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国民的アイドルの声が変わる。1979年以来25年間もの長い間、お茶の間を楽しませてくれた「ドラえもん」のメインキャスト5人(ドラえもん、のび太、しずかちゃん、スネオ、ジャイアン)のあの聞きなれた声が変わるのだ。5人の声優が皆還暦を過ぎ、年を取り過ぎたというのが理由らしい。ジャイアン役のたてかべ和也さんは、御年70歳になられるそうだ。時代の流れには逆らえないと言ってしまえばそれまでだが、永年慣れ親しんできた我が家の家族をはじめ、あの声を聞いて育ってきた日本国中の子どもたちにとっては、新しい声がとても気になるところである。
『ボク、ドラえもん』
『ハイ! タケコプター』
『どこでもドア』
など、こうやって文章に書いていても、大山のぶよさんのあのしゃがれた独特な声が耳によみがえってくる。あの声を思い出すと、不思議なものでドラえもんのユーモラスな顔や仲間たちとのほのぼのとしたやり取りまでもが浮かんでくる。サザエさん共々、親子で楽しめる数少ない番組なだけに、これまでのイメージが大きく変わることだけは避けてほしいと願っている。
子どもの心を育んでくれるという意味では、
“げすな話題”や“品性のない笑い”で盛り上がっている娯楽番組が多い中で、大変秀逸な番組だ。一昔前までならどこにでもいた純朴な子どもを中心にした日常生活の描写は、すさんだ大人の心をも和ませてくれる。主題歌の中にも詠われていた『♪こんな事いいな 出来たらいいな あんな夢 こんな夢 一杯あるけど みんなみんなみんな 叶えてくれる…♪』というように、天真爛漫な夢を叶えてくれるドラえもんは、小さな子どもの憧れに違いない。実は私も、あの「四次元ポケット」には特に強く憧れているのだが……。
二十歳を過ぎた我が家の子どもたちに、『ドラえもんの道具にはどんなものがあった?』と聞いたところ、“よくもまあ覚えているな!”と感心するくらいスラスラと書きだしてくれた。やはり、我が家の子どもたちにとっても憧れの的だったようだ。純真な心に響いた言葉や映像は、清濁併せ呑むことができる年齢になっても鮮明な記憶として残っている事を再認識させてくれた。
では、彼らが書き出してくれたものをいくつか紹介しよう。ドラえもん世代の人達には是非懐かしんでいただきたい。まず最初に出てきたのは、「ライトを当てると物を小さくすることができるスモールライト」と、その逆で「物を大きくすることができるビッグライト」だ。子どもが多く競争の激しかった我が家ではおやつのあたりも少なく、“あの焼き芋にビッグライトを当てて大きくしたいな”という思いがきっと強かったに違いない。その強い思いが記憶に留めさせたのだろう。今から思えば、かわいそうなことをしたものだ。ところで、これらのライトは地球温暖化防止にも大いに役立つ優れものだ。輸送中の物資を小さくしておけば、大量に効率よく運べるからだ。パソコンをポケットに入れて持ち運ぶことも可能で、重い出張バッグの持ち運びからも解放される。
次に書き出してくれたのは、「食べると外国語を話したり理解できるようになる翻訳こんにゃく」だ。食べるだけで外国人と自由に会話が出来るなんて、私もほしい。英語嫌いもいなくなるだろう。
三つ目は、最近増えている子供や女性を狙った犯罪から身を守ることが出来る防犯グッズだ。刃物も火薬も使わない武器でしかも相手を傷つけることがない。しかし倒すことは出来る。「手にはめて“バン”と言うと空気の固まりが飛び出し、敵を攻撃する空気ピストル」がそれだ。インターネットで調べてみたが、これよりも威力の勝る「空気砲」もあるようで、息子達に両者の違いを聞いてみた。もう10年以上も見ていないというのに、記憶は鮮明で事細かに説明してくれた。チョッピリ寂しくもあるが、どうやら勉強や親についての記憶より印象深いようだ。
「壁にフープを貼ると向こう側に通り抜けることが出来る通り抜けフープ」も書き出してくれた。「どこでもドア」との違いが分からず、これも子どもたちに聞いてみた。自分の行きたいところに行けるのが「どこでもドア」で、壁でも地面でも反対側に通り抜けられるのがその名の通り「通り抜けフープ」という説明なのだが、どうもピンとこない。めちゃくちゃ便利なこのドア一つあれば壁の反対側にも行けるような気がするのだが……。おっと無粋な勘ぐりはやめておこう。折角の夢が壊れてしまう。小さい頃見た夢はいつまでも大事にしたいものだ。そう言った意味では、新しくなったドラえもんもこれまでのドラえもんと同じように多くの子どもたちに夢と希望を与えてくれることを望んでやまない。 |