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『一夫多妻は少子高齢化の切り札か?』

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   2006年2月1日

 一昨日(1月30日)、久しぶりにおもしろい情報を仕入れることができた。仕入先はカーラジオだ。熟語の読み方や意味を視聴者からの便りや質問などを題材に解き明かしながら、最近の話題をも提供してくれるNHKの番組で、以前から私にとっての貴重な情報源のひとつとなっている。今回は、「出生」を「しゅっしょう」と読むか、「しゅっせい」と読むのが正しいか、という話題で始まった。
 それに絡んで、視聴者から『「しゅっせい」は戦時中の「出征」と響きが同じで当時を思い出すから、正しく「しゅっしょう」と読んでほしい』との要望が寄せられていた。答えて司会のアナウンサー氏が言うには、『NHKでは「しゅっしょう」と読むように統一されています』とのことだ。「統一する」と断っておかないと乱れてしまうということだろうが、広辞苑を調べても両方の読み方が出ている。したがって、どちらも間違いではなさそうだ。ただ、「しゅっしょう」には詳しい説明があり、一方、「しゅっせい」の説明には簡単に「⇒しゅっしょう」とのみ書かれているところをみると、本来は「しゅっしょう」が正解なのだろう。ところが、本来の読み方をされていないというのが視聴者の懸念だ。
 確かに視聴者の方が気になったように、報道関係者の読み方も乱れていて、少子高齢化問題で頻繁に聞こえてくる「出生率」は、「しゅっしょうりつ」と 正しく読むアナウンサー然とした人もいれば、「しゅっせいりつ」と読む芸能人まがいのアナウンサーもいる。日本語が難しいのか、知らないだけなのかの判断は皆さんに任せるが、意外と……なのかも知れない。

 次に話題となったのが「一姫二太郎」の意味だ。これが傑作だった。アンケートを取った結果、本来の正しい意味のほかに3つも違う意味で理解されていることが分かったそうだ。
 本来の意味は、「一番目の子が女子で、二番目の子が男子」である。そして、よく間違えられているのが「女子が一人で男子が二人」だ。その他に、「一番目の子が女子で、二番目、三番目が男子」と理解している人も結構いるという。3つ目は初めて聞くが、ここまでは何とか「確かにそう捉えることもできるな」と理解もできる。しかし、最後の4つ目の説は、聞いていて思わず笑ってしまった。
 出生率(しゅっしょうりつ)が1.3を割り、兄弟がほとんどいない今の若者の感覚では、「複数の子供がいる」ということがどうも理解できないらしい。そうなると、「一姫二太郎」が子どものことを言っているとは思わないのだ。では、どう理解しているかというと、「一人の女性に二人の男性、つまり三角関係」と捉えているらしい。確かに長男を太郎とも言うが、まさか“恋のさや当て”とは“恐れ入谷の鬼子母神”だ。しかしよく考えてみると、少子化が日本語本来の意味をも変えてしまうとは、やはり政治の一大テーマとなっているだけあってすごい影響力があるものだ。

 その少子化問題は、国力の衰退に繋がるばかりでなく、高齢化社会の到来と相まって日本の社会保障制度の根幹を揺るがす大事であるが、これまでは「まだ大丈夫だろう」と先送りをされ続けてきた。
 ところが、年末も押し迫った昨年の12月27日、もう先送りを許されないショッキングなデータが発表された。10月1日に実施された国勢調査の速報値で、「日本の総人口が前年10月時点の推計値から1万9000人減少した」との報告だ。もちろん、戦時中を除けば初めての減少だ。
 随分前から少子化傾向に歯止めが利かず、「いずれ人口は減少に転ずる」と言われていたが、いざ現実のものとなってみると、「ついにそのときが来てしまったか」の感が強い。先ほどの「一姫二太郎」を子どものことと捉えることができない若者が増えているこの現実は、少子高齢化が抱える問題の根深さを物語っているとは考えすぎだろうか。

 折しも、「女性天皇を認める、認めない」の皇位継承問題が皇族をも巻き込んで議論されているが、これなども少子化の象徴的な問題と言っていいだろう。中には、「男子継承を守るために側室を認めたらどうか」という時代錯誤で乱暴な意見もあるようだ。しかし側室をたくさん持ったからと言って、必ず子どもができ、しかも男子が生まれるとは限らない。それでも“男子が生まれるまで頑張る”となれば別だが、今の平和な日本にあっては、「一夫多妻」は男にとって都合のよい男尊女卑の発想だ。
 そんな側室の話題に触発されたわけでも、少子化に歯止めをかけようとして実行していたわけでもないだろうが、何とも怪しげな御仁が1月27日逮捕された。なんと11人の女性と同居をして、1夫11妻を実践していた自称占師の男だ。目的が何だったのかは不明だが、こと少子化対策という点で検証してみると、11人の女性との間に生まれた子供は1人と報道されているから、逆に出生率(しゅっしょうりつ)を下げてしまったことになる。
 やはり、一夫多妻は少子高齢化の切り札とはなりえないようだ。あまり男性の立場だけからものを言うと、今はまだチラホラとしか聞こえてこない『一夫多妻を認めるから、一妻多夫も認めろ』という声が、やがて耳障りなほど大きくなってくる可能性も否定できない。
 どうやら、我が身が将来とも平和であるためには、あまり大それたことを考えず、体力と身の丈にあった一夫一妻がよろしいようだ。

【文責:知取気亭主人】

     

白山市白峰(旧白峰村)
 

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