「少子高齢化」、まだまだ若く(?)子沢山の私としては、今のところ個人的に差し迫った問題ではないが、少々気がかりな言葉である。この気がかりが原因で、国力低下、医療保険や年金制度の破綻、さらには医療費の3割負担や日増しに現実味を帯びてきた消費税引き上げに代表される国民への負担増など、多くの課題がヒタヒタと私達の足元をぬらし始めている。解決策はないものかといろいろ考えてみたが、私個人の努力では残念ながら解決できそうもない。さりとて手を拱いているだけでは芸がない。そこで、我が家の医療費支出を抑え、医療保険制度の破綻時期を宇宙の塵ほどではあるが多少なりとも遅らせることができそうな(?)ことを実行することにした。健康体の専守防衛である。
皆さんは「老いは足腰から」、「健康維持には歩くのが一番」などを聞かれたことがあると思うが、その足腰を鍛えようというのである。
確か昨年の秋ごろだったように記憶しているが、プロスキヤーの三浦雄一郎氏と父親の敬三氏が出演していたNHKの番組「親の顔が見てみたい」を見たときから、私の「健康体専守防衛」が始まった。番組が終わりに近づくころ、「来春(2003年)、敬三氏は白寿(99歳)を迎えるが、彼をリーダーにヨーロッパアルプスの氷河をスキーで滑り降りる計画を立てていること。そのための準備として足腰を鍛えていること」の話とともに、画面に映し出されたのは敬三氏の足首に巻かれたウェイトだった。雄一郎氏は父親の体力を気遣い、「氷河にはクレパスも多いので、足腰を鍛えておかないと危険である。だから、このウェイトをつけて鍛えていて、今は500gだが次は1sへと増やしていく」と至極自然に言っていたのを聞いてしまった。そう、まさに聞いてしまったのである。敬三氏は当時98歳、私は53歳、「彼にできて俺にできないはずはない」、今から考えれば別にライバル視などする必要もないし、ましてや足元にも及ばない経歴、年齢なのに、なぜかそう思ってしまった。
早速次の日、500gのウェイト(写真左)を買い込み、両足首に巻きつけて1日を過ごす日課が始まった。初日はウェイトを外した時の足の軽さにビックリしたが、1週間も続けると以前から続けていた階段の2段上がりと同じように、つける前と変わらず違和感無く活動できるようになってきた。1ヶ月も続けるとナント、上がりにくかった左足が右足と同じように上がるようになったではないか。効果抜群である。2ヶ月も続けた頃には、ウェイトをつけて1時間ほど歩いてもほとんど疲れを感じないようになってきた。「継続は力なり」とは、よく言ったものである。こうなれば先が楽しみで、出張の時は勿論、休みで家にいる時も外せなくなってきた。
そして、「敬三氏が親・子・孫の3代でめでたく氷河を滑り降りることとに成功した(2月19日)」とのニュースを聞き、「息子の雄一郎氏がエベレストの登頂に世界最高齢の70歳で成功した(5月22日)」とのニュースを耳してから遅れること約1ヶ月、ついに私も1sのウェイト(写真右)を手に入れることができた。感激である。感激ではあるが、やはり1sは重い。最初の数日は、1階から4階まで一気に2段上がりをすると、息が切れるのは勿論だが脚も震えてきた。始めて1週間ほど経ち震えなくなってきたころ、他愛も無いことなのだが再び私を感激させてくれた出来事があった。
雄一郎氏がどこかの小学校で開催した「エベレスト登頂の報告会」のニュースを見ていたときである。登頂前のトレーニングの格好を見せていたのだが、足に巻かれていたのはナント私が手にいれたものと同じではないか!
しかも、片足に二つも!
さらに、背中には重そうなリュックも!
トップアスリートはやはり凡人とは違うものだと感心するとともに、「目的を達成する為にはどんな力が必要かを知り、その力を身に付けるためには日々の努力を惜しまない」を改めて認識させてくれる出来事だった。勿論、「俺がつけているのは三浦雄一郎がつけていたのと同じやつ」という仲間意識にも似た一方的な連帯感が、感激の主因ではあるのだが。
「若い、若い」と思っていても体力は衰えていくものだし、衰えは気がつかないうちに進行する。これは、私の実感である。
「俺は体力もあるし、まだまだ」と思っている「あなた」、いずれあなたも高齢者となり、残念ながら衰えていく。「年老いてから寝たきりにならない為に、医療費の出費を抑える為に、将来上がる消費税の税率を少しでも低く抑える為(?)に、あなたが今からできること」をすぐに始めようではないか。それは足腰を鍛えておくことであり、三浦雄一郎親子と同じように、足首にウェイトをつけて1日を過ごすことが手軽で確実な方法である。ただし、女性に限ってはTPOを考慮していただければと思う。別に男女差別をするわけではないが、「スカート姿にウェイト」はあまり想像したくない。特に、デートの時は細心の注意をお勧めする。 |