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ケータイ電話の普及がすさまじい。社団法人「電気通信事業者協会(TCA)」発表のデータによれば、平成16年3月末現在の契約者数は81百万台を超え(PHSを除く)、約1.5人に一台保有している計算になる。乳幼児や小学生、さらにはお年寄りを対象から外せば、ほぼ全ての日本人が持っていると言っても過言ではない。確かに便利な機械だ。しかも、会話やメールができることは勿論、写真を撮ったり着信用のメロディーを作曲できるなど、進化のスピードがこれまたすさまじく速い。私のように、メガネを外さないと文字が読めない世代にとっては、あまりにも速すぎて付いていけず機能の半分も使えない。ただ、負け惜しみとして言わせてもらえば、会話以外にはあまり使う必要がないのも事実だ。今の若い人たちにとっては、コミュニケーションの手段としてなくてはならない道具になっているようだが、「見てごザル、聞いてごザル、言ってごザル」おじさんとしては、いささか心配の種になっている。
先月東京に出張した折のことである。品川駅で新幹線から在来線に乗り替えようとホームに出た途端、異様な光景に出くわした。列車待ちの乗客で混雑するホームの上で、線路側に立った先頭の女性たち10人程が並ぶようにして一心不乱にケータイ電話の画面を覗き込んでいるのだ。薄暮の中でケータイの画面が異様に光り、10人が10人とも同じようにそれを見つめ親指でボタンを操作している。当然同じ姿勢だ。まるで、どこかの国のマスゲームを見ているような錯覚に陥る。集団催眠を掛けられ、操られているようにも見える。彼女たちの周りだけ別の世界があるようで、『何なんだ、あの集団は!』と気色悪く感じたのは私だけなのだろうか。以前から電子メールの乱用に懸念を抱いていたことが、現実のものとして見せられると、“これはやばいな”といった感が否めない。
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