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『今、方言が新しい』

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   20051130

 またも残酷な事件が発生した。広島市で小学校1年生の女の子が下校途中に殺された。まだ7歳のいたいけな子に、むごいことをするやつがいるものだ。ご両親の心中を察するにあまりある。力の無い子供、可愛い盛りの幼子を手にかけるなんて、人間のやることではない。手塩にかけた親にすれば、「切り刻んでやりたい」と犯人を憎んでいることだろう。他人の私でもそう思う。ただ、幸いにもこの原稿を書いている最中に、インターネットで「容疑者逮捕」のニュースが配信された。これが「事件解決」に繋がるよう願ってやまない。
 一方、前話で取り上げた「構造計算書の偽造問題」も全国に広がる様相を見せ、問題の根深さを感じさせる。建築確認のずさんな現状を知るにつけ、偽造は姉歯建築士だけに留まらず、全国の建物で行われているのではないかとさえ思えてしまう。それを裏付けるようなまことしやかな噂話が私の耳にも届くようになってきた。不安をあおるような無責任な噂話は厳に慎まなければならないが、建築確認の手続きに関する根本問題を洗い出し、国民が安心して委ねることが出来る確認システムを一日も早く再構築してもらいたいものだ。

 それにしても、こうも暗い話が続くと気分が滅入ってくる。「こんなときには明るい話題で気分一新を図るのが一番だ」ということで、“最近手に入れた”、もとい“最近耳に入れた”明るい話題を紹介したい。
 11月23日、NHKラジオで面白い番組をやっていた。「今日はいっしょにお国言葉で語り合おう」という番組だ。秋田県出身の「あき竹城」や広島県出身の「風見しんご」、鹿児島県出身の「国生さゆり」などの出演者が、お国言葉を自在に操りながら色々な話題について語るバラエティー番組だ。久しぶりに得した気分にさせてくれた番組だった。ホットで愉快な情報を得ることが出来たので、皆さんにも紹介したい。

 今、東京渋谷の女子高生の間で、方言が流行しているというのだ。しかも、一昔前のように「地方を馬鹿にするときに使う」というものではなく、方言が持つ独特の響きが「癒し」や「優しさ」に繋がり、その場の雰囲気を和やかにする効果があるという。
 例えば、“デラ”という言葉がはやっているそうだ。京都に住む次女が何故だか知っていたところをみると、すでに全国を凌駕したのかもしれない。番組に出ていた先生の解説によれば、これは元々名古屋弁で“とても”とか“大変に”を意味する“どえらい”が変形した言葉で、さしずめ名古屋弁の比較級veryに当たるものだとか。その場の雰囲気を和やかにする効果があるという意味では、息子たちがよく言っていた「チョーむかつく」よりは、確かに「デラむかつく」の表現のほうが優しく聞こえる。今の若者も人間関係には結構気を使っているのだ。
 この“デラ”のように一地方の方言だったものが一旦東京で広まり、やがて全国区の言葉として定着したものがいくつかある。例えば、NHKラジオで紹介していたのは、若者が良く使う “うざい”だ。これは多摩地方で使われていた「煩わしい」という意味の“うざったい”を縮めた言葉で、まず東京の若者の間で使われるようになり、やがて全国に広がっていったとの説明だ。いつの頃からか、我が家の息子も良く使っていた。
 この他にもどんな方言だったかは忘れたが、渋谷の女子高生は秋田弁や津軽弁など幅広いお国言葉を使い、和やかなコミュニケーションを図っているらしい。今や方言は、若者たちによって新しい文化に生まれ変わりつつあるようだ。やはりいつの時代になっても、若者は“古い文化の破壊者”であり“新しい文化の創造者”なのだ。

 “新しい文化の創造者”という意味では、次に紹介する“中年の若者”は、まさにその中心人物なのかもしれない。彼の名前は「伊藤秀志」。方言の宝庫である秋田に育ち、これまた明るい方言が特色の名古屋を中心に活動しているシンガー・ソングライターで、番組の中で素晴らしい歌を披露してくれた。歌の題名は「大きな古時計 ZUZUバージョン」だ。
 ご推察のとおり「大きな古時計」を“ズーズー弁”で歌っているのだが、一語一語注意して聞いていないとまるでフランス語のように聞こえてくる。彼自身も「如何にフランス語っぽく聞かせるか」に腐心したと語っていたが、とても心地よい不思議な世界にいざなってくれる。方言の魅力を再発見した瞬間だ。
 「これは買わなければ!」と、早速CDを探しに行った。見つけた、見つけた。お目当ての曲を始め、「夢の中へ」や「赤ちょうちん」など12曲が“ズーズー弁”で納められた方言オンパレードのCDで、タイトルを「御訛り(ONAMARI)」という。期待したとおり傑作だ。ジッと聞いていると、しばし浮世の憂さを忘れさせてくれる。ありがたいことに、顔の筋肉をほぐしてくれる特効薬を見つけることが出来たようだ。
 このCDは、私と同じように顔の筋肉が硬くなり、浮世の憂さをたくさんお持ちの方にはお勧めだ。あなたの特効薬として、伊藤秀志の「御訛り」をお忘れなく。

 さて、最後に明るい話題をもう一つ。話の流れで今回は最後に回した小惑星探査機に関する情報だが、我らが「はやぶさ」が見事大任を果たしてくれた。“バンザイ!”だ。かなり大々的に報道されているのでほとんどの方は既に知っているだろうが、おさらいをしておくと、11月26日に見事「着陸」に成功し、懸案だった「試料採取」にも成功した模様だ。この成功に500点満点をつけた専門家もいる。
 ただ発表によれば、29日現在、姿勢制御用のエンジンが不調になっているため、地球への帰還にはまだ予断を許さない状況にあるとのことだ。燃料不足も懸念材料だ。しかし、なんとしてでもサンプルの入ったカプセルを回収してもらいたい。
ガンバレ、ハヤブサ! ガンバレ、スタッフ! 

【文責:知取気亭主人】

『御訛り-ONAMARI』 
 
伊藤秀志

発売元】:日本クラウン株式会社
【CRCN】:20293
【価 格】:\2,800(税込)

  01 夢の中へ
<ZuZuバージョン>
  02 東京
<ZuZuバージョン>
  03 赤ちょうちん
<ZuZuバージョン>
  04 案山子
<ZuZuバージョン>
  05 BROKEN-HEART
  06 SA・SYELE-TA
  07 亜麻色の髪の乙女
<ZuZuバージョン>
  08 サボテンの花
<ZuZuバージョン>
  09 SYMPHONY
   10 大きな古時計
<ZuZuバージョン>
  11 クラリネットをこわしちゃった
<ZuZuバージョン>
  12 UNDABA-SYEBANA

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