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『豆腐一丁の丁は何の丁?』

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   2004年 11月 19

 先日面白い情報を仕入れたので、皆さんにご披露したい。情報源は、おなじみのNHKラジオである。いろいろな物の数を数えるときの「数え方」、つまりどんな単位を使って数えるかという話題で、紹介されたものは(1)握り寿司、(2)豆腐、(3)箪笥、(4)イカ、(5)箸、(6)折り詰め弁当の六つである。さて、皆さんは幾つ知っているだろうか?
 まず、握り寿司であるが、これは「」が単位である。最近はやりの回転寿司で、『一貫からご注文できます』といった文言が書かれたお品書きをよく目にするようになり、私もこの単位は知っていた。ところが、「一貫とは、一個か二個か?」が店によってまちまちのようだ。どちらが正しいのだろうか。答えは、二個である。
 江戸時代に屋台で売られたのが握り寿司の始まりで、当時の寿司は大変大きくて丁度一文銭を千枚集めたほどの嵩(かさ)が有ったとのことだ。「貨幣の単位では一文銭千枚で一貫となるところから、この大きな寿司一個を一貫と呼ぶようになった」、これが「貫」使用の真相らしい。ところが、当初の寿司はあまりにも大きく、やがて二つに分けて客に出すようになり、今ではどこの寿司屋に行っても大体二個一組で握られてくる。これが回転寿司であれば一皿に二個乗っている原点だ。つまり、寿司の単位「貫」は寿司の大きさを表現したのもで、「二個で一貫」が正解である。

 次に豆腐はどうであろうか。これはほとんどの人が知っているだろう。「」である。では、なぜ丁と呼ぶのだろうか。時代劇に良く出てくる「丁半ばくち」で使われている「丁」と同じ意味、つまり「偶数を表す丁」がその原点であるとの解説だ。パック入りの豆腐がなかった時代には、豆腐の入った荷車を引き鐘の音を響かせ街角を売り歩く豆腐屋さんを良く見たものだ。今では滅多に目にすることはないが、金沢の古い町並みでは最近でも時々目にすることができる。

『豆腐屋さん!』と妙齢のご婦人に呼び止められると、荷台の水の中に沈められた豆腐を手の上に乗せて器用に二つに切り、ご婦人が持ってきた器に移し『ハイ!一丁』と手渡すオヤジの声が妙に嬉しそうだ。

 こんな風景を脳裏に浮かべてみてほしい。そう、もう気が付かれたかと思うが、奇数(一つ)だった豆腐を切って偶数(二つ)にし、[ハイ!一丁]=[ハイ、二つ]と売っている訳である。つまり、「このときの売り言葉がそのまま単位になった」のが「丁」使用の由来であるらしい。刃物(包丁)は使うし掛け声はばくちと同じとなれば、荷車を引いて売り歩く風情のある風景とは裏腹にばくち好きの豆腐売りを想像してしまう。そういえば、豆腐もサイコロも同じ形をしているのは偶然の一致なのだろうか。

 箪笥、中でも和箪笥の数え方を知っている方は、かなり人生経験を積まれた方だろう。「棹(さお)」である。今時の和箪笥には付いていないようだが、骨董屋さんで目にする昔の箪笥には牛の鼻輪のような金具が必ず付いていた。何のためかといえば、この金具に棹(棒)を通して担ぐためにあったらしい。そこから、「一棹で担げる量」ということで、箪笥の単位として「棹」が使われるようになったとのことだ。同じタンスでも和箪笥以外には使わないそうで、金具が付いていない今の和箪笥も含め「一本、二本…」の数え方が分かりやすくて私は好きだ。旺文社発行の「国語辞典」の最後尾に付録として付いている「数量呼称一覧」には、「棹」と共に「本」もタンスの単位として記載されている。

 
  箪笥の材料としてよく使われる桐の花

 


 さて、これまでは語源を紹介してきたが、残りの三つについては「状態や時代で数え方も変わる」という話題である。
 まず、酒の肴として私の大好きなイカについて紹介しよう。イカに関する語源の説明は無かったが、『その時々によって数え方が変わる』と言われて、『なるほど』と感心した話題だ。よく使う単位は、皆さんご存知の「杯(はい)」である。ところがラジオの解説者によれば、海で生きているときは「匹」で数え、「杯」を使うのは捕獲されてから消費者の口に入るまでらしい。干されてアメ色のスルメになると「一枚、二枚、……」とこれまた変わる。確かにスルメを「一杯、二杯」とは数えない。ちなみに、先ほど紹介した国語辞典には、タコも「杯」もしくは「匹」と呼ぶと記載されている。

 残りの箸と折り詰め弁当については、時代と共に数え方が変わってきた話題である。箸は、皆さんご存知のように「膳(ぜん)」である。では、割り箸はなんと数えるのだろうか。コンビニで複数の弁当や惣菜を買うと、『お箸は、何本お入れしますか?』とか、『幾つ入れますか?』と聞かれることがほとんどで、『何膳お入れしますか?』と聞かれたことがない。ラジオでも同じような話題でひとしきり盛り上がり、結局『手元のところで繋がっているから良いのかもしれませんね』との話であった。しかも、“菜箸(さいばし)”や“火箸”などは一膳、二膳と数えずに、『一組』とか『二そろえ』と数えるらしい。形や用途によって数え方が違うとなると、箸の仲間でも「膳」の単位を使うのは、「お膳(料理をのせて出す台)の上に載せてふさわしい箸」だけなのかもしれない。だとすれば、ほとんどの家庭でお膳を使っていない今の時代、「膳」ではなく「一本、二本、……」と数えるのも時代の趨性なのだろう。
 折り詰め弁当も箸と同じように数え方が変わってきているらしい。駅弁の幕の内弁当を連想させる折り詰め弁当は、「折(おり)」が数え方の単位である。ところが、「コンビニなどで買うときは、おにぎりやパスタなどの弁当と区別が無く『一つ、二つ、……』と数えてしまう」というのが、出演者の一致した意見だ。私もそうだ。「折」などという洒落た単位を使った記憶はない。薄板で作られた折箱が姿を消し、プラスティックの容器が主流になってきた現代では、死語になる運命なのかもしれない。寂しい気もするが、日本語そのものが時代と共に変化してきたこれまでの歴史を考えれば、これも致し方ないことなのだろう。

 さて最後に、前回紹介した本「家族を守る 地震・防災マニュアル手帳 女性にできる日常の注意」についてのお知らせをしたい。我が社の社員が出版元に問い合わせをしたところ、「現在絶版になっていて増刷する予定もない」との返事をもらった。したがって大変申し訳ないが、紹介したものの手に入れることができない。ただ、その代わり11月18日に「家族を守る 大地震対策マニュアル」(ISBNコード:4‐8347‐5487-1 定価¥600)が新たに発行されるとの情報を得た(16日現在)。内容を確認しないまま推薦するのは心苦しいが、紹介した本の代わりにこちらの本を参考に、地震への備えをしていただければと思う。

【文責:知取気亭主人】

 

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