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広辞苑によれば、黄砂は「黄色の砂、中国大陸北西部で黄色の砂塵が天空をおおい、下降する現象。三〜五月に多い」と説明されている。一方、気象庁では、「主として、大陸の黄土地帯で吹き上げられた多量の砂の粒子が空中に飛揚し天空一面を覆い、徐々に降下する現象」と定義し、視程が10km未満になると「大気現象の記事」として記録している。ただし、1989年4月以降は10km以上でも明らかに黄砂現象と判断される場合は「黄砂」と記録しているとある。
黄砂の発生源は、中国内陸部に広く分布するタクラマカン砂漠やゴビ砂漠、そして黄土高原などの乾燥・煩乾燥地域で、発生源全域を指す言葉として水が少ない意味の「沙漠」がドンピシャの地域だ。この地域で数千メートルの高さまで巻き上げられた土壌粒子が偏西風に乗り、中国国内はもちろんのこと、お隣の韓国や日本、遠くはアメリカ大陸まで運ばれ、下降する事になる。『海にあるような重たい砂が、あんな遠いアメリカ大陸までよく運ばれるものだ』と思われるだろうが、実は「砂」という漢字を使ってはいるが、粒径上はダスト(10μm=1/1000mm程度)に分類されるほど細かい。まさに塵だ。
いくら細かくても発生源の近くに落ちる量が多いのは道理で、お膝元の中国では視程が1kmを切ることもあり、時には「黄砂の影響で北京の視界が数十メートルしかない」といった記事が日本の新聞に載ることもある。そんな記事を読むと、4〜5年前北京に住む中国人に聞いた「毎年30Kmのスピードで砂漠が北京に近づいていて、やがて北京は砂に埋もれてしまう」という話もにわかに現実味を帯びてくる。ましてや、黄河の断流(上流の水が河口まで流れないで、途中から枯れ川になってしまう現象)日数が1997年には226日を数えたというレポート(大坪国順、王勤学「黄河断流の原因と対策」平成11年10月26日)を読むと、北京が楼蘭のようになってしまうのもさほど遠くないように思えてしまう。
黄砂現象は、地球温暖化や過放牧、さらには農地の拡大など人為的環境変化が原因とされているが、一旦拍車が掛かってしまった沙漠化をくい止める特効薬は今のところない。日本のボランティアが積極的に参加している植樹など緑化活動の地道な努力が必要だ。
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