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『フキノトウ』

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   20040402

 我が家の庭にある春のセンサー達が、一斉に働き出した。フキノトウ、水仙、コブシ、どれもこれも敏感なセンサーだ。どこにそんな高感度のセンサーを忍ばせているのか不思議だが、気温や日照時間をしっかりとしかも確実に計測し、活動し始める。特にフキノトウなどは冬場に顔を出していないだけに、雪解けしたばかりの土手に薄緑色をした紡錘形の帽子を見つけたときには、待ち遠しかった春の訪れがついに里まできたことを実感させてくれる。山菜の楽しみが近いことを真っ先に教えてくれる有り難いセンサーでもある。
 

 フキノトウ自身のセンサーも高感度だが、私の食欲中枢のスイッチを素早くオンにする働きも見事で、天ぷらにフキノトウ味噌、我が家では毎年今頃になると必ず食卓に上る。私は、フキノトウのあの独特な臭いと口の中で広がるほのかな“えぐみ”が大好きで、沢山ある山菜の中では春の使者の筆頭に挙げたい。時機を逸すると“えぐみ”が強くなり過ぎ食に適さなくなるのに、十分成長すると再び美味しい食材になるのも、なんだか蕗の反抗期のようで人間に似ていて好感が持てる。


淡い黄緑色した花がかわいい


 そのフキノトウを今年もそろそろ採りに行こうかと思っていた矢先に、ラジオから面白い情報が耳に飛びこんできた。『蕗を沢山採ったら枯れてしまうのではないか』というリスナーの質問に、『そう言えばそうかもしれないな。しかし我が家の蕗は毎年楽しませてくれるぞ』と不思議に思っていたら目から鱗の回答が聞こえてきた。

 『皆さんが採っている蕗、あの扇形の葉っぱのついた茎のように見えるところは、あれは実は葉柄(葉の一部で葉身を茎に付着させる柄:広辞苑より)で茎ではありません。茎は土の中にあって、それを採ってしまわない限り枯れることはありません』

 なるほどと感心したが、よくよく考えてみると、我が家の庭にある蕗を山から移植したとき、それらしきものを見た記憶がある。たしか、なにやら木の根っこのような、はたまたワサビのようなゴツゴツしたものが沢山付いていたが、もしかしたらあの根っこと思っていたのが実は茎だったのかもしれない。それを確かめるべく、出勤前の早朝、庭に出てみた。
     

     


 雨上がりのお陰か、土の中にあるはずの“ゴツゴツ”が上の写真のように見事に顔を出している。そして、よく見てみるとその茎とおぼしき“ゴツゴツ”から、かわいらしい蕗が葉をのばしているのがわかる。『なるほど、これが茎か。これで胸の支えが降りたぞ』と一人ほくそ笑み、すっきりとした気分で朝の自然観察会は閉会としたつもりだったが、出勤途上の車中で『茎は分かったが、そうなると根っこはどれだ』と、次なる疑問が持ち上がってきた。この反応の鈍さが口惜しいが、新たな疑問解明は蕗の反抗期が終わった後と決め、未解決ファイルの引き出しに加えることとした。引き出しに入れた途端、天ぷらは食べたがフキノトウ味噌が未だだったことを思い出した。そうだ、今度の休みに採りに行こう……。

【文責:知取気亭主人】

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