いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
 

『今日は何処の野山やら……』

戻る

   2004年 10月01

 かの明治の文豪島崎藤村は、小説「夜明け前」で「木曽路はすべて山の中である。あるところは岨(そば)づたいに行く崖の道であり、……」と木曽路の険しさを表現した。その木曽路ほどではないが、私が歩いている“福井と滋賀県境の北陸道”も深い山の中である。代わり映えのしない山また山の景色の中で、時々木々の間から見える若狭湾の変化が、一服の清涼剤としての効能を発揮してくれるばかりでなく、確実に西に進んでいることを教えてくれる道しるべとなっている。凪いだ水面に浮かぶ半島の山並みも美しい。
 日本海に静かに沈みゆく夕日も、自然現象としては“夜明け前”と表裏をなすが、闇を迎えるひとときの間に明日の朝日を予見させる輝きを見せ、見ごたえのあるドラマを演出してくれる。まさに沈まんとしている太陽とこれを包み込むように静かに迎える日本海が織り成すシルエットは、荘厳で心が洗われるようだ。日ごろの喧騒を忘れじっと見ていると、自然に手を合わせこうべを垂れる罪深い己をも包み込んでくれるようで、疲れた身も心も癒してくれる。

 おっと、そろそろ日が沈む。早く今晩
の野営地を見つけなければならない。金
沢を出発したのは確か8月の下旬だった。
40日も経ったのにやっと福井と滋賀の県
境を越えたところだ。“牛歩”というべき
か“亀の歩み”というべきなのか分から
ないが、車に比べると歩みの速度はやは
り格段に遅い。しかしながら、遅いけれ
ども確実に前進していることも間違いな
い。さあ、後もう少しで木之本だ。これ
からしばらくは琵琶湖の景色が道しるべ     
となる。そうだ! 久し振りに寮生時代
に良く歌った「南下軍の歌」でも口ずさみながら歩くことにしよう……


           
杉津パーキングから見た若狭湾の落日


 実はこれ、私の「架空 北陸道ウォーキング道中記」である。健康維持・増進、体質改善と盛りだくさんの欲求を満たすために、ウォーキングを始めたことは、以前紹介したとおりである。「そのウォーキングを長続きさせるためには何か楽しみを作らねばならない!」ということで、実践しているのが「目的地を定め完歩すること」である。そのために、歩いた距離を記録してその累積距離から「今どこを歩いているのか」を知り、地図上で追跡しているのである。上記の架空道中記に記したように、9月末現在でちょうど木之本辺りを歩いていることになる。
 始めてみると意外とはまるもので、1日歩く距離は5q程度と僅かだが、高速道路上を進むと、インター間が意外と短い上に見慣れた景色であることも手伝って、「今日はあの辺りを歩いているのだな」と“空想GPS”を使いながらのオリエンテーリングを楽しむことが出来る。歩くと確実に目的地に近づくのも心地良い。おかげで、大した苦痛もなくウォーキングを続けることが出来ている。
「たった40日で大口を叩くな」といわれそうだが、社内でウォーキングを実践している仲間と、健康診断で運動不足を指摘された生活習慣病疾患およびその予備軍の皆さんに、要らぬお世話を承知の上で、楽しんでウォーキングを続けるための私の実践例を紹介する。

 まず準備として、ウォーキングコースの距離の計測が必要となる。1/25,000地形図を買い込み、凧糸と定規を使い、以前から時々歩いていた50分コースと60分コースの2つのコースを計測した。それぞれ、4.8qと5.5qであった。次に、パソコンで表を作り、「いつどのコースを歩いたか」などの歩いた実績を記入することとした。ただ数値で管理していてもいかにも味気ない。そこで、地図上に現在地をプロットし、架空のウォーキング旅行を楽しむことにした。
 「累積距離で今どこを歩いているのか」を知るためには道路地図が最適であるが、本になったのでは高価であるし、使い勝手が良くない。やはり、毎日目に入るように壁に貼ることが出来て、励みになるものがほしい。「そんな地図はないか」とあれこれ考えていたが、良いものがあるのに気が付いた。高速道路のサービスエリアで無料配布している地図である。インター間の距離を積算すれば、スタート地点からの距離がすぐ分かる。
第1目的地を営業所のある掛川市とし、出発地点を北陸自動車道の金沢西、北陸自動車道を西に向かい米原ジャンクションで名神高速道路に入り、東名高速道路の掛川インターを終点とするコースを決めた。約360qの長丁場である。
 目的地とコースが決まればこれで準備は整った。後はこれを壁に貼り、毎日どこまで歩いたかを書き込んでいくのである。これが結構楽しいのだ。ただ、一人だけでやっていても張り合いがない。そこで、会社の仲間に話したり、家族に話したりして無理やりにでも良いから共感を得ることが重要となる。とにかく、「こんなことをやってるぞ」と話すわけである。すると、それが話題になり、次のウォーキングの原動力になるのである。
また、言ってしまった手前、続けざるを得ない状況に自らを追い込むことになり、継続の確率が高くなる。こうなれば完歩間違いなしである。楽しみと健康の両方を満足することができる。ただし、ウォーキングコースの季節の移り変わりを五感で楽しむことも忘れてはいけない。
 さて、四方山流ウォーキングは至って簡単なことを分かっていただけたと思う。一月の目標距離や目標地点を決めたら、歩けるときに歩けばよいのである。そして、目標を達成したら自らを褒め、酒でもケーキでも好きなもので祝うのである。ただし、程々に!
 ところで、洋服で腹のたるみを隠しているあなた、そして隠れ肥満のあなた、あなたもそろそろウォーキングをしたほうがよさそうですぞ!

【文責:知取気亭主人】

 

戻る

 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.