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机の周りを整理していて懐かしい文章を見つけた。ある集まりのメンバーに送った例会開催の案内文だ。日付は、1997年7日8日とある。文面を読んで、『ああ、そんなこともあったな』と懐かしい記憶がよみがえってきた。
「……梅雨空の遥か彼方では、アメリカの威信を懸けたマーズ・パスファインダーが無事火星に降り立って、大変興味深い映像を送ってきています。見上げれば米粒にも満たない気の遠くなるような彼方に、予定どおりの時間と場所に探査機を送り届けるばかりでなく、その探査機をこの地球から遠隔操作をしてあのような鮮明な画像を撮影し、地球に送信してくるなんて、ただただ驚嘆するばかりです。暑さも忘れて、テレビ画面に見入っています」
そう、探査機マーズ・パスファインダーが火星に降り立ち、人類史上初めてとなる無人探査車(ローバー)を駆使して、火星表面の様子を地球に送り届けたときの私の感想だ。早いもので、あれからもう8年も経つ。
テレビの前に釘付けになり感動させられた20年以上も前のアポロ計画のときと同じように、8年前もアメリカの技術力の高さと強大な国力に感心するばかりだった。最近でも中国が世界で三番目の国として有人宇宙船「神船」の打ち上げに成功し、宇宙開発に関して言えば日本はアメリカ、ロシア、中国の後塵を拝している感が否めなかった。ところが、「日本の宇宙開発技術も捨てたものではないな」との思いを抱かせる壮大な試みが、今行われようとしている。
2003年5月に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」が約2年半もの長旅の末、今やっと地球から約3億km離れた小惑星「イトカワ」にわずか約3.5kmまで近づき、ある任務を成功させるべく最終段階に入っている。
「イトカワ」は、日本のロケットの父「糸川博士」にちなみ名付けられた小惑星で、新聞に掲載された写真を見ると“細長いジャガイモ”のような形をしている。大きさは長さ約500m、幅約300mと宇宙の中では芥子(けし)粒にも満たない大きさだ。この小惑星に着地して直径約1cmの金属球を打ち込み、衝撃で吹き飛んだ砂や岩石の破片を採取して地球に持ち帰ることが、「はやぶさ」に課せられた任務だ。成功すれば、月以外の天体から試料を持ち帰る人類史上初めての快挙となる。日本の宇宙開発技術もたいしたものではないか。順調に行けば地球への帰還は2007年6月だという(2005年9月13日、朝日新聞朝刊)。足掛け4年に及ぶ遥かな旅路だ。
このミッションの計画主体である宇宙航空研究開発機構の発表によれば(10月27日)、準備作業が順調に行けば今月(11月)の12日(土曜日)と25日(金曜日)に試料採取を実施する予定だった。ところが、11月4日に行ったターゲットマーカおよび探査ロボット「ミネルバ」の投下などを目的としたリハーサル降下試験で、高度約700m付近まで降下したところで自律航法機能の航法誤差が許容値を逸脱したため、作業は中断された。要するに目的地を見失ったのだ。原因は、予想以上の複雑な起伏によるらしい。
その結果、12日と25日に計画されていた着陸と資料採取の本試験のスケジュールを見直すという(http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hayabusa/index.shtml)。着陸と試料採取の実施は計画より多少先に延びたけれども、火星より遥かに遠く小さい天体に探査機を送り届け、それを帰還させるとは大したミッションだ。日本の威信に懸けても是非成功させてほしいものだ。
近日中に試料採取を行うだろうが、間近に迫った人類最初の快挙に目が離せない。皆さんも、上記アドレスにアクセスして、「はやぶさ」の成功を見守っていて頂きたい。そして、まだミッションの半分に過ぎないが、試料採取が成功した暁には大いに祝杯を挙げようではないか。人類初となれば、我が家の大蔵省もまさか反対はしまい。
さて、最後に前回出した宿題の解答を書いておかなければならない。答えは、「ブルペン」だ。如何だっただろうか。野球好きな人には易しかったかも知れないが、正解した人はかなり発想力が豊かだ。自信を持っても良い。ただ、残念だった人は勿論、正解した人もさらに発想力に磨きを掛け、是非豊かな、楽しい人生を送って頂きたい。 |