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2004年
5月21日
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唐突だが、「ごみばこ」を漢字ではどう書くのかご存じだろうか。良く目にするのはカタカナと組み合わせた「ゴミ箱」だが、「護美箱」と書かれているものも時々見かける。私なども、「なるほど漢字では護美箱と書くのか」とすんなりと納得していたが、調べてみると「護美箱」が実は当て字で「芥箱」と書くのが正解であることが分かった。誰が考えたか知らないが、「護美箱」は「芥箱」より余程ピッタリくる。また、字も美しい。「ゴミは不法投棄などせず、孫子のために美しい自然を護ることが必要だ」、と訴えているすばらしい当て字であると思う。小さな頃からその様な教育をしてくればゴミの不法投棄をする大人には育たない筈なのに、不埒なニュースは後を絶たない。子供達に申し訳ないと思うと同時に、誠に残念だ。
先日もラジオから、「岐阜県でゴミの不法投棄が大きな問題となっている」とのニュースが流れてきた。不法投棄の産廃は56万立方メートルに達し、かの豊島(香川県)に匹敵するらしい。1990年代に豊島の問題がメディアを賑わし、やっと問題解決の方向に向かったと思った矢先に、青森県と岩手県の県境では日本最大の不法投棄が行われていたとのニュースが流れ、そして今回岐阜県の不法投棄である。良くもこうあるものだと思うと同時に、都会のゴミが地方に投棄される現実に、腹立たしい思いをされた地方在住の人も多いだろう。私もその一人だ。これも我々日本人が浪費生活の表向きの利便性に目も心も、そして財布の中身さえも奪われ、溢れる物の中で暮らさないと安心できなくなり、そして物を大切にしなくなってしまった所以なのであろう。いったい日本ではどれくらいのゴミが捨てられているのだろうか。環境省のホームページ(http://www.env.go.jp/)を開いてみた。
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課の「日本の廃棄物処理」(各年度版)によれば、日本のゴミ総出量はほぼ一貫して増え続け、下の表(環境省のホームページより抜粋)に示したように平成11年時点では何と5100万トンを越す莫大な量のゴミが何らかの形で処理されている。10dダンプに換算して510万台である。
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市町村等による
収集量 |
自家処理 |
事業者等による搬入 |
合 計 |
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平成 1年度 |
41,602 |
1,317 |
7,054 |
49,973 |
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平成 5年度 |
42,997 |
957 |
6,350 |
50,304 |
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平成11年度 |
45,736 |
352 |
5,359 |
51,446 |
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※自家処理は多くの市町村で推計値を報告していると考えられる。 |
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何とも現実離れした数値で実感が湧かないが、これを一人一日当たりのゴミの排出量に換算してみると、グッと現実味を帯びた数値になる。例えば平成11年でみてみると、総人口が1億2650万人ほどであるから、一人当たり毎日1,114グラムのゴミを出していることになる。もう少し身近なものに置き換えてみよう。体重なんかはどうであろうか。同じく平成11年で計算すると、一人一年間で404キログラム、つまり40キログラムの人10人分となる。この計算でいくと我が家は六人家族であるから、痩せ気味の成人女性60人分もの膨大な量のゴミを出している計算になる。60人もの美女に囲まれていると想像すれば鼻の下も長くなるが、実際にはゴミ袋の山を想像しただけで鼻が曲がってしまいそうだ。
しかもこの数値は適切に処理されたゴミの量で、これ以外に不法投棄があるわけである。しかも不法投棄は摘発されないと分からないため、実体を掌握することは難しい。環境省のホームページには、平成13年度に限ってみても全国で約24万dもの不法投棄がなされているデータが掲載されている(出典:環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課適正処理推進室「産業廃棄物の不法投棄状況について」)。次の表は、同ホームページに掲載されている資料を抜粋し作成したものだが、関東地方のデータをみて面白いことに気付かれるだろう。
全国及び関東地方の都県別不法投棄量
(単位:トン) |
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全国合計 |
群馬県 |
栃木県 |
埼玉県 |
茨城県 |
東京都 |
神奈川県 |
千葉県 |
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平成10年度 |
424,300 |
3,065 |
142,605 |
9,348 |
35,509 |
0 |
465 |
37,904 |
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平成11年度 |
433,293 |
4,107 |
5,617 |
810 |
17,632 |
0 |
101 |
179,543 |
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平成12年度 |
403,274 |
597 |
2,216 |
43 |
69,150 |
0 |
0 |
121,404 |
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平成13年度 |
241,676 |
8,499 |
3,008 |
454 |
25,501 |
0 |
170 |
47,731 |
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周辺自治体に比べると東京都と神奈川県が極端に少ない。両自治体は不法投棄するような場所も確かに少ないことは少ないが、極端に多い茨城県や千葉県の人達がこのデータを見たらどんな感想を持つのだろうか……。
ところで、今から8年前の1996年10月、岐阜県御嵩町の町長がゴミ処分場建設に絡み襲撃された事件を覚えているだろうか。ゴミ処分場というどちらかと言えば日の当たらない公共施設に関連した事件だっただけにその後の進展に注目していたが、事件から5ヶ月後の1997年3月に偶然とは思えないほどのタイミングで正に同じテーマで書かれた推理小説が発刊されビックリしたことがある。黒川博行の「疫病神」(新潮社)である。推理小説はストーリーを明かされると読む気がしなくなるのでここでは割愛するが、推理小説には滅多に登場しない建設コンサルタントも登場し、ゴミ処分場建設に係わる利権が垣間見え興味深く読ませてもらった。豊島の問題を扱った曽根英二の「ゴミが降る島」と共に、主人推薦の本である。
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【文責:知取気亭主人】 |
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『疫病神』
【著】黒川 博行【出版社】:新潮社
【ISBN】:4106027496(1997/03/15出版)
【ページ】:401p (19cm)
【販売価格】:\1,890(税込) |
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『ゴミが降る島』
―香川・豊島 産廃との「20年戦争」
【著】曽根 英二【出版社】:日本経済新聞社
【ISBN】:4532162904(1999/05/06出版)
【ページ】:302p (19cm)
【販売価格】:\1,785(税込) |
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