余りの見事さに見とれていたら、何となく顔や腕が痒くなってきた。見ただけで“かゆみ”を感じるのは、私の小さな心と皮膚に残るトラウマなのだろうか? それとも、実際に被害を被ったのか、何れにしても見とれていては危険であることに気が付いた。ビジネス書風に言えば「危機意識の欠如」である。あぶない!危ない!
今年は、茶毒蛾の大発生の年らしい。NHKのテレビでやっていたと、茶毒蛾には全く縁のないと思っていた(彼の趣味は、海に潜ってきれいな魚たちを観るダイビングで、庭木の剪定ではない)山森氏が教えてくれた。『知取気亭さんは、流行の先端を行っていますよ』とあまり喜べないようなお褒めの言葉(?)とともに、大発生の原因を説明してくれた。「NHKテレビに依れば、天敵は蜂なのだが、今年は不順な天候が原因でその蜂が少ない。そのため、茶毒蛾が大発生している」とのことだった。よくよく聞いてみると、彼の奥さんもお父さんも被害にあったそうで、水に潜るのが趣味(?)の彼も全く縁がないわけではなく、今では被害者の一番の理解者になっている(多分!)。
いずれにしても茶毒蛾は今が旬、毎晩アルコール消毒したいと思っているあなた、あなたの思いを叶えるためにもくれぐれも被害に遭わないようにしてほしい。被害に遭うと、私の様にどんなにアルコール消毒が好きな人でも、4日〜10日間位は臭いだけで我慢しなければ成らない。尤も、“かゆみ”と“アルコール消毒の禁止”と、どちらに耐えられるかと言う単純な話ではあるのだけれど……。
茶毒蛾の大発生は不順な天候の影響らしいが、私の身近な所でもその影響が出ている。第一話で書いた茶毒蛾の食料補給木と成った我が家の椿が、こんな時期に突然花を付けた。今年二度目の開花である。「へそ曲がり」が持ち主に似た訳でもないと思うが、この残暑厳しい時期に花を付けるとは、明らかに地球は病んでいると言うことなのだろうか。それとも、開花センサーが壊れてしまったのだろうか。いずれにしても、普通でないことだけは確かである。
普通ではないが、口直しならぬ目直しと言うことで、晩夏に咲いた沙羅樹ではない椿(写真3)を載せ、皆さんの無事を祈ることとする。
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