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インフルエンザ

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   20040319

 東南アジアを中心として、世界的に鳥インフルエンザの被害が広がりを見せている。日本でも、山口県で79年ぶり(YOMIURI ON−LINE 3月11日による)の発症が報告されてから、鶏やチャボ、さては野鳥のカラスまで被害が及んでいる。京都府丹波町では、養鶏場を経営する会長夫妻が自殺すると言う痛ましい事件まで起こっている。鳥自らが『頭が痛い』とか『体がだるい』とか言った初期症状を訴えることができないだけに、人間は鳥たちの死直前の極度に弱った状態や、死んだ姿を見て気付くことになる。したがって、対策が後手、後手となり兼ねない。今日本の各地で起きている状況は、正にその様な状況を端的に表しているのだろう。養鶏農家の被害も甚大だ。
 一方、狂牛病に依る牛丼騒動が覚めやらぬうちに起こった今回の鳥インフルエンザ騒動により、食肉業界を始め関連業界でも大きな打撃を被っているようだ。そもそも鳥インフルエンザなるものがあること自体初めて知ったが、香港での鳥インフルエンザによる人の死亡例が報告されたり、日本でもカラスへの感染が報告され、不安は募る一方である。

 国立感染症研究所の感染症情報センターが運営する「鳥インフルエンザに関するQ&A」(http://idsc.nih.go.jp/others/topics/flu/QA040113.html)に依れば、これまで香港(1997年、2003年)、米国(1983年、2003年)、オランダ(2003年)、ドイツ(2003年)、韓国(2003年)、ベトナム(2004年)など世界各地で発生していたが、日本では、1925年以来発生はなかったとされている。このサイトは、鳥インフルエンザに関する情報が分かりやすくまとめられているので、不安な方は是非一度読んでおかれることをお勧めする。なお、新聞などで良く目にし、『鳥インフルエンザとどう違うのだろう』と疑問に思った「高病原性鳥インフルエンザ」についても丁寧な説明がなされている。「高病原性鳥インフルエンザ」は、鳥インフルエンザの中でもウイルスの感染を受けた鳥類が死亡したり全面症状などの特に強い病原性を示すものを差し、鳥類が大量に死亡することもまれではないとのことだ。 

 ところで、オンライン新聞を読んでいて気になったことがある。カラスの行動範囲である。
 3月11日の「YOMIURI ON−LINE/社会」には、大阪府農政室の話しとして「カラスの行動範囲は約10キロだから、今回のカラスが船井農場周辺から直接飛んできたとは考えにくい」、との記事が載っている。しかしながら、私の記憶が確かならそんなに短い筈がない。以前読んだ「オシドリは浮気をしないのか鳥類学への招待」(山岸哲著、中公新書)をもう一度読んでみた。山岸哲氏によるこのユニークなタイトルの本は、


物思いにふける(?)カラス

鳥類に見せられた著者のユニークな研究成果が洒脱な文章で綴られていて、私の好きな一冊である。横道にそれる前に結論を言えば、本書に記されているカラスの行動範囲はやはり10キロを越えている。その辺りの行を紹介する。

 『厳冬期で餌があまり多くない時期に、せっかく日中にため込んだエネルギーをねぐらに帰るために使ってしまうのは、いかにももったいない話しである。上・下伊那地方から集まるカラスのうち、もっとも遠いところから来るものは、何しろ片道で四〇キロメートル以上も毎日飛んでいるのだから』(※太字による強調は知取気亭主人に依る)

 本書中に示された冬期ねぐらと移動方向を示した地図からは、長野県の四分の一ほどの距離を移動するカラスもいることが読みとれる。確かに、私が住んでいる金沢では彼らの通勤距離は10キロにも満たないと推測されるが、それは安全な“ねぐら” と確実な“エサ場”が近場で常時確保できるからで、格好のエサとなる生ゴミの少ない地方では体力ならぬ、鳥力の許す限りの距離を移動するのは当然のように思われる。したがって、大阪府農政室の見解には疑問が残る。環境省のホームページには「自治体担当者のためのカラス対策マニュアル」(http://www.env.go.jp/nature/karasu-m/109.html)が掲載されているが、そこには

 『(前略) ハシブトガラスの若鳥では、ほとんどがねぐらから10km以内で観察されています。また、一番遠いもので藤沢市片瀬江ノ島や青梅市新町小学校で約41kmという移動が記録されています(藤村仁、1999)。』

とある。やはり、移動距離が10kmとは限定していない。したがって、我々一般市民としては「カラスの移動距離は10km以上有る」ことを念頭に置き、鳥インフルエンザの推移を注意深く見舞っていく必要がありそうだ。
 ところで、本のタイトルとなった「オシドリは浮気をしないのか」についてであるが  実は……。おっと、これを言ってしまえばストーリーを言われてしまった推理小説のようなものになってしまう。読んでのお楽しみということで、何となく気になる方は是非読んでいただきたい。

【文責:知取気亭主人】

『オシドリは浮気をしないのか―鳥類学への招待』         
【著】山岸 哲

出版社】:中央公論新社
【ISBN】:
4121016289(2002-02-25出版)
【ページ】:202p (18cm)
【本体価格】:\740(税別)

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