大誤差26mm)、P-3地点で28mm(推定最大誤差21mm)の有意な変位が認められました。1回目と4回目の1,035日間の比較では、P-1地点で218mm(推定最大誤差30mm,年平均76.8mm)、P-3地点で62mm(推定最大誤差27mm,同21.8mm)の有意な変位が認められました。3回目と5回目の450日間の比較では、P-6地点で28mm(推定最大誤差22mm,同22.7mm)の有意な変位が認められました。これらの結果をまとめると、表2のようになります。
 図7は、「だいち2号(ALOS-2)」で広域観測したDInSAR画像で、沈下領域と、「東方へ変位」、「押し出し」領域と推定できる変位分布が抽出できました。
図7 衛星干渉SARとGNSSと航空レーザ測量による地すべり変位分布の抽出(水野ほか,2018)
図7 衛星干渉SARとGNSSと航空レーザ測量による地すべり変位分布の抽出(水野ほか,2018)

5.航空レーザ−計測成果による微地形の確認
 GNSS測量による地すべり変位有無の確認の有効性を検証するため、国土交通省松本砂防事務所が計測した航空レーザー計測成果(国土交通省 北陸地方整備局 松本砂防事務所,2014)を入手し、ALOS-2 DInSAR・航空レーザ測量・GNSS測量による稲子岳の調査結果(図8)を作成しました(水野ほか,2018)。ここで、ALOS-2 DInSAR画像の変動幅は、図8の赤点線領域の変位量が大きいことが判りました。この変位領域に留意することで、図8のP-1付近に黒点線で示す地すべりブロックが抽出できました。また、稲子岳先端のP-3付近の山体には黒点線で示す開口亀裂を含む大小の亀裂の微地形が判読でき、開口亀裂の両側で DInSAR 画像の変動幅が異なっていました。
 地すべり変位判定結果としては、P-1地点は1回目から4回目の差を計測したすべてのGNSS測量結果において、有意な地表面変位が認められました。P-3地点は3回目と4回目、1回目と4回目の差において、有意な地表面変位が認められました。P-6地点は3回目と5回目の差において有意な地表面変位が認められました。以上を整理すると、表2のようになります。図9は、航空レーザ−測量によるLP地形図で判読した稲子岳の亀裂で、現地調査でも明瞭な亀裂が確認できました(水野ほか,2018)。図9の右側の写真は現地測量時に撮影した稲子岳の亀裂付近の状況です。
図8 ALOS-2 DInSAR・航空レーザ測量・GNSS測量による稲子岳の調査結果(水野ほか,2018)
図8 ALOS-2 DInSAR・航空レーザ測量・GNSS測量による稲子岳の調査結果(水野ほか,2018)
表2 GNSS測量の各測点の地表変位状況(水野ほか,2018)
図8 ALOS-2 DInSAR・航空レーザ測量・GNSS測量による稲子岳の調査結果(水野ほか,2018)
図9 航空レーザ−測量によるLP地形図で判読した稲子岳の亀裂(水野ほか,2018)
図9 航空レーザ−測量によるLP地形図で判読できる稲子岳の亀裂(水野ほか,2018)
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写真4 戦後の開拓地「新開」地区からみた北八ヶ岳の山体崩壊跡(井上ほか,2010)赤破線は北八ヶ岳のカルデラ(山体崩壊)の範囲,黒破線は稲子岳の大規模移動岩体
写真4 戦後の開拓地「新開」地区からみた北八ヶ岳の山体崩壊跡(井上ほか,2010)
赤破線は北八ヶ岳のカルデラ(山体崩壊)の範囲,黒破線は稲子岳の大規模移動岩体
写真5 ニュウ〜中山峠から稲子凹地、天狗岳・硫黄岳を望む(井上2010年7月撮影)
写真5 ニュウ〜中山峠から稲子凹地、天狗岳・硫黄岳を望む(井上2010年7月撮影)

引用・参考文献(コラム72と73)
青木隆幸(2013):「戌の満水」覚書,信濃,69巻5号,p.55-80.
青木隆幸(2014):「戌の満水」(寛保の洪水)試論,長野県立歴史館研究紀要,20号,p.2-13.
