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『胃腸をお大事に』

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2006年12月13

 速いもので「犬が西向きゃ尾は東」の戌年がもうすぐ終わる。別に戌年にこだわっているわけではないが、毎年のことながらモタモタしているうちにアッという間に一年が過ぎようとしている。実感する一年の長さは年齢分の一だとか。私の場合数えで58、もうすぐ0.017を切る(因みに、数えで1歳の赤ちゃんが一番長く1.0)。速いはずだ。
 そんな庶民の愚痴など知ってか知らずか、今年もまた“懺悔懺悔の一年”と反省する時期がやってきてしまった。毎年決まって来るのに、直前まで振り返る準備が出来ないから不思議だ。しかも、“仲間同士のゲーム”や“へぼ将棋”などでは「待った」が効くのに、「時」はそういう訳には行かないかないから始末が悪い。最後の一踏ん張りの時期だけに多少気を利かせてくれれば良いものを、こちらの気分などお構いなく時間は過ぎてゆく。毎年、『せめてこの時期だけでも、2倍程度ゆっくりと時間が過ぎてくれればいいのに』と願うのだが、神様は一向に聞き届けてくれない。つれないものだ。その昔、「時間よ止まれ!」、と神様に逆らって時間を自由に止められる少年のテレビ番組が流行っていたが、残念ながら平凡なオッサンにはそんな超能力もない。

 時間を止める超能力がないのは諦めるとして、この時期にはもう一つ大事な能力が必要となる。暴飲暴食に耐えられるだけの丈夫な「腸能力」だ。私の場合、こちらの能力は多少持ち合わせているようだ。
 年末年始のこの時期は、忘年会、新年会と何かに付け飲食する機会が多くなる。「もっと時間がほしい!」と誰しもが思うほど忙しいのにである。しかし、そんな時期であるからこそ、日頃“山の神”の目と口が怖くて思う存分飲むことが出来ない酒飲みにとっては、春先から溜まっている鬱憤を一気に晴らす滅多にないチャンスとなる。大手を振って正々堂々と飲めるのだ。しかも、同じ頼まれごとでも仕事や家の手伝いだとアレコレと出来ない理由を並べるのに、この時期のこのイベントとなるとどうしても断れない理由を並べるから不思議だ。飲兵衛にはそんな特殊な能力も備わっている。
 兎に角この年末年始は、酒とのお付き合いが忙しくなる。そうなると調子を崩しやすくなるのが胃腸だ。アルコールを分解してくれる肝臓の疲労もさることながら、欲望の赴くままに口に入れられる料理と飲み物を消化吸収してくれる胃腸の疲労も半端ではない。いずれ『少し休ませろよ!』と胃腸から文句が出てくるのが落ちだ。毎年のことなのに人間なんて懲りないものだ。

 そんな弱った胃腸に追い討ちを掛けるような“厄介なもの”が流行の兆しを見せているという。ウイルス性の胃腸炎だ。ウイルスの名前は「ノロウイルス」、どことなくユーモラスな名前だ。名前だけ聞いていると、のろまなウイルスで感染力も毒性も然程強くないような印象を受ける。実際、新聞などでも私の第一印象のとおり毒性は余り強くないと報じられている。ただ、体力のない幼児やお年寄りが掛かると、下痢によって脱水症状を起こすことがあるというから注意が必要だ。
 先日、我が家の主治医であるT先生にこの「ノロウイルス」のことをお聞きしたら、面白い話を教えてくれた。「ノロウイルス」は消毒薬に対する抵抗性が強く、消毒用エタノール(メチルアルコール)や薬用石けんなどでは消毒にならない、というから厄介だ。熱湯か次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)で消毒するしかないらしい。
 『じゃあ、その次亜塩素酸何とかで洗うんですか』と聞いたところ、『漂白剤だから手が荒れてダメですよ』と一蹴されてしまった。結局、熱湯も漂白剤も直接手にかけるわけにいかないため、完璧ではないが石鹸と流水でよく洗うのが最善だという。しかも、我々がトイレから出るときにやる形ばかりの手洗いではダメで、オペ前のドクターのように、親指から小指まで指一本一本を丁寧に洗わなければならないそうだ。
 『飲むアルコールでは消毒できそうもありませんね』と冗談を言っていたら、受付の女性が『これをどうぞ』と、親切にもスズケン医療情報室発行の情報紙「TOPIC 〜SDIC Q&A版〜 No.46」(2006年1月)を持ってきてくれた。“冬に流行するウイルス性胃腸炎”について取り上げたものだ。
 その情報紙によれば、冬に流行する主なウイルス性胃腸炎には二種類あるという。「生後6ヶ月〜2歳の乳幼児に多く発症し、発熱、嘔吐、下痢を伴い症状が長引くロタウイルスによるもの」と「全年齢層に発症し、嘔吐、下痢、腹痛を伴うものの一般に症状の軽いくだんのノロウイルスによるもの」の二種類だ。両ウイルスとも糞便中に排泄されるため、間違っても大便に直接手で触れないようにすることは勿論、後の手洗いも石鹸と流水で入念にやる必要がある。どちらも経口感染や接触感染だというから、紙をめくるとき指をなめる癖も止めたほうがよさそうだ(ノロウイルスは生牡蠣などの汚染食品からの感染もある)。また、ノロウイルスの場合、38℃前後の熱が出て軽い風邪のような症状も見せるというから、自己診断しないようにすることも肝要だ。

 いずれにしても、暴飲暴食で胃腸が悲鳴を上げているときは、ちょっとしたことで体調を崩しやすい。酒にだらしのない私が言うのも口幅ったいが、誘いを断るのが難しければ、イヤ断りたくなければ、せめて一週間に一度ぐらいは休肝日を設け、胃腸にも休養をとってやりましょうや。手洗いもしっかりやる。さすれば、ノロウイルス胃腸炎にもかからないで健康的な年末年始を過ごすことができるはずだ。     

【文責:知取気亭主人】

     

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