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鳥類に見せられた著者のユニークな研究成果が洒脱な文章で綴られていて、私の好きな一冊である。横道にそれる前に結論を言えば、本書に記されているカラスの行動範囲はやはり10キロを越えている。その辺りの行を紹介する。
『厳冬期で餌があまり多くない時期に、せっかく日中にため込んだエネルギーをねぐらに帰るために使ってしまうのは、いかにももったいない話しである。上・下伊那地方から集まるカラスのうち、もっとも遠いところから来るものは、何しろ片道で四〇キロメートル以上も毎日飛んでいるのだから』(※太字による強調は知取気亭主人に依る)
本書中に示された冬期ねぐらと移動方向を示した地図からは、長野県の四分の一ほどの距離を移動するカラスもいることが読みとれる。確かに、私が住んでいる金沢では彼らの通勤距離は10キロにも満たないと推測されるが、それは安全な“ねぐら” と確実な“エサ場”が近場で常時確保できるからで、格好のエサとなる生ゴミの少ない地方では体力ならぬ、鳥力の許す限りの距離を移動するのは当然のように思われる。したがって、大阪府農政室の見解には疑問が残る。環境省のホームページには「自治体担当者のためのカラス対策マニュアル」(http://www.env.go.jp/nature/karasu-m/109.html)が掲載されているが、そこには
『(前略)
ハシブトガラスの若鳥では、ほとんどがねぐらから10km以内で観察されています。また、一番遠いもので藤沢市片瀬江ノ島や青梅市新町小学校で約41kmという移動が記録されています(藤村仁、1999)。』
とある。やはり、移動距離が10kmとは限定していない。したがって、我々一般市民としては「カラスの移動距離は10km以上有る」ことを念頭に置き、鳥インフルエンザの推移を注意深く見舞っていく必要がありそうだ。
ところで、本のタイトルとなった「オシドリは浮気をしないのか」についてであるが
実は……。おっと、これを言ってしまえばストーリーを言われてしまった推理小説のようなものになってしまう。読んでのお楽しみということで、何となく気になる方は是非読んでいただきたい。 |