飯島滋裕・篠田正人(1998):八ヶ岳連峰稲子岳の凹地内における暖候期の冷気形成,地理学評論,71巻A-8号,p.559-572.
石橋克彦(1999):文献資料からみた東海・南海巨大地震―1〜14世紀のまとめ―,地学雑誌,108巻4号,p.399-423.
石橋克彦(2000):887年仁和地震が東海・南海地震であったことの確からしさ,地球惑星合同学会予稿集,S1-017.
井上公夫(2009):八ヶ岳大月川岩屑なだれ(887)によって形成され、302日後に決壊した天然ダム,第26回歴史地震研究会要旨集,p.41-42,歴史地震,25号,p.134-135.
井上公夫(2010):日本最大の天然ダム(887年)の形成と決壊洪水,―八ヶ岳大月川岩屑なだれによる天然ダムの形成と303日後の「仁和洪水」―,測量,60巻12号,p.24-28.
井上公夫(2011):長野県中・北部で形成された巨大天然ダムの事例紹介―八ヶ岳大月川岩屑なだれと姫川・岩戸山の大規模地すべり―,歴史地震,26号,p.106-107.
井上公夫(2015):八ヶ岳大月川岩屑なだれによる天然ダムの形成(887)と303日後の決壊,『歴史的大規模土砂災害地点を歩く』,コラム3,丸源書店,p.12-17.
井上公夫(2018a):巨大(深層)崩壊の高精度編年研究会の3年間の活動報告―年輪年代法による巨大崩壊の発生年代の推定と歴史史料との対比―,平成30年度砂防学会研究発表会概要集,p.41-42.
井上公夫(2018b):富士川右支小武川・ドンドコ沢の巨大深層崩壊と岩石なだれ,『歴史的大規模土砂災害地点を歩く』(そのU),コラム49,丸源書店,p.237-258.
井上公夫(2020a):千曲川の氾濫の歴史と夜間瀬川扇状地の地形形成との関連,地理,65巻4号,口絵,⑥,⑦,本文,p.72-83.
井上公夫(2020b):長野県北部夜間瀬川流域の土砂災害と砂防事業の歴史,『歴史的大規模土砂災害地点を歩く』(そのV),コラム65,丸源書店,p.214-237.
井上公夫・苅谷愛彦・光谷拓美・土志田正二(2016):平成27年度砂防学会研究会巨大(深層)崩壊の高精度編年研究会の中間報告―年輪年代法による巨大崩壊の発生年代の推定と歴史史料との対比―,平成28年度砂防学会研究発表会概要集,B122-123.
井上公夫・川崎保・町田尚久(2010a):八ヶ岳大月川岩屑なだれ−887年の大規模山体崩壊と天然ダム決壊の痕跡を探る−,地理,55巻5号,口絵,p.1-4,本文,p.106-116.
井上公夫・巨大(深層)崩壊の高精度編年研究会(2017):平成28年度砂防学会研究会巨大(深層)崩壊の中間報告A,平成29年度砂防学会研究発表会概要集,T105,p.264-265.
井上公夫・巨大(深層)崩壊の高精度編年研究会(2018):平成29年度砂防学会研究会巨大(深層)崩壊の中間報告B,平成30年度砂防学会研究発表会概要集,T4-01,p.41-42.
井上公夫・坂口哲夫・町田尚久・平春(2009):大月川岩屑なだれ(2009)によって形成・決壊した天然ダム,平成21年度砂防学会研究発表会概要集,p.264-265.
井上公夫・坂口哲夫・西本晴男(2010b):日本最大の天然ダム(千曲川・大月川岩屑なだれ)の事例調査,―砂防フロンティアの自主研究成果の紹介―,平成22年度砂防学会研究発表会概要集,p.272-273.
井上公夫・坂口哲夫・渡部文人・服部聡子・町田尚久(2011a):八ヶ岳・千曲川天然ダム決壊時(888)に発生した大洪水の再現,平成23年度砂防学会研究発表会概要集,p.72-73.
井上公夫・服部聡子・町田尚久(2011b):2.1 八ヶ岳大月川岩屑なだれによる天然ダムの形成と決壊,水山高久監修,森俊勇・坂口哲夫・井上公夫編著:日本の天然ダムと対応策,古今書院,p.35-50.
