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『台風23号』

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   2004年 10月 22

 とうとう10個目の台風上陸である。嬉しくもない記録が、次から次へと塗り替えられていく。しかも、大型で強い台風の襲来が相次いでいる。つい2週間前に伊豆半島から関東地方を襲った22号(アジア名:MA−ON(マーゴン))は、東日本に上陸した台風の中で史上最強と言われ、4トン車を巻き上げ、屋根を吹き飛ばすほどの猛威を振るった。その記憶が覚めやらぬうちに再び日本に上陸した今回の23号(アジア名:TOKAGE(トカゲ))は、北海道から九州・四国までが強風域(19日現在中心から800q)にすっぽり入ってしまうほど巨大だ。しかも、すぐ後ろには既に24号も発生している。23号がまだ沖縄近海にいた17日の天気予報を見ていたら、日本列島がちょうど気圧の谷間になり、台風の通り道を空けている格好になっているではないか。これでは、『こちらにどうぞ』と日本列島縦断に向け、台風をいざなっているようなものである。気圧配置に意思があるわけではないが、「これでもか!これでもか!」と弱いものいじめをするいじめっ子とイメージが重なってしまう。
 四国をかすめ近畿地方に上陸した20日夜のNHKテレビは、台風のニュースを流しっぱなしだ。ニュースを見ながら「本州の中央部を縦断する予想コースをそのままたどることになれば、さらに被害は拡大するな」と、心配していたが果たしてそのとおりになってしまった。相次ぐ台風の襲来で、これまでに被害を受けた地方の方々は、「もううんざり」だろう。しかしながら、自然現象はこちらの思い通り行かないことが多く、『お願いだから、降水量の少ない乾燥地帯で降ってくれ!』と、どれだけ願っても雨の神様は聞き入れてくれそうもない。恵みの雨も度を越すと、ありがた迷惑である。しかも、水害や土砂災害などにより、人命や財産に被害をもたらすようになると、ありがた迷惑どころか厄介者である。洪水は、海草や魚介類の成育に必要なミネラルを土砂とともに海に供給する役割も担っているが、「その程度の暴れ方で収めてほしい」との切なる願いもむなしく、上陸のたびに悲しいニュースが報道されることになる。

 今回もまた各地で被害が相次ぎ、22日朝のニュースによれば「死者67名、行方不明20名」の大災害となり、台風の被害としては過去20年間で最悪の記録となってしまった。各地から送られてくるニュース映像は、どれもこれも衝撃的だ。わずか数時間前までごく普通の生活をしていた人々が、家屋が、町並みが見るも無残に変わり果てた姿は、災害の恐ろしさをまざまざと見せ付けてくれる、と同時に人間の非力さも再認識させてくれる。調査が進めば、被害はまだまだ広がるだろう。道路や電気、水道など生活に必要な最低限のインフラ確保もままならない地域もたくさんあるのではないだろうか。そんな暗い話題の中で、「一面に広がる泥水の上にわずかに突き出た観光バスの屋根で一夜を明かした人たちや、富山湾で荒波のために漂流・座礁した海王丸の訓練生のように、あわや大惨事という危機的な状況から奇跡的に助かった人たちも数多くいた」ことは、数少ない明るいニュースだ。
 一方で、度重なる台風の襲来と長雨により農産物の被害も広がっており、野菜の高騰がニュースになり始めた。生産者にとって死活問題であると同時に、直接的な被害を被っていなかった都市圏住民にも、懐具合をじわりじわりと締め付ける形で影響が出始めた。

 こういった暴風雨による被害は、日本ばかりでなく地球規模で発生している。特に最近では、中米のカリブ海でも巨大ハリケーンが猛威を振るい、沿岸諸国に多大な被害を与えている。これらの台風やハリケーン、あるいは南アジアを襲うサイクロンの持つ圧倒的な破壊力を軽減・コントロールすることは、残念ながら人類の英知を集めた科学をもってしても不可能だ。人間は自然の中で生かされていることを、いやがうえにも実感してしまう。
 ところが、自然の中で生かされていた人間が神の領域に土足で踏み込み、地球規模の気候変動に大きな影響を与え始めている、と危惧する気象学者もいる。ACC(anthropogenic climate change:人為的気候変動)と呼ばれるもので、突然の急激な気候変動を起こすらしい。巨大で猛烈な強さの台風やサイクロンの発生・襲来はその予兆なのかもしれない。すこしでもACCの発生を抑制するためには、その可能性としてわずかに我々に残されている環境保全への取り組みを積極的に行い、個々人が自覚と責任を持って生活するしかないようだ。
 いずれにしても、24号がすでに控えているように、日本における台風や集中豪雨の被害は、今後も無くなりそうにない。自分たちの住む町の周辺を日ごろからよく観察し、いざというときには適切な対応がとれる準備をしておく必要がある。その準備の手助けになる本を紹介しよう。奥園誠之の「これだけは知っておきたい 斜面防災100のポイント」(鹿島出版会)と土砂災害対策研究会編の「土砂崩れの恐怖と対策」(鹿島出版会)である。やや専門的な内容のところもあるが、一般向けに書かれているので読みやすいと思う。ぜひ、役立てていただきたい。

【文責:知取気亭主人】


『これだけは知っておきたい
       斜面防災100のポイント』
【著】奥園 誠之

出版社】:鹿島出版会
【発行日】:
1986年11月20日
【ISBN】:4306022455
【ページ】:172p (19cm)
【販売価格】:\2,310(税込)


『土砂崩れの恐怖と対策』
【編】土砂害対策研究会

出版社】:鹿島出版会
【発行日】:
1982年10月
【ISBN】:4306021858
【ページ】:138p (19cm)
【販売価格】:\1,470(税込)

 

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