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2005年
3月
4日
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チンボラソ山。このへんてこな名前を聞くと、世界地図を広げて空想の世界を探検していた青春の日々が、走馬灯のようによみがえってくる。変わった地形や地名を何かに結びつけたり、あるいは遥か古代に思いを馳せ「氷河期や温暖期の世界地図」を創造していたあの“ゆったりとした時間の流れ”が懐かしい。
それにしても、地図を見ていて抱いた『けったいな名前だな』という一点だけで、その後約40年間も覚えていようとは、本人もビックリだ。「興味を持つ」ということがいかに記憶に役立つのかを再認識させてくれる。井上ひさしは、物事をやりぬくときの心構えとして、『難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く』と言っているが、その通りだと思う。そういった意味では、多少のスケベ心も時には役に立つものだ。 |
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チンボラソ山は、南米大陸の西縁に沿うよ
うな形で連なるアンデス山脈の一角をなし、
ここが重要だが“赤道直下の国エクアドル”
に位置している。標高は6,310mである。
エクアドルは、右の地図に示したように南
米大陸が太平洋側に一番膨らんだ辺りに位置
している。首都はキトといい、ほぼ赤道直下
にある。北側をコロンビアと接し、東側から
南側にかけてはペルーに囲まれている。西側
には太平洋が広がり、約1000km沖合いには
進化論のふるさととして知られた「ガラパゴ
ス諸島」がある。また、その周辺海域はエル
ニーニョやラニーニャの発生域として、世界
中の気象学者が注目するところでもある。最
近では、同国産のバナナも店頭で見かけるよ
うになり、比較的身近になってきている。
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さて、このけったいな名前の山が何故再び脳裏によみがえってきたかと言えば、朝日新聞の天声人語に載った「地球上にはエベレストより高い山があり、その山がチンボラソ山だ」の記事を読んだからだ(平成17年1月21日)。エベレストの標高は8,848mとされていて、単純計算すれば両山の標高差は2,500m以上あることが分かる。しかしながら、高さの基準を代えると、エベレストは世界一の座から滑り落ち、代わって我がチンボラソ山が躍り出るのだという。それを確認すべく、天声人語に紹介されていた「地球が丸いってほんとうですか?
測地学者に50の質問」(日本測地学会監修、大久保修平編著、朝日新聞社)を読んでみた。
我々が地形などの高さで使う「標高」は、平均海面(ジオイド面)からの高さであることは良く知られているところだ。例えば、日本における「高さの基準」は、神奈川県三浦市にある油壺験潮場の観測から求められた「東京湾平均海面」であり、これをゼロとしている。富士山もエベレストもチンボラソ山も場所こそ違えどこかの平均海面からの高さを標高として表している。したがって、今地球規模の環境課題として叫ばれている温暖化が加速度的に進み、海水面が上昇すれば、それぞれの山の高さは必然的に低くなるはずである。このように、我々が生活する上で便利な高さの基準「標高」は、地球を覆う平均海水面を基準にしている。それでは、それに代わってどんな基準を用いるとチンボラソ山が一番高くなるのだろうか。
話は少し横道にそれるが、皆さんはこんな経験がないだろうか。座ったときに邪魔になっていた腹の贅肉が、上向いて寝た状態で腹に手をやると思いの外へこんでいて、『俺って、以外と腹出てないんだ!』と気持ちよく寝たのに、朝になって鏡に映る“たるんだ腹”が前日と何ら変わらなかったことに気付き現実に引き戻されたことが。だぶついた肉は重力に従順で、ただ単に脇腹と背中に回っただけなのだが、あまりの違いに錯覚してしまうのだ。このように、ものに力が加わるとその力の方向に変形しようとする。実は、堅い地球も贅肉と同じように変形しているのだ。
地球は北極と南極を結んだ方向を回転軸として、高速度で自転をしている。この自転のために、地球には大きな遠心力が働いて回転軸から遠く離れれば離れるほどその力は大きくなり、一番大きな遠心力が働くのは赤道ということになる。したがって、宇宙からみた地球は真球のように見えるが、実際には両極を両手の手のひらで挟み押しつけたように、僅かではあるが赤道付近が膨らんだ形をしている(回転楕円体)。当然ながら平均海面も極地方から赤道に向けて膨らみを増し、赤道で最大になるわけである。
では、どのくらい膨らんでいるのだろうか。「標高」に代わる高さの基準として“地球の中心(重心)からの距離(地心距離)”を用いて比べたデータが本書に記載されている。それによれば、それぞれの海面までの地心距離は、赤道の海面までが約6378.1km、北極の海面までが約6356.7kmと、赤道海面が約21.3kmも大きくなっている。したがって、標高ではなく地心距離を基準にすると、赤道付近の山が俄然有利になることがわかる。チンボラソ山の位置は赤道付近、エベレストは北緯28度付近にあるが、この位置関係が明暗を分けることになる。世界一に輝いたチンボラソ山の地心距離6384.458kmに対して、エベレストは約2.2kmも短い6382.270kmとなってしまい、世界一の座を滑り落ちるどころか32位まで順位を落としてしまうそうだ。当然のことながら、二番以下には赤道付近の山が続くことになる。
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【文責:知取気亭主人】 |
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『地球が丸いってほんとうですか?』
【監修】日本測地学会
【編著】大久保 修平
【出版社】:朝日新聞社
【ISBN】:4022598522(2004/05/25出版)
【ページ】:277p (19cm)
【販売価格】:\1,260(税込) |
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