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大石雅之・町田尚久・竹田朋矢(2010):小規模堆積物からみた八ヶ岳火山における完新世の火山活動(予報),日本第四紀学会2010年大会要旨集,p.22-23.
大石雅之・町田尚久・竹田朋矢(2011):八ヶ岳火山における歴史時代の小規模噴火堆積物の記載とその意義,日本地球惑星科学連合2011年度連合大会,SVC048-p03.
奥田陽介・川上紳一・中村俊夫・小田寛貴・池田晃子(2000):八ヶ岳崩壊で発生した大月川岩屑流堆積物中の埋もれ木の14C年代測定,名古屋大学加速器質量分析計業績報告書,11号,p.195-199.
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苅谷愛彦(2013):年輪ウィグルマッチングによるドンドコ沢岩石なだれ発生年代の推定,日本地すべり学会誌,50巻3号,p.113-120.
苅谷愛彦・光谷拓美・井上公夫(2014):ドンドコ沢岩石なだれ堰き止め湖沼堆積物から得られた大径木の年輪年代:AD887五畿七道地震の可能性,2014年日本地球惑星科学連合大会,HDS29-P01.
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川崎保(2010):仁和三年(887)の八ヶ岳崩壊と仁和四年(888)の千曲川大洪水,佐久,60号,p.2-12.
川崎保(2013):約1,100年前,千曲川流域を襲った未曾有の大洪水〜仁和の洪水〜,大地の履歴から探る災害―大地と自然,そして人―,津南学叢書,第21輯,津南町教育委員会,p.16-22.
川崎保(2014):平安時代の大洪水〜いわゆる「仁和の洪水」について〜,歴史と災害〜災害は歴史を変えたか〜,第2回東海学シンポジウム,p.91-105.
川崎保(2018a):平安時代八ヶ岳大崩壊と「仁和の大洪水」研究(1)−遺跡の調査成果と地域史−,千曲,165号,p.1-5.
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木村誇・山田隆二・苅谷愛彦・井上公夫(2018b):歴史時代の大規模崩壊による山地河川の地形変化とその影響―赤石山地ドンドコ沢岩石なだれの再検討―,平成30年度砂防学会研究発表会概要集,P.007,p.383-384.
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土志田正二・池田敦・苅谷愛彦・小林浩・井上公夫(2018):小武川上流ドンドコ沢の巨大崩壊における土砂堆積量の推定―電気探査と詳細地形解析を用いて―,平成30年度砂防学会研究発表会概要集,T4-02,p.43-44.
土志田正二・小林浩・井上公夫・苅谷愛彦・尾関信幸・木村誇(2016):小武川上流ドンドコ沢の巨大崩壊発生位置と土砂堆積量の推定,平成28年度砂防学会研究発表会概要集,A286-287.
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中塚武・佐野雅規(2014):酸素同位体比を用いた新しい木材年輪年代法(総特集 第四紀研究における年代測定法の新展開:最近10年間の進展―(V)相対年代と古環境の高精度復元―),号外地球,63巻,p.106-113.
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長野朝日放送(2010.5.27):国内史上最大天然ダム,点在する巨岩の謎は,最大規模の天然ダム,平安時代に決壊(ニュース番組5分42秒)
早川由紀夫(2011):平安時代に起こった八ヶ岳崩壊と千曲川洪水,歴史地震,26号,p.19-23.
林久夫・秋山晋二(2018):チェーンアレー探査を用いたドンドコ沢岩石なだれの2次元堆積構造の把握,平成30年度砂防学会研究発表会概要集,P.0006,p.381-382.
防災科学技術研究所地すべり地形分布図データベース(2007):地すべり地形分布図データベース(現在はJ-SIS(地震ハザードステーション)に統合されています:https://www.j-shis.bosai.go.jp/news-20140724
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町田尚久・田村俊和・渡辺笑子・井上公夫・川崎保(2010):大月川岩屑なだれが形成した天然ダムの決壊と大洪水:堆積物の分析による考察,平成22年度砂防学会研究発表会概要集,p.576-577.
