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『既得権益の牙城を崩せ』

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   2005年06月17

 何ともすごい名前の給料手当があったものだ。 しかもその“すごい名前”そのものに違和感を覚えることもさることながら、支給されている趣旨を読んで程度の低さに思わず笑ってしまった。正式名称ではなく通称とあるから多少は安堵を覚えるのだが、それでもその手当が存在している世界では普通に使われ至極当然の支給だと思われていたのだろう。その感覚がわからない。しかも、「庶民感覚からずれている」との指摘を受け、さっさとやめてしまえばよいものを未練がましく段階的に廃止していくのだという。根本的に庶民の感覚が全く分かっていない。

 私が腹を立てている手当とは、国会職員に年一回支給されている「国会特別手当」、通称「乱闘手当」と呼ばれているものだ。聞いたこともない名前のこの手当は、「60年安保」当時、日米安保条約改定をめぐる与野党議員の乱闘騒ぎが絶えず国会職員が巻き込まれて負傷する恐れがあったため、「勤労の強度が著しい事務に従事する職員」に事実上の危険手当として1960年から支給されているのだという。ところが実際には乱闘がなくても支給されていて、2004年度には衆院職員1674人に計3億6400万円が支給されていたそうだ(YOMIURI ONLINE、asahi.com 6月15日)。一人当たり21.7万円もの支給である。しかもすべて我々国民が納めた税金である。腹が立って仕方がない。しかも、こんなうまい話を仲間が聞き逃すはずもなく、当然参院でも同じように1960年から支給されているのだそうだ。
 6月14日に開かれた衆院議員運営委員会の庶務小委員会で取り上げられたことがニュースに流れ、我々庶民の耳目を集めることになった。やっと廃止することが決まり、2006年度から管理職、2008年度から全廃することにしたという。借金まみれの日本国収支なのになぜ今年度(2005年度)から全廃しないのだろうか。庶務小委員会で決めてしまえばそれで済んでしまうことなのに、「身内意識や親方日の丸根性が見え隠れする」と感ずるのは下種のかんぐりだろうか。民間会社であれば、即全廃だ。

 「危険手当」と呼ばれる特殊手当は、私の感覚では命を落とす危険性が高い職業とか、明らかに劣悪な環境で長時間にわたり作業をしなければならない職業などに支給されるもので、日本で最も安全で職場環境の良いと思われる国会で働く職員に当てはまるとはとても思われない。確かに国会中継を聞いているとヤクザ顔負けの野次を飛ばす議員も多いことは事実だが、国会議員は総じて年寄りが多く乱闘によって誰かが病院に担ぎこまれたとか、議員や職員が死んだという話もこれまで聞いたことがない。仮にも日本の行く末をカジ取りする国会の場で乱闘をすること自体が恥しい限りなのだ。しかも、百歩譲って乱闘により怪我をする可能性があったとしても、損害保険で補填する制度を確立すれば簡単な話で、あまりに庶民感覚とずれた手当は「お手盛り」と言われても仕方がない。

 国会職員は一般の公務員と異なり独自の「国会職員法」で身分を保証されていて、「停職」がない懲戒処分規定や人事院勧告などに縛られない給与体系など、これまで優遇されてきた国会独特の制度に批判が出ていたのだそうだ(YOMIURI ONLINE、asahi.com 6月15日)。「停職」がないとは我々庶民からすると随分浮世離れした世界だ。だからこそ世の批判も浴びずに、「既得権益」とばかりに温存されてきたのだろう。
 これまで明らかにされてこなかったこのようなお手盛り待遇が、ここにきて急に国民の前にさらけ出されるようになってきた。大阪市職員を始めとしてとんでもない厚遇が明らかにされているが、やはり情報公開法の施行によるところが大きい。では翻って、今回の国会職員の場合もそうなのだろうか。私はどうもそればかりではないような気がする。

 実は、国会議員よりも高給取りの国会職員がいるらしく、そのあたりが国会職員の給与も含めた待遇見直し要因の一つになっているのではないかと私は見ている。
 国会議員の年間歳費は2004年に1割カットになり2077万円となっているのに対し、国会職員では国会図書館長の3400万円を最高に19人が国会議員を上回っている。このため、3月10日に開かれた図書館運営小委員会では、図書館長らの高級ぶりに批判が集中したのだそうだ(YOMIURI ONLINE、 3月11日)。
 要するに、国会議員にすれば『何で俺達より高給をとっているのだ』と憤懣やるかたない気持ちになったことは想像に難くない。当然、『俺達は納得できん』の声が挙がっただろう。しかし、そうは言えないから『このままでは、国民(本当は俺達)が納得するはずがない。やはり給料を下げよう』ということになったのではないだろうか。その一連の動きの中で今回の「乱闘手当廃止」に至ったとはあまりにうがった見方だろうか。
 労働者、弱者の味方を標榜する公務員の組合が国民の批判を受けても既得権益を何とか守り抜こうとする姿を見ていると、あながちうがった見方ではないような気がしてしまうのがやりきれない。やはり、国民の公僕として襟を正してもらうには、既得権益の牙城を崩すのが一番だ。

【文責:知取気亭主人】

     

 

   (知っているけど)シラン

 

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