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『トイレットペーパーの怪』

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2006年3月15

 日頃何かとお世話になっているあのトイレットペーパーに、「購入ガイドライン」なるものがあるのをご存知だろうか。馴染のない言葉だが、平たく言えばトイレットペーパーを買い求める際の選定基準だ。選定基準といっても、「鼻紙としても、雑巾としても使えること」などのように、備えていなければいけない機能を基準化したものではない。そもそも「購入ガイドライン」とは、国などの機関が商品を購入する際に「もっと環境に優しい商品や企業を選びましょう」ということで取り決めたもので、1996年に設立された企業・行政・消費者からなる「グリーン購入ネットワーク(Green Purchasing Network)」(http://www.gpn.jp/)で定められている。その中に今回話題とするトイレットペーパーも含まれているのだ。
  「たかがトイレットペーパー、されどトイレットペーパー」という訳で、ガイドラインによれば、環境への負荷ができるだけ小さな商品を選ぼうとすると、主婦が陥りやすい“安ければよい”という安易な選定基準ではダメだ。かと言って、「△枚重ねて使用したときに破れない強度があること」とか、「○分以内に水に溶けること」、あるいは「少々きつく拭いてもお尻がヒリヒリしない程度の柔らかさがあること」など、私が興味本位に知りたいと思っているようなことはガイドラインの項目にはない。
  ガイドラインの項目にあるのは、@原料が古紙100%であること、Aロール幅が狭い(購入の目安は幅105mm)こと、Bシングル巻きであること、C芯なしタイプであること、D白色度が過度に高くないことなどである。まさに環境に配慮した項目が並ぶ。

 トイレットペーパーは、同じ紙でも新聞紙や雑誌などと違って、一旦使用すると恐らく(?)再生できない。そういう意味では、紙として最後のお務めをする姿がトイレットペーパーだと言うことができる。したがって、「原料が古紙100%であること」となるのは、当然のことなのだ。
  次の「ロール幅」についても、確かに必要以上に広い必要はなく、日本人よりお尻の大きな欧州などでも100mm幅のロール幅が一般的だという。JIS規格では114mmと決められているようだが、用を足せることができればこれにこだわることはない。現に、私が調べたところによれば、日本でも幅100〜105mmの商品が取り扱われている。
  「シングルか、ダブルか」は、真剣に議論しているインターネットサイトがあるぐらいだから、気になる人にとっては重要なことかも知れないが、どちらのタイプにせよ使用する長さは習慣で決まっているというから、結局ダブルの方が多く紙を使用することになるそうだ(出典、「購入ガイドライン」)。いずれにしても、二度と再生ができない紙だからこそ、環境のことを考えて選択し、そしてお世話にならなければならない。そんなトイレットペーパーも、現場では以外と冷たく扱われていることが、会社のトイレで発覚した。

 会社に私が愛用しているトイレがある。愛用しているといっても、特別な便座になっている訳でも、私の名札が付いている訳でもない。同じフロアーにあるというだけの話ではあるが、使い慣れてきたせいか少し前から何となく愛着(?)を感じるようになってきた。その愛用トイレで最近、とある妙なことに気が付いた。

 トイレットペーパーの残りが少なくなり“ある細さ”になると、まだ数回は使用可能な量が残っているのに、新しいものに取って代わられているのだ。何故そんなことに気が付いたかといえば、トイレのドアを開けた正面に、ロールホルダーから取り外されたトイレットペーパーが、未使用のモノと並んで何故か知らないけれど保管(?)されていて、嫌が応でも目に入ってしまうからだ(写真A)。

  一旦座ると少々気長に孤独を楽しむ私は、「何故、まだ最後のお務めが残っているのに、ホルダーから外され現役を引退させられるのか」という難題に、ついつい関心を寄せてしまった。そうなると、気が済むまで調べないとことは収まらない。まず、外観を調べてみた。

 未使用の、いわゆる新人は直径が11.4cm、現役引退をさせられたモノは約4.5cm、約7cmも人の役に立ってきたのだ。感謝である。ところが、芯となる部分の穴の直径は約3.2cm(当然芯なしタイプを使っている)であるから、厚さにして約6.5mm、まだかなり残っていることになる(写真B)。
  次に、「芯に近くなると品質が悪くなり使用に耐えられない」との仮説を立て、実証実験を試みてみた。外されたトイレットペーパーを手に取り、片手で巻き取ってみたが、巻き取るには何の支障もない。次に実際に使用してみたが、お尻が傷つくこともない。次の日も、その次の日も「現役引退選手」を使ってみたが、特別違和感はない。ただ、4日目になるともう残りは僅かで、最後のところにノリが付いているのか、巻き取ることは不可能になった。こうなると、いよいよお役ご免だ。
  しかし、結局実証実験では、「現役を引退させられる理由」が不明のままだ。一体理由は何だろうか。色々考えたあげくたどり着いた結論はこうだ。独り言風に書いてみる。

 『そうか、私は残されていた量で3回も用を足せたが、早々と現役引退を宣告した人は1回に使用する量が多く、これでは足りなかったに違いない』

 ガイドラインには、「1回の使用量を○m以下にすること」のような項目はない。10cmでも1mでも、あるいは5mでも、手に災難が降りかからないで目的を達成できれば、それでいいのだ。しかし、環境のことを考えれば少ないに越したことがない。(社)浄化槽システム協会(http://www.jsa02.or.jp)のホームページには、「浄化槽の取扱説明書などには、ひとり1日あたり2〜3mといった記述をみかけます」と書かれている。やはりその程度に収まるように努力(?)することが、環境対策の一つでもあり、早々と現役引退をさせることなく生涯現役を全うさせてやる 最善の対策だ、と座りながら考えてみた。

【文責:知取気亭主人】

     
 
 

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