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『お金の使い方』

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2006年6月28日

 しかし金があるところにはあるものだ。世界一の資産家として君臨し続けるビル・ゲイツ氏に次いで世界で2番目にお金持ちだという御仁が、ビックリするような金額(株式)を慈善団体に寄付すると発表した。話題の主は、アメリカの著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏、75歳だ。その総額、なんと約370億ドル。370ドルではない。日本円に換算すると驚くなかれ、約4兆2,000億円、ため息が出てしまうほど途方もない金額だ。そしてその大半の約300億ドルを、先だってマイクロソフト社の経営から2年後に身を引くことを表明したビル・ゲイツ氏と夫人が運営する慈善基金「ビル アンド メリンダ ゲイツ財団」に贈るのだという(2006年7月1日、Yahoo!ニュース−毎日新聞−)。
 人の懐のことでもあるし、慈善団体への寄付でもあるからとやかく言えるものではないが、「頼むよ、その0.1%でも良いから分けてくれ!」と思わず本音が出てしまうほど羨ましい金額だ。僅か0.1%でも42億円にもなる。我が家で時々思い出したように行なう寄付とは桁が違いすぎてピンとこない。一体全体4兆2,000億円とは、どれ程の価値があり、何が買えるのだろうか。
 H2Aロケットで人工衛星を打ち上げる費用にしても、2009年打ち上げ予定の「準天頂衛星」でおよそ330億円だという(2006年7月4日、YOMIURI ONLINE−読売新聞−)。つまり4兆2,000億円あれば、ン……、とにかくたくさん打ち上げられるのだ。ことかように、高額の費用がかかる人工衛星打ち上げでも「たかだか330億円」と思わず口をついてしまうほど庶民感覚から遙か彼方にずれていて、1回で使い切ってしまうような高額のモノがさっぱり浮かんでこない。そこで、比較的金額が近いのではないかと思われる“都道府県の平成18年度一般会計予算”と比較してみることにした(特別会計は含まない)。上位5番目までを多い順に並べると、次のようになる。

@ 東京都  6兆1,720億円(東京都ホームページより)
A 大阪府  3兆1,230億円(大阪府税ホームページより)
B 北海道  2兆7,604億円(北海道ホームページより)
C 愛知県  2兆2,130億円(愛知県ホームページより)
D 埼玉県  1兆6,831億円(埼玉県ホームページより)

 見てのとおり、寄付をすると発表された金額は、大阪府の一般会計予算よりもまだ1兆1,000億円近くも多く、東京都に次いで日本で2番目の巨大予算に相当することになる。1年間全く税収がなくても、なおかつ新たな府債の発行をしなくても、大阪府の当初事業計画を全て実行でき、さらに1兆円以上の預金まで出来てしまう金額だ。
 太田房江大阪府知事を始め、財政再建が緊急課題となっている地方自治体の首長にとっては、何とも羨ましい話題に違いない。ましてや、総務大臣に財政再建団体への承認申請を行うと発表(6月20日)した夕張市の関係者は、複雑な思いでこのニュースを聞いたことだろう。私個人としても、拍手を送りたい気持ちも勿論あるが、金額が金額だけに驚きと多少のやっかみをもってニュースを聞いた。
 しかし、やることが並外れていて小気味良い。ヒルズ族、勝ち組といわれたライブドアのホリエモンや村上ファンド代表である村上氏の犯罪性が白日の下にさらけ出され始めている時期だけに、金への執着を感じさせない慈善団体への寄付は新鮮に映る。無論、これだけ巨額の寄付をしたとしても明日からの生活に困るわけではないだろうし、残った資産でもまだまだ世界有数の資産家であるから出来た行為ではある。しかし、「冨を社会に還元する義務がある」という発想は、金の亡者には出てこない。“金が全てだ”と思っている人たちには見習って欲しいものだ。

 ところで、先程「高額のモノが浮かんでこない」と書いたが、この「冨を社会に還元する義務」という視点でみた場合、「どんなモノが買えるのか」あるいは「どんなことに使い道があるのか」、そのあたりのことを知りたくて同じ様な視点で書かれたある本を調べてみた。「世界を変えるお金の使い方」(ダイヤモンド社、山本良一責任編集、Think the Earth Project 編)だ。
 本書は、「お金をどのように使えば、言い換えれば何に使えば私たちのお金が生きるか」ということを身近な事象を取り上げて論じた本である。今回話題となった○兆円といった気の遠くなるような金額ばかりでなく、100円から数千円という僅かなお金でできる社会貢献も紹介している。最初の100円から始まってページが進むにつれ高額になって行き、もっとも高額な社会貢献として紹介されているのは、「1兆2,000億円で、教育の機会を与えられない世界中の子供たち全員が1年間初等教育を受けられる」というものだ。世界には、学校に通えない子供たちが1億人以上もいるという。読み書きできることによって、助かる命もたくさんあるだろう。
 4兆2,000億円は、そんな壮大な社会貢献を3年半に亘って実施できる金額だ。どんな慈善事業に使われていくのかは定かではないが、ウォーレン・バフェット氏に改めて敬意を表したい。彼のおかげで、世界中の多くの人に救いの手が差し伸ばされるに違いない。

 それに比べると、話題の村上氏が取材を受けた折りに「お金を儲けることは悪いことですか?」と逆に質問していた姿は、いただけない。確かに金儲けは悪いことではない。しかし、その「儲け方」と「使い方」が問題なのだ。「トラは死して皮を残し、ヒトは死して名を残す」と言われているが、同じ名を残すのなら、容疑となっている「儲け方」ではなく、「使い方」、しかも富を社会に還元する使い方で名を残してもらいたいものだ。

【文責:知取気亭主人】

     
世界を変えるお金の使い方 『世界を変えるお金の使い方』
【編著】山本良一責任編集
    Think the Earthプロジェクト編

出版社】:ダイヤモンド社
【ISBN】: 4-478-87103-5

【発行年月】:
2004年12月
【ページ】:
160p
【サイズ】:
A5変形 縦:19cm
【本体価格】:\1,260
(税込)

 

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