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年明け早々暗い話で申しわけないが、やはりスマトラ島沖の巨大地震に関することから始めなければならいだろう。もう皆さんご存知だと思うが、地震に関するデータをざっとおさらいをしてみる。
発生日時:2004年12月26日午前7時58分(日本時間:午前10時頃)
地震規模:マグニチュード9.0
犠牲者数:15万人(1月5日現在)
行方不明:1万5000人(1月4日現在、NHK)
津波被災国:インドネシア、スリランカ、インド、タイなど12カ国
とにかくすごい地震だった。インド洋沿岸諸国で15万を越える犠牲者が確認され、正確な情報が得られていないスマトラ島北部地域や同島アチェ州などの被災状況が明らかになるにつれ、犠牲者の数はまだまだ増えるとの見方もある。また、30度を越える高温多湿の中、被災地は上下水道が未整備で衛生状態の悪い地域が多いため、コレラや腸チフス、あるいは赤痢など感染症の二次被害も危惧され、世界保健機構(WHO)は約500万人が危険にさらされていると警戒を強めている(1月4日、朝日新聞)。
被害総額は日本円で数千億円を超えるとの情報もあり、中にはインド洋に浮かぶ島国モルディブのようにGDPの2倍を越える壊滅的な被害を受けた国もあるようだ。また被災国の中には、インドネシアやスリランカのように雨季に入り、豪雨・洪水に見舞われ土砂崩れや道路崩壊など交通インフラに関する新たな被害が発生している地域もある(1月4日、朝日新聞)。このため、救援物資が空港には着いているものの被災者の手元に渡っていない事態も多く発生しているようだ。正に泣きっ面に蜂だ。
今回の地震では、阪神淡路大震災に多かった“建物倒壊による圧死”に代表される地震そのものの揺れによる被害よりも、震源地から遠く離れた国々や地域で受けた津波被害が特徴的だ。この津波による被害では、観光客の多いスリランカやタイのプーケット島で撮影されたビデオが繰り返し放映され、改めてそのすさまじい破壊力を見せつけられた。ビデオ映像を見るに付け、北海道南西沖地震で壊滅的な被害を受けた奥尻島青苗地区の惨状が蘇ってくる。場所によっては海岸から5qも内陸に入ったところまで津波の影響が確認されているとの調査結果もあり、波の高さは10mを越えたところもあるようだ。12月29日の朝日新聞には首藤伸夫・岩手県立大学教授がまとめた「津波の高さと被害程度」が掲載されていたが、それによると今回の被災地に多い木造家屋はたった2mを越える津波で全壊する。建物の痕跡がほとんど残っていない衛星写真を見ると、なるほどと納得させられてしまう。
また津波の伝播速度は、地震発生から各被災地に第一波が到達するまでに要した時間から、なんと時速700kmを越える猛スピードであったことがわかっている。すごいスピードだ。しかも津波に対する予備知識がほとんど無く、さらに情報収集や警戒・避難態勢も整備されていない国々での被災だっただけに、震源域から遠く離れていても未曾有の大災害になってしまった。津波に対する知識がいかに無かったかは、津波が足元を洗う直前まで逃げないで波を見ているビデオ映像に明らかだ。度々津波被害が発生している日本では考えられないことだ。やはり、体験が最も記憶に残る学習であることを再認識させられる。二度と同じような津波被害を受けないようにするためには、この体験を、この惨状を後世に伝え続けていくことが重要だ。
ここに、人間、特に日本人の災害の忘れやすさについて書かれた本がある。首藤伸夫・片山恒雄共著の「大地が震え
海が怒る」(オーム社出版局、テクノライフ選書)である。河田恵昭(京都大学防災研究所教授)の調査結果をまとめる形で紹介されている“災害の忘れやすさ”は、「甚大で広範な被害でも、30〜40年は災害の記憶としては残るが、100年以上の間隔では忘れられる」というものである。つまり、どんな甚大な被害でも間隔があきすぎると人々の記憶からドンドン忘れられていくのだ。今回被害を受けた国々でも、過去にあったであろう津波被害が伝承としても残されていないのだろう。情報収集・発信としての地震・津波警報システムの整備は当然必要ではあるが、今回の被災を教訓にして、津波の恐ろしさや迅速な避難の必要性を住民に啓蒙していく地道な活動が極めて重要だ。日本人とても同じことがいえる。その意味では、個々人の津波被害リスク管理の一環として、津波に関して詳しく、そして平易に書かれている同書をぜひ座右の書としていただきたい。早いほうがよい。「善は急げ」である。
復興には今後5年〜10年は掛かるだろうと言われている。国連中心で行っていくことになるようだが、高温多湿の気象条件の中、衛生状態はかなり劣悪の状況にあり、1日も早い医薬品・飲料水・食料の支給が叫ばれている。被害の拡大が最小限に済み、安全で安定した生活に一日も早く戻れることを念じてやまない。
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