町田尚久・田村俊和(2010):八ヶ岳東麓大月川付近の地形分類と大月川岩屑なだれ堆積地形の特徴,日本地形学連合,2010年秋季大会,p.15
水野正樹(2020):人工衛星干渉SAR画像を用いた深層崩壊する危険性の高い箇所の特定,日台砂防共同研究会シンポジウム,台日土砂災害技術交流活動,PPT,16コマ
水野正樹・神山嬢子・江川真史・蒲原潤一・西真佐人・渡部文人・吉川和男・三五大輔(2014):ALOS干渉SARによる土砂災害前微小変動箇所の抽出手法の検討,平成26年度砂防学会研究発表会概要集,L3-02,p.A100-101.
水野正樹・王純祥・権田豊(2016a):深層崩壊前微動土塊の干渉SAR広域探索調査・崩壊危険度評価手法の確立に向けた検討,平成28年度砂防地すべり技術研究成果報告,PPT32コマ
水野正樹・王純祥・権田豊(2016b):深層崩壊前微動土塊の干渉SAR広域探索調査・崩壊危険度評価手法の確立に向けた検討,平成28年度砂防地すべり技術研究成果報告会講演論文集,砂防・地すべり技術センター,p.23-52.
水野正樹・王純祥・権田豊・平田育士・三五大輔(2017):長野県稲子岳を対象とした干渉SARによる深層崩壊の予兆監視手法の有効性検討,平成28年度JAXA土砂ワーキンググループ第3回会合資料,PPT12コマ
水野正樹・王純祥・西川大亮・西川大亮・平田育士・三五大輔(2018):DInSARと航空レーザ測量とGNSSを用いた稲子岳の地すべり調査,平成30年度砂防学会研究会発表概要集,P-071,p.511-512.
光谷拓美(1990):年輪から古代を読む―日本における古代年輪学の成立―,同朋舎,195p.
光谷拓美(2000):古年輪研究部門―自然災害史に関連した事例―,長野県八ヶ岳崩落は887年と確定,考古学ニュース,奈良文研COE研究拠点,1号,p.12-13.
光谷拓美(2001):自然災害と年輪年代法,特集年輪年代法と文化財,日本の美術,至文堂,421号,p.86-97.
水山高久監修・森敏勇・坂口哲夫・井上公夫編著(2011):日本の天然ダムと対応策,古今書院,口絵,p.4,本文,p.187.
南相木村誌歴史編刊行会(2015):南相木村誌 歴史編−原始・古代・中世,320p.
山崎哲人(1993):絵図が明かす平賀玄信の佐久支配,郷土出版社,334p.
山田隆二・井上公夫・苅谷愛彦・光谷拓美・土志田正二・佐野雅規・李貞・中塚武(2016a):巨大(深層)崩壊の高精度編年研究会の中間報告−酸素同位体比年輪年代法による巨大崩壊の発生年代の推定と歴史史料の対比−,日本地球惑星科学連合2016年大会,HDS17-03.
山田隆二・若月強・飯田智之・陳麒文(2016b):斜面崩壊履歴解明に向けた植物試料の年代測定:樹木年輪年代測定とせき止め湖堆積物の分布―,平成28年度砂防学会研究会発表概要集,A284-285.
山田隆二・木村誇・苅谷愛彦・佐野雅規・野島あかね・李貞・中塚武・井上公夫(2018):歴史時代に南アルプスで発生した崩壊履歴の高精度復元―酸素同位体比を用いた樹木年輪年代測定の適用―,平成30年度砂防学会研究会発表概要集,T4-03,p.45-46.
山田隆二・木村誇・苅谷愛彦・佐野雅規・野島あかね・李貞・中塚武・井上公夫(2019):新しい年輪年代測定法が可能にした樹木の枯死年と歴史地震記録との対比:南アルプスドンドコ沢と仁和地震の例,歴史地震,34号,p.223.
山田隆二・木村誇・苅谷愛彦・佐野雅規・對馬あかね・李貞・中塚武・國分(齋藤)陽子・井上公夫(2021a):大規模土砂移動発生履歴の高度復元に向けた埋没樹木の年代測定―歴史時代に中部山岳地域で発生した事例―,砂防学会誌,73巻5号,p.3-14.
山田隆二・佐藤昌人・井上公夫・川崎保・中塚武・李貞(2021b):長野県千曲市本誓寺遺跡から見つかった平安時代の埋没木の年代測定について,令和3年度砂防学会研究発表会概要集, P1-3,p.281-282